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SEED  作者: 泣きピエロToY
第十一章「ともに」
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第78話 待ち続けた時間


JJ復活ライブ当日。


開場前からライブハウスは異様な熱気に包まれていた。


「本当に今日なんだ。」


「五人が帰ってくる。」


そんな期待を胸に、開場を待ち続けた観客たち。


会場は隙間なく埋め尽くされ、開演を知らせるアナウンスが流れるたび、大きな歓声が湧き上がる。


やがて照明がゆっくりと落ちた。


ざわめきが消える。


誰もが息を呑み、ステージだけを見つめていた。


静寂。


その中を五人がゆっくりと歩いてくる。


奏。


颯太。


姫希。


達磨。


大地。


姿が照明に照らされた瞬間、ライブハウスが揺れた。


歓声。


拍手。


叫び声。


待ち続けた時間を埋めるように、無数の声が五人へ降り注ぐ。


奏は静かにマイクを握った。


「混沌に飛び込め。」


「その衝撃に涙しろ。」


「雷光の先に五人の修羅。」


「その先で魂の交換が行われるだろう。」


その言葉を合図に、奏のベースが唸る。


鋭く切り裂くようなKHAOSのリフ。


一拍遅れて達磨のデスボイスが炸裂した。


重低音が床を震わせる。


照明が激しく点滅し、音の波が観客を飲み込んでいく。


混沌。


まさにその一言だった。


拳が一斉に突き上がる。


頭を振る者。


叫ぶ者。


最前列から最後列まで、熱狂が一気に駆け抜けていく。


会場全体が音の渦へ巻き込まれていく。


最後の一音が鳴り終わる。


しかし余韻すら与えない。


奏はギターに持ち替え、そのままDIVEへ突入した。


聞き慣れたイントロが鳴った瞬間だった。


観客の歌声が一斉に重なる。


ステージと客席。


境界は消え去り、一つの大合唱がライブハウスを包み込んだ。


演奏が終わる。


颯太がマイクを握る。


「久しぶりに五人集まれた。」


会場から歓声が返る。


颯太は静かに笑った。


「行くぜ、Impact。」


次の瞬間。


爆発音のようなドラム。


腹の奥底を叩くベース。


ツインギターが真っ直ぐ突き抜ける。


その衝撃で身動きが取れない。


呼吸をするのも忘れ、ただ一点を見つめる。


曲が終わると、達磨がマイクを握った。


歓声が飛ぶ。


「懐かしいだろ。この感覚。」


歓声。


「泣いて喜べ。」


さらに歓声。


達磨は不敵に笑う。


「次、KAMINARIからのONI!」


鋭いリフが走る。


雷鳴のようなドラム。


重なるギター。


稲妻のような音が会場を駆け抜ける。


照明が白く瞬き、轟音が全身を貫く。


そして、そのままONI。


赤く染まる照明。


唸る低音。


達磨の咆哮。


奏と颯太のツインギターが牙を剥く。


恐怖。


狂気。


圧倒的な破壊力。


悲鳴にも似た歓声が響き渡り、ライブハウスは再び混乱へ飲み込まれた。


やがて全ての音が止まる。


静寂。


姫希が一歩前へ出る。


「鬼に近づきたければ、魂交換しな。」


「Soul change。」


静かに始まる新曲。


一音。


また一音。


五人の音が重なり合い、大きな流れを作っていく。


音が一点へ集まり、次の瞬間、一気に解き放たれた。


押し寄せる音圧。


包み込むメロディー。


誰も知らない新曲。


それでも観客は、その世界へ引き込まれていく。


最後の一音。


静寂。


そして、割れんばかりの拍手が響いた。


圧巻のライブだった。


「みんな、おかえりー!」


「姫! 配信聞いてるよー!」


「待ってたぞー!」


客席から飛び交う声。


五人は笑顔で応える。


しかし拍手は止まらない。


次第に手拍子が一つになり、会場中へ広がっていく。


「アンコール!」


「アンコール!」


「アンコール!」


五人は顔を見合わせ、小さく頷いた。


それぞれが定位置へ戻る。


達磨がマイクを握る。


歌舞伎を彷彿させるような声で告げる。


「七転び!」


重いベースが唸る。


地鳴りのような低音が会場を揺らし、観客の拳が一斉に突き上がる。


ライブハウスの熱はさらに加速していく。


曲が終わると同時に姫希が跳ねた。


「姫ラップ!」


歓声。


姫希が歌い始める。


ステージを駆け回るたびに歓声が重なり、その圧倒的な存在感が会場を支配していく。


笑顔。


涙。


拳。


それぞれの思いが交差していく。


客席のあちこちでは涙を拭う姿もあった。


――まだ終わらないで。


誰もがそう願っていた。


曲が終わる。


静まり返るライブハウス。


姫希は静かにマイクを握る。


「みんな、いろんな悩みを抱えている。」


「でも、歩き続けろ。」


「正義を胸に。」


「Justice。」


優しいギターが静かに混ざり始める。


荒々しくぶつかり合ってきた音が、会場を包み込む。


目を閉じる者。


肩を抱き合う者。


静かに涙を流す者。


JJ唯一のバラード。


荒れた会場を洗い流すかのように、その音色は一人ひとりの心へ優しく染み渡っていった。

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