Prologue
私たちが知る世界に並行な時間軸にある世界では魔法が存在した。言語・貨幣・憲法・宗教が統一されていて、それぞれの国には色の名前が付けられている。
その中の一つ、白の国には「希望的観測第二都市」という都市がある。これはそこにある施設の身寄りのない子どもたちと保育士の物語だ。
私、久渚 四季は、保育士として身寄りのない三歳から七歳までの子ども達が過ごしているこの施設で働いている。
では、七歳以上の子どもたちはどうなるのか、そこが気になるだろう。そう、子どもたちは次の施設へと送り出されるのだ。
ここは施設、教会が施設の横にある。明日はいよいよ、七歳の子ども達三人を送り出す、出立式が行われる。神父からの祝福を受ける締めくくりには大切な儀式だ。
午後担当の先生に子どもたちのことを見てもらって、教会では午前終わりの先生たちが出立式の準備を進めていた。全員で花、証書、椅子、椅子用紅白のリボン、朗読台の確認をする。
「四季先生、子どもたちの椅子の数と場所はここで間違いないですか?」
「ありがとうございます。合ってます。次は紅白のリボン結びを手伝って頂いても良いですか?お願いします」
「わかりました、すぐ行きますね」
保育者たちに子どもたちが次にどの施設に移動になるのか誰も知るものはいない。連携先からの守秘義務でこちらには情報が入ってくることは無い。
──今考えるとそれはおかしい所だと気づくべきだった。
そうして最後の夜は更けていった。
春を告げるように、木々にも桜の蕾が芽吹き出した季節。冬の寒さが残る朝の教会の空気は少し埃っぽかった。
そろそろ子どもたちが目を覚ます頃、昨日一番早く寝付いた子どもがバジャマのまま教会の扉を開けた。
「あら、シュシャおはよう!今日も早いね?」
「おはよー!シュシャね、なんかドキドキしちゃってさ。今日でここのお家も最後だし、神様にお祈りをしておこうかなって思ったの。四季先生は?」
「準備忘れてないかな〜って見に来たんだ。シュシャやセレナ、ヴィクターが花道を歩けるようにね」
「そっか!ありがとう先生。ねえ、他の子たちもそろそろ起こしていい?」
「そうね、そろそろ時間だから行こうか」
出立式は神父からの祝福を受けて次の施設へ送り出す締めくくりには大切な儀式だ。子どもたちの旅路の先で待つのが優しさと希望に満ちた人生であることを願う。




