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プロローグ

    プロローグ


 ゆっくりと目を開けると、そこにはキラキラ輝く水色の空が広がっていた。

 その水色を掴もうと伸ばした右腕は、彫刻のように筋肉が隆起していて、先に繋がる指は長くて綺麗だけど、逞しさを感じさせる男性の物だった。

 パステルカラーに届きそうで届かないのをちょっとだけ残念に思いつつ、頭を少し左に傾けると、濃い青が視界に飛び込んでくる。

 

 体を起こす。

 

 目の前には遥か遠くに見える水平線と数隻の船。

 遠い空には、悠々と羽ばたく2羽の白い鳥。

 そして東に位置する太陽が、時々、眩しいくらいに青い波を反射させる。

 それら全てが存在していることを知っている。けれど、その当たり前に存在する景色にどこか違和感。

 勿論、空も海も船も見たことはある。

 ただ、この瞳で映すのが初めての事。

 

 聞いていたとは言え、小柄で筋肉とは無縁だった私が、逞しい男性の身体に変貌している現実を素直に受け入れられる程、メンタルの強さに自信はない。まじまじと両手を眺め、今までとは違う自分に強い戸惑いを感じていた。

 

 これから、どうしよう。

 何の策もなく、再び世界に放り出された。

 私は何をしたらいいのだろう。

 私に何ができるのだろう。

 その問いに、答えをくれる人などいない。

 正解などない現状で、成すべき事とは一体なんだろう。

 迷走する思考は、ただ蛇行するだけで着地点を見つけられない。

 考えても仕方のないことを無駄に考え続け、まずは現実を受け入れることから始めなくてはならないと気付いた。

 

 とりあえず歩き出そう。

 立ち上がって浜辺を後にする。

 時に静かに、時に荒々しく、海の奏でる音楽が背後から追ってきた。

 まるで、不安しかない未来を嘲笑うかのように……

 


 この日、高校3年生の1年間という期限つきの

 私の第二の人生がスタートした。

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