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29/30

Avsnitt 29 結局、変化は無かった

 あれから少し時間が経つと、俺自身はどうでも良くなった。

 今日は俺の部屋で一緒に勉強するエメリだ。座布団に座り胡坐をかく、けど、なんかあんまり様になってない。ちょっと姿勢が変だからかも。

 幸いスカート姿じゃないから、気にしないで済んでる。もしスカートでそれをやられると、視線が吸い込まれるかもしれないし。

 勉強中に例によって例の如く、フィーカにしようとかで、すぐ休憩しちゃうけど。


「吹っ切れた?」

「そうだね」

「Men(メン) stämningen(スタミンエン) i(イ) klassen(クラッセン) är(エル) densamma(デンサンマ)」

「ちょっと分かんない」


 クラスの雰囲気は変わってない、とか言ってる。

 そりゃそうだ。女子の側は俺に一切謝罪しない。むしろ野見山さんは悪くないとか、そんな感じで擁護する有様だし。まあでも、野見山さんは、そのお陰でクラス内での孤立を避けられた。

 そうなると男子の中には「おかしすぎる」とか「謝りもしないのかよ」と。

 女子の身勝手ぶりから、一部対立が激しくなった。放っておけばいいのに。


「そう言えば、海外の人って、謝罪したら負けみたいに見える」

「Jag(ヤー) undrar(ウンドラル)」

「どうかな、って、でもそう見える。日本人はすぐ謝罪するでしょ。国際舞台でも」


 でも、海外の人は国際舞台では謝罪しない。中国もそうだし欧米も。韓国に至っては日本相手だと謝罪なんて絶対しない。敵視して逆切れする有様だし。

 日本人の場合は、内弁慶だから外国にはすぐ謝罪する。国内では謝罪は早々しない。まず否定してみて反応を見て、どうにもならないと謝罪になる。

 マスコミは特に謝罪しないし。負けだと思ってるんだろうなあ。


「en(エン) man(マン) som(ソム) är(エル) ett(エット) lejon(レイヨン) hemma(ヘンマ) och(オ) en(エン) mus(ムス) utomlands(ウトランス)」

「えっと、なにそれ?」


 直訳なら「国内ではライオン。外国ではネズミ」だそうだ。つまり「内弁慶」ってことらしい。

 内弁慶を表す言葉があるんだ。三文字で済む日本語とは違うけど。


「そう見えるのは確かかもね。でも、それが礼儀正しいって評価になってる」

「代りに舐めてかかってるでしょ」

「押し通すのも外交だからね」


 なんでも「はいはい」と言うことを聞けば、都合よく利用されるだけ。「Nej」と強く言えない限り、都合のいい存在でしかない。


「Där(ダーレ) makten(マクテン) är(エル) herre(ヘーレ), är(エル) rättvisan(レッティーサン) tjänare(シェナーレ)」

「ごめん。よく分かんない」

「無理が通れば道理引っ込む、だよ」


 もちろん直訳すると全然違う。「権力が主ならば正義は従になる」になるとか。

 日本人も国際社会で、もっと強く出た方がいいそうだ。最初にうんと強く出て、相手の出方次第で次の一手を出す。そうやって交渉するのが当たり前だからと。

 最初から下手に出れば、舐めて掛かられるのも当然。すぐ頭を下げるから、日本は与し易い相手と見られる。


「あとは譲れない部分は譲らない」

「日本はすぐ譲っちゃうかも」

「和を尊ぶだっけ? だからかもね」


 なんでも丸く収めようとする。割を食ってもなんでも、纏まればそれでいい。だから日本は損ばかりしてるんだ。


「日本は女子の方が譲らないかも」

「Just(ユスト) det(デ)」


 そうだね、だって。まあクラス内の女子を見れば、そう見えるよなあ。


「外交向きだよ」

「そう?」

「外交官を女性にすれば、日本はもっと外交的優位に立てるかも」

「でもさあ、クラスの女子だと」


 バカ過ぎて話しにならないんじゃ、と思う。賢さと強かさがあって、根回しもきちんとできてて、準備を万全にして臨めるなら別だけど。

 揉めるだけで何も決まらないなんて、返って国益損ねそうだし。


「不利になる条件は飲まなくて済むよ」

「代りに何も得られない」

「底上げが必要だね」


 フィーカを終わらせて勉強する、けど、エメリがこっち見て「Är(エル) det(デ) inte(インテ) svårt(スヴォールト)?」って。まあ、つらくないかってことだろうけど。

 クラスの女子に無視されて、あげく俺が悪いみたいになってる。謝罪もない。

 そんな状況を許してていいのかって。でも、対処不能。


「Du(デュ) behöver(ベヘーヴァル) inte(インテ) oroa(オロア) dig(ディ). でいいのかな?」

「海斗がそれでいいなら、これ以上言わないし、何もしない」


 心配無用、って返事したけど、意味は通じたみたいだ。少しは上達したのかも。

 この日の勉強も終わり、エメリが家に帰る。帰り際にキスされたけど。


 翌日、教育実習生が「悪化してる」とか言い出して、改善に乗り出そうとしてた。担任は匙投げてるから、同じでいいんだけど。

 個別に対処するそうだ。こんな状況を放置して、実習を終わらせたくないんだって。真面目だなあ。でも、その真面目さも教師になると、どっか行っちゃうんだろうな。担任の先生も新人の頃は真面目だったと思う。続けるうちに手を抜くんだよ。


 ただ、担任の先生もまた「うちのクラスの女子はバカ過ぎる」とか言ってた。

 よりによって、なんでバカばっかり集まったのかと、嘆いてたけど。

 エメリ曰く「親が謝ることをしない人」だそうだ。だから子もそれに倣う。倣うって言うか、謝ることを知らないんだろうな。


 それから数日もすると、ちょっと驚いた。


「あの、なんかごめん」


 ひとり謝ってきた。もちろん教室内じゃなく、エメリと一緒に帰る時にだけど。


「周りに流され過ぎてた。草柳が悪いわけじゃ無いんだよね」


 だそうで。

 ばつの悪さからだろうけど、少しはそう思ったならいいや。

 謝ると足早に駅に向かって行った。


「見習い先生かな?」

「かもね。言われて気付けただけマシだと思う」


 その後も連日、謝る女子が居て。

 全員じゃ無いけど、とりあえず謝る女子複数。今さらだけどね。仲良くはできないな。どうせ本心からの言葉じゃない。実習生に言われて謝った程度の話。

 エメリも仲良くする気は無いらしい。彼氏をとことん貶めて、どうして仲良くできるのかって。上辺だけで気持ちが籠ってないから、そんな謝罪ならしなくていいと。

 俺も同感。


 表面的には諍いも収まった感じになったけど、俺とエメリはクラスの女子から、思いっきり距離置いて以前のようには接してない。あ、俺はもともとだ。

 エメリは代わりに他のクラスの女子と軽く、先輩とはしっかり付き合ってる。

 俺はと言えば、もともと女子とは縁が無かったから、吹奏楽部の先輩だけ。


「海斗」

「なに?」

「Låt(ロット) oss(オス) gå(ゴー) på(ポー) en(エン) ny(ニイ) dejt(デイト)」


 デートのお誘い。

 気分転換に海にでも行かないかって。


「海水浴?」

「Det(デ) är(エル) trevligt(トレーブリクト) att(アット) leka(レーカ) på(ポー) stranden(ストランデン)」


 ビーチで戯れるのもいいんじゃないかって。別に泳ぐ必要は無いけど、夏休みに行こうよって。

 エメリの水着姿かあ。なんかいいなあ。スタイルいいし。


「どこか行きたいところある?」

「きれいな海」

「東京湾だと汚いし、湘南もきれいとは言い難いし」


 何よりイモ洗い。かと言ってプールを所望してるわけじゃないし。プールもイモ洗いだからなあ。

 少し遠出しないと希望に添えないかも。


「伊豆は?」

「日帰りできるの?」

「きついかも」

「Något(ノゴット) oan(オアン)ständigt(スタンディクト) beteende(ベッテエンデ)?」


 えっと、意味分かんない。


「如何わしい行為は?」


 一瞬、思考が飛んだけど。


「な、無いから!」

「Ingen(インゲン) handling(ハンドリン)?」

「だって、まだそう言うのは」


 冗談だって。

 真顔でそういうことを言われると、心臓飛び出そうになるって。

 ただ、スウェーデンは性に関しては、かなり大らかな国なのだそうだ。


「Mer(ミェル), oj(オイ), där(ダール)!」

「え?」

「マルメ市でね、ゴミ箱から出る音」


 以前日本のマスコミが取り上げたとか。ゴミを投入すると、女性の官能ボイスが出るんだそうだ。「もっと、あ、そこ」だそうで。

 エロっ。

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