絶賛飛行機搭乗中
いい具合に時間を使い、搭乗時間も近くなる。
飛行機に乗ることが修学旅行ぶりである。ざっくりと人生で二回目。
修学旅行ってどこに行ったっけ。あまり覚えていないけど、初めての飛行機でずっと緊張していたような気がする。また緊張したしている。只の鉄の塊が空を飛ぶなんて昔の人は信じられないだ追うな。
満月を連れて指定された搭乗口付近で待機する。次第に30分前、15分前と迫り、乗務員に案内されるままチケットに記されている蛮行へ向かう。
割と後ろの方、万が一落ちたらたぶんパニックで助からないだろうな。
大丈夫。怖くない。怖くない……。
乗務員さんが真剣な表情で緊急時の対応のアナウンスをやっている。逆に怖い。
車体が動き出す、手汗びっしょりの俺。満月の様子を見てみると子どもみたいに騒いだり喋ったりはしないのだけれども表情に物凄いスゴみがある。例えるなら劇画タッチの漫画風くらい。
なんの前触れもなく車体は急加速する。
「うおっ」
いけない、思わず声が漏れてしまった。なんのアナウンスのないまま飛ぼうとするなんて信じられない!
まだ心の準備が!
思い出した!今修学旅行の時、みんなすごい騒いでいた。クールを装っていたつもりだったけど思わず声が漏れた恥しい記憶を思い出してしまった。行先は沖縄。
飛行機が一瞬ふわってした。ふわって。鉄の塊がふわって。
「うおおお。満月すげーな。空飛んでるで」
と平然を装う。満月はガン無視。
ドラッグストアで大量のグミを買わされたので提案してみる。
満月は小さく頷き、ブドウがいいとか細く呟く。
偉大なお菓子を満月はバクバクとハイペースで食べる。その姿は僕にとってうれしく思えた。
飛行機ってすごくてものすごいスピードで進んでいる。当たり前だけど。
僕は文明の利器を眺めているだけで北海道に向かっている。
満月もぷにぷにの精神安定剤を食べつくし、疲労のせいか熟睡している。
その姿を見て僕はまたうれしく思えた。人に気を遣うこともなく安らかに眠ってくれることが。
乗務員からアナウンスがあり、着陸に備え、シートベルトを着用してくださいとのこと。
満月を起こし、シートベルトを着けてねと言おうとしたけどすでに着いていた。
滑走路が見える。機体がボンっと一瞬ぶつかって飛行機がすごい音でうなる。
「うおおお」
もう条件反射的なモノか、これは。
速やかに飛行機は着陸して、乗客もぞろぞろと降りていく。
ぼくは焦らず、人混みが収まり出口が見えたくらいで飛行機を降りる。
そういや手荷物がないので意外とすんなり手続きが進む。こんな軽装で旅行なんて大丈夫だろうか。
常々不安を抱きながら行動している僕ってそのうち不安死すると思う。たぶん。
寒い。その一言に尽きる。
新千歳空港。北海道に来てしまった。外は極寒である。
と言ってももう春先で体感でいうと大阪の超寒いときと同じくらいの寒さである。
「ねぇ満月、寒すぎやしない?」
「平気です」
「まじか。俺は耐えられん。ちょっと手袋買いに行こう」
「はい」
と言って外に出たのにまた空港に戻り二人分の手袋を調達する。
まだ、母さんに連絡していなかった。
また焦りだす。これだよ。もう北海道ついちゃったよ。最悪だよ。
いつも僕は嫌なこととかめんどくさい事とかをついつい後回しにしてしまう。この性格本当に何とかしたい。もういいや。さっさと母さんに電話しよう。絶対出ろよ。
「今から俺の母さんに電話するからさ、ちょっとだけ待っててもらっていい?」
「お母さんですか?」
「そうだよ?何か飲み物とかいる?」
「大丈夫です。待ってます」
たぶん三年ぶりに母さんに電話してみる。
RRRR




