第63話 いろいろ考えましたが、結局そうなるんですね?
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「と… まぁ、そんなワケなんですけど、お2人の都合は…」
「勿論、OKですっ!」
「私も! 私も!」
ですよねぇ?
何の話かと言えば、ミリアさんとモーリィさんが、私の治療院に引っ越して一緒に住むという提案?
最初に言い出したのは2人だから確認?
をした返答である。
勿論、他の人には聞かれない様に、ギルドの食堂の片隅での密談(?)である。
2人が言い出したのは、アリアさんを羨んでの事。
なかなか良い結婚相手が見付からないミリアさんとモーリィさん。
2人共、家事全般普通にこなせるのに、不思議と良縁に恵まれない。
見た目も問題無い。
て言うか、私が魔法で自身の身体を少女の姿に変えてなければ──男のままなら──、間違い無くどちらかに交際を申し込んでただろう。
うん、ミリアさんの料理下手に関しては、問題解決の必要はあったけどね。
で、いろいろ考えて、何故2人が良縁に恵まれないかと言うと…
男に対する要求が高いと言うか贅沢過ぎ。
前世で言う〝3高〟は勿論、顔が良くなければ嫌だの、優しい性格が良いだの、デブは嫌だの、言い出したらキリがない。
正直、『そんな贅沢言ってられる年齢かっ!』って、ハリセンでドツき倒して怒鳴りたくなったよ…
まぁ、そんなこんなで私の治療院に引っ越す事を快諾した2人。
とりあえずは必要最低限の荷物だけ持って、ギルドの仕事が終わってから治療院にやって来る事になった。
その他の荷物と家具等は、仕事が終わってから毎晩少しずつ運ぶ。
私達も手伝い、10日程で引っ越しは完了。
それまで住んでいた場所の賃貸契約を解約し、私の治療院には私を含めて5人が同居する事になった。
更には王都のギルド本部に問い合わせた結果、アリアさんのギルド登録に何の問題も無く、無事に登録が完了していた。
「では、無事にミリアさんとモーリィさんの引っ越しが終わった事と、アリアさんのギルド登録を祝して…」
「「「「かんぱ~い♡」」」」
私の音頭で祝杯を挙げる。
ちなみに用意した料理は、ミラーナさん、ミリアさん、モーリィさんがリクエストしたお寿司。
勿論、握るのは私。
今回は趣向を凝らして、前世の寿司屋みたいに食べたいネタを私に伝えてから握るスタイル。
私も悪ノリして板前さんの衣装を着ている。
お寿司初体験のアリアさんは、何がなんだか解らない様子。
うんうん、嘗ての皆を思い出すなぁ♪
…て言う程古い話じゃないけど。
「私は鯖の酢〆♡」
「私は鮪の赤身♡」
「アタシはヒラメ♡」
ミラーナさん、アンタだけ高いネタだよ?
まぁ、良いけど…
「えっ… と… 私は…」
何が何だか解らず、オロオロしているアリアさん。
「最初は私が適当に握りますから♪ もっと食べたいのが有ったら言って下さい。ネタの名前が判らなければ教えますからね♪」
「ハ… ハイ、お願いします♡」
そして私は次々に注文を受け、寿司を握っていく。
勿論、合間合間で自身の食べたいネタを握って食べる。
で、時折エールを呷る。
ン~、美味しいなぁ♡
これをひたすら繰り返し、気が付いたらネタも酢飯も品切れ。
お前等、食い過ぎだろ…
まぁ、美味しく食べてくれるのは嬉しいけど…
「もう食べられませ~ん♪ 幸せ~♡」
うんうん、美味しいは正義だよねぇ♪
「美味しかった~♡ こんなに美味しいモノが食べられるなら、一生独身でも良いよ~♡」
食い物で自分の人生を決めるな。
でも、案外2人は独身の方が良いのかも…
…いや、結婚した相手が不幸になるって意味じゃないからね?
そんな事にはならないから…
…って、保証は出来ません。
スイマセン、無理です。
ミリアさんとモーリィさん、2人を普通に嫁に出せる自信は全くありません。
…て、何を考えてんだ、私は…?
「こうなると、エリカちゃんやミラーナさんが羨ましいなぁ~…」
「そうそう。私達も不老不死なら良かったのにぃ~…」
「2人共、永遠にギルド職員を続けたいんですか? 永遠のギルド職員。永遠の24歳。なんちゃって♪」
冗談めかして言ってみる。
さすがに、それは無いだろうけど…
「それは無いよね~。不老不死になったら、ハンターに戻るわ~♪」
「そうね♪ そっちの方が楽しそうだし♪」
へっ?
ハンターに戻る?
「お2人共、ハンターだったんですか? そうは見えませんけど…」
アリアさんも驚いた様で、目を丸くしている。
勿論、私もだ。
「私達も10歳でハンター登録してるの。その頃にはマークさんもロザミアのギルド職員になっててね。薬草採取をしない日なんかに指導とか受けてたの」
「結構、厳しかったよねぇ~。『相手が弱い魔物でも、油断したら死ぬ事だってあるんだ!』って、手加減してくれなかったんだから~」
マークさん、さすがギルドマスターになるだけの事はあるな。
「じゃあ、お2人がギルド職員になったのは何故なんですか? そのままハンターとして活躍しても良かったと思いますけど?」
だよねぇ…
やっぱり怪我でもしたのかな?
「周りが煩かったの。早く昇格試験を受けてBランクになれって、毎日毎日…」
「受けて昇格しても良かったんだけどさ~… Bランクになると義務があるからねぇ~…」
義務?
私はハンター登録してないから知らないけど、何かあるのかな?
ちなみに私の登録は〝魔法医としての登録〟であり、ランクも無ければ特別な義務も無い。
「義務って何ですか? Bランクになりたくない様な義務なんですか?」
「国家の義務が生じるんだよ」
アリアさんの疑問にミラーナさんが答える。
「ハンター登録した者は、余程の実力が無い限りFランクからのスタートなんだ。実績を積み、実力を付けて、Eランク、Dランクへと上がっていく。Cランクから上へは昇格試験もあるんだ。ランクが低いと受けられる依頼も限られて収入も少ない。ランクが上がれば、受けられる依頼の種類も増えて収入も増えるんだ」
そりゃそうだな。
レベルの低いハンターがレベルの高い依頼を受けても達成するのは難しいし、場合に依っては不可能。
下手したら大怪我して再起不能になったり、最悪の場合は死んでしまう。
「で、ある程度の実力・実績を有するハンターには、国に何か異変が起きた時の義務が課せられるんだよ。例えば戦争なんかだな」
なるほどな。
実力・実績の高い者は、国を守る為の兵士としての役割も期待されるって事か…
「戦争… ですか?」
「勿論、戦争だけじゃ無いよ? 魔物や魔獣の集団暴走なんかも対象さ。いざと言う時に国を守る為の戦力になれって事だよな。それを義務付けられるのが、Bランク以上のハンターなんだ」
だからミリアさんやモーリィさんは、ハンターを辞めてギルド職員になったのか。
「そ~ゆ~事。魔物相手に剣を振るうのはまだしも、戦争とは言え人間相手に剣を振るうのはねぇ…」
「やっぱり嫌よね? だからモーリィも私も、ハンターを辞めてギルドに就職する事にしたのよ」
うん、気持ちは解るな。
戦争だから仕方無い。
殺さなければ、殺される。
殺されたくなければ、殺すしかない。
理屈としては筋が通っているし、当然と言えば当然の事だ。
それが戦争なのだから。
私だって戦争に行く事になれば、少なくとも私や私の大切な人達を殺そうとするヤツは容赦しないだろう。
…私は不老不死だし、不死身だから死なないが…
まぁ、戦争とは… 悲しいかな、そう言うモノなのだ。
前世での私も戦争を知らない世代だが、戦争を知らないヤツが戦争を批判するなと言いたい。
当時は、そうするしかなかったのだ。
後の世代になって、他に方法は無かったのか? 戦争を回避する方法は無かったのか? 等とグダグダ言うヤツが居るが、そう言うヤツは当時の日本が置かれた状況で戦争を回避する確実な方法を提示出来たと言えるのか?
まぁ、言うヤツも居るだろうが、バカバカしい。
後からなら、何とでも言えるのだ。
当時は最善を尽くした結果、戦争するしか方法は無かったのだ。
相手は、何としてでも日本に戦争させようと画策してたのだから。
何処の国とは言わんが…
「そうだったんですね? なら、ミラーナさんとパーティーを組んで、ハンターとして復帰しては如何ですか? 不老不死に関しては、エリカさんに頼めば何とかしてくれそうですし♪」
をを~い…
なんか変な一言が聞こえましたけど~…
「あぁ~、確かにエリカちゃんなら… アタシを不老不死にしてくれたしなぁ…」
うわぁああああああああっ!!!!
それは言うなっつったろぅがぁああああああああっ!!!!
「エリカちゃん!?」
「マジで!?」
やっぱりぃいいいいいいいっ!!!!
しっかり聞いてるぅうううううっ!!!!
「お願いっ! 私も不老不死にして! 一生、結婚できなくても良いから!!!!」
「私も! 私も!!!!」
余計な事を言いやがってぇえええええええええっ!!!!
覚えてろよぉおおおおおおおっ!!!!
結局、執拗に懇願された私は仕方無く2人を不老不死にし、余計な事を言ったミラーナさんには罰として〝改良型ナッシュ仕様ハリセンMARKⅡ〟を全力で炸裂させたのだった。
通常の“ナッシュ仕様ハリセン”は、以前エリカがアリアにプレゼントした物です。
エリカが今回使った“改良型ナッシュ仕様ハリセンMARK Ⅱ”は、更に強度を上げた凶悪なモノです。




