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小さな魔法医エリカ ~ほのぼの異世界日記~  作者: タイガー大賀


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245/259

第244話 ホプキンス総合診療所完成♪ 早速修理です…(泣)

 (ほど)()くして〝ホプキンス総合診療所〟が完成。

 玄関(わき)には診療項目が書かれた看板が(ちん)()していた。

 そこに書かれているのは通常の診療料金と時間外の追加料金。

 簡単に言えば、診療時間内(朝の部:9時~13時と夜の部:16時~20時)は銀貨1枚。診療時間外(朝の部と夜の部の診療時間前や後に加え、休診日である5の付く日)は2割増し(小銀貨2枚追加)が書かれている。

 そして診療内容。


・各種内科

・各種外科

・眼科

・歯科

・耳鼻咽喉科


 に加え…


・産科

・婦人科


 である。

 更に…


・伝染性病理診断科


 ってのも追加で増設しておいた。

 まぁ、これは伝染病が蔓延(まんえん)した場合に(そな)えての予防的な意味合いでの設置だ。

 私が異世界(この世界)に転生して6年近く()つが、今に(いた)るもコレラや()(しん)風疹(ふうしん)、インフルエンザや結核(けっかく)とった病状は確認していない。

 勿論、ペストや天然痘(てんねんとう)なんかもだ。

 異世界(この世界)にそれらの病気は無いのかも知れないし、たまたま蔓延(まんえん)してなかっただけかも知れないが、用心しておく事に問題は無いだろう。

 なんかフラグを立てた気がしないでもないが、その時はその時だ。





 ────────────────





 フラグ、立ってたよ…

 と言っても、水痘(すいとう)水疱瘡(みずぼうそう))なんだけどね…

 成人で初感染すると小児のときよりも重症化しやすく、水痘(すいとう)肺炎を合併(がっぺい)する事も多くなるのだが、(さいわ)い(?)な事に()(かん)して診療所を(おとず)れたのは全て2歳前後~12歳前後の小児や児童。

 まぁ、親((おも)に母親)が付き()っているので、ついでにウイルスを貰っていないかを()(ちから)を込めて()ておく。

 すると、やはりと言うか当然と言うか、2割程度の親は子供からウイルスを貰い、潜伏(せんぷく)期間にあった。

 水痘(すいとう)ウイルスの感染経路は接触感染、()(まつ)感染、空気感染なので、もう片方の親((おも)に父親)は当然の事ながら、兄弟姉妹が居ればウイルスを貰ってる可能性が高い。

 更に言えば、潜伏(せんぷく)期間中に友人と接触する機会があった場合、その友人達にも感染している可能性が無いとは言えないのだ。

 私は診察・治療した患者と付き()いの親に対し、家族や他人に感染させている可能性を伝え、出来るだけ早く診療所を(おとず)れて診察を受ける様に(うなが)した。

 1回の診療費の安さも手伝って、1週間程は診療所が()()()()()()になる程に忙しかったのだが…

 少なくともロザミアではパンデミックが発生する事もなく、最初の患者が(おとず)れてから1ヶ月も()たずに水痘(すいとう)騒ぎは収まったのだった。

 ロザミアではね…





 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





「何年振りですか、この病気の蔓延(まんえん)は?」


 イルモア王国の国王アインベルグは、(さい)(しょう)である腹違(はらちが)いの兄、サルバドール・フォン・ランジェス大公に聞く。


「ううむ… 私の記憶では10年以上前にイルモア(国内)流行(はや)った(はず)じゃな… とは言っても、当時の魔法医達が全員で取り組んでも終息まで1年以上掛かったのぅ… じゃが…」


 アインベルグは(うなず)く。

 そして…


「えぇ… ですが、今ならばエリカ殿もアリア殿も()ります。2人(とも)ヴィラン(王都)しょう(へい)するのは難しいでしょうが、どちらか片方でも来て貰えれば…」


 と、エリカに協力を要請(ようせい)する方向でアインベルグは腹違(はらちが)いの兄であるランジェス大公に申し出る。

 が、ランジェス大公は表情を(くも)らせながら言う。


「確かに、そうするのが一番確実ではある。報告では、ロザミアでは(すで)に今回の〝流行(はや)(やまい)〟はエリカ殿やアリア殿の活躍で終息しているとの事。王命で呼べば、すぐにでも()(さん)じてくれるとは思うが…」


「思うが…… 何です? 何か気になる事でも?」


 言葉を(にご)すランジェス大公に、アインベルグは身を乗り出して聞く。


「うむ… エリカ殿の事だから、病人や怪我人を治療する事に対して()(じょう)(はさ)まないとは思う。ヴィラン(王都)で〝流行(はや)(やまい)〟が蔓延(まんえん)しているの聞けば、大急ぎで来てくれると思うが… 途中の街や宿場町でも(やまい)流行(はや)っていないとも限らん。その場合…」


「確かに… エリカ殿の事ですからな。それぞれの街や宿場町で治療活動を行う事は考えられます。その場合、状況次第ではヴィラン(王都)に来るのが遅れ、その(あいだ)ヴィラン(王都)での〝流行(はや)(やまい)〟が…」


 ランジェス大公は、(にが)い表情で(うなず)く。

 しかし…


「確かに、()()()()()()なら、そうであろうな。だが、あのエリカ殿だぞ? どの街でも1日か2日、宿場町なら半日もあれば大丈夫だと思わんか?」


「それは確かに… しかし、遅くなれば遅くなるだけ(やまい)がヴィラン中に広がるのではありませんか? かと言って、途中の街や宿場町を見捨てて来てくれとも言えません…」


 2人はその後も議論を重ねたが…

 エリカがヴィランに来る時、ライザに乗ってくる事で途中の街や宿場町をすっ飛ばして飛んで来る事を完全に忘れていたのだった。





 ────────────────





「…てなワケで、父上とサルバドール伯父(おじ)さんから、急いでエリカちゃんかアリアちゃんに王都(ヴィラン)に来て〝流行(はや)(やまい)〟を治して欲しいって要請(ようせい)早馬(はやうま)で届いたんだけど… どうする?」


 と、ミラーナさんが王都(ヴィラン)から届いた手紙をテーブルに置いて私に見せる。

 新しくなったホプキンス総合診療所のダイニング・ルーム(食堂)には、私だけでなく(ほか)のメンバーも集まっている。

 当然、私以外のメンバーも手紙を見る。


「ロザミアでの流行(はや)(やまい)(おさ)まりましたけど、ヴィランではまだまだ大変みたいですね…? 少しでも早く行って、何とかしないといけないんじゃ…?」


 アリアさんは真剣な表情で言う。

 本気でヴィランの状況を(うれ)いてるみたいだな。


「確かにな… アリアちゃんが言う様に、ロザミアでの〝流行(はや)(やまい)〟は(おさ)まったが… ヴィランでは魔法医達が四苦(しく)(はっ)()してるらしい。なにしろ、この〝流行(はや)(やまい)〟が流行したのは、今から10年以上も前の話だからな… アタシも(かか)ったから(おぼろ)()に記憶してるけど、全身に発疹(ほっしん)が出てさ… (かゆ)くて仕方無かったんだよな… 母上から、『()いたら全身に(あと)が残るから()(まん)しなさい』って言われて、必死で(かゆ)みを()えたっけなぁ…」


 うん、それは間違い無い。

 水疱(すいほう)を手で引っ()くなどして()(のう)すると傷跡(きずあと)になる事があるのは、現代(私の居た前世)では普通の知識だ。

 この世界(異世界)では、そこまでの知識は無いみたいだけどな。

 知らんけど…


「王妃陛下の(おっしゃ)った事は間違いではありませんね。(おそら)らくですが、過去の事例から学ばれたんでしょう。とにかく、手紙の内容から(さっ)するに、ヴィランで水痘(すいとう)(しょう)… 所謂(いわゆる)水疱瘡(みずぼうそう)〟が蔓延(まんえん)してるのは(あき)らかですね。私が行って、(すみ)やかに(しゅう)(そく)させるのが最善でしょうね」


 と、私が言うと、ミラーナさん、アリアさん、ミリアさん、ルディアさん、ライザさんは、当然の様に(うなず)いたのだが…


「えぇ~…っ? 国王陛下からの要請(ようせい)ってのは(わか)るけどさぁ~… 通常の(しん)りょうとは違うんだから、割り増し料金とか要求しても()いんじゃないの~?」


「そうそう。今回の要請(ようせい)って、言ってみれば〝国からの要請(ようせい)に対応する〟って感じじゃん? なら、ライザちゃんが言う様に割り増し料金を請求しても()いと思うんだけどなぁ~」


 すぱぱぁああああああんっ!!!!

 ずどどべちょぉおおおおおっ!!!!


 私とアリアさんが()(うん)の呼吸で(はな)ったハリセン・チョップで、アホな事を言うライザさんとモーリィさんは、仲良くダイニング・ルームの床にめり込んだのだった。

 完成して1ヶ月も()ってなかったのに、早くも修理を依頼する事になっちゃったよ…

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