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小さな魔法医エリカ ~ほのぼの異世界日記~  作者: タイガー大賀


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184/243

第183話 ランジェス大公、王都へ帰還♪ お土産は刑罰用のハリセンです♡

PVが350000を突破♪

ユニークも、間も無く55000に達します♪

読んで下さり、ありがとうございます♡

 私達が話すミラーナさん、ミリアさん、モーリィさんの話に、ライザさんとルディアさんは笑い(ころ)げていた。

 ランジェス大公(たいこう)(はら)(かか)えて肩を(ふる)わせているだけだが…


 (さき)の戦争での3人が激突(げきとつ)して失神した話。

 戦争の時と同じ感覚で魔物と戦い、大木に激突(げきとつ)して骨折したミラーナさんとモーリィさんの話。

 肉食中心の食事が(たた)り、便秘からの腹痛を起こしたミラーナさんの話。

 思い出すのもツラい〝料理下手(メシマズ)時代〟のミリアさんの話。

 同じく思い出したくもない、モーリィさんが()る馬から〝()()()()振り落とされた〟話。

 〝私を乗せてると思って馬を走らせろ〟と言ったのに、馬を竿(さお)()ちにさせたり全力で(しっ)(そう)させたモーリィさんの話。

 等々(などなど)


 ロープでグルグル巻きにした上、(さる)(ぐつわ)()ませた3人は、失態をバラされて怒ってるかと思いきや…

 かつての失態を思い出し、真っ赤になっていた。


「いやいや… ミラーナが王都(ヴィラン)に居た時からは考えられんドジっぷりじゃな♪ ミリア殿とモーリィ殿も、なかなかのドジじゃなぁ♪」


 涙を(ぬぐ)いながら言うランジェス大公(たいこう)


「あの~… そろそろロープを(ほど)いても()いんじゃないでしょうか? 3人(とも)、抵抗する気力も無くなってるみたいですし…」


 アリアさんが苦笑しながら言う。

 見れば、3人は(しろ)()()いて完全に脱力していた。

 口から魂が出てる様に見えるのは気の()()だろうか?

 私がコクリと(うなず)くと、アリアさんは3人のロープを(ほど)く。

 ロープを(ほど)かれた3人は、(みずか)(さる)(ぐつわ)(はず)し…


 すぱぱぱぁあああああんっ!!!!


 ずどべちょぉおおおおっ!!!!


 私をハリセンで吹っ飛ばし、壁にめり込ませたのだった。


「あの~… 3人(とも)、完全に脱力してたんじゃないんですか…?」


 私は何とか気力を振り(しぼ)り質問する。


「そんなワケないだろ? アタシが2人に()()()()()()、脱力してるフリをしてただけだよ」


「そ~ゆ~事♪ エリカちゃん、油断したわね?」


「パーティー組んでんだから、これぐらいの事は当然出来るんだからね?」


 アイコンタクトか…

 まさか出来るとは思ってなかったわ…

 確かに油断だったな…

 その()、意識が朦朧(もうろう)としていた私はルディアさん、アリアさん、ライザさんに壁から引き()がされ、更にアリアさんから回復魔法を掛けて貰ったのだった。

 ちゃっかり銀貨1枚を治療費として払わされたよ。

 アリアさん、ホントに(たくま)しくなったなぁ…





 ───────────────





 私はランジェス大公(たいこう)に依頼された刑罰(けいばつ)用のハリセンをリビングで披露している。

 …何をやってんだ、私は…

 とりあえず罪の(けい)(ちょう)で使うハリセンの威力を分けてみた。

 軽い犯罪用の物は、そこそこの(ちから)でビンタされる程度の痛み。

 中程度の犯罪用の物は、(ちから)一杯(いっぱい)ゲンコツで殴られる程度の痛み。

 重い犯罪用の物は、それこそ一発で()()()()()()痛み。

 また、それぞれを使用者が(ひと)()(わか)る様に、握り部分を軽犯罪用は青、中犯罪用は黄、重犯罪用は赤で色付けしておいた。


「フム… これなら軽犯罪者に間違って重犯罪者用のハリセンを使う事はありませんな。ちなみにですが、どの程度のダメージが身体(からだ)に残りますかな?」


 それが最も重要だろう。

 下手にダメージが残って、更正(こうせい)した後の生活に支障が出ては意味がないからな。

 しかし…


「ご安心下さい♡ これらのハリセンは、身体(からだ)には全くダメージが残りません。勿論、吹っ飛ぶ事もありません。()くまでも()()()()()()()()です♡ しかも、誰がどんな(ちから)(たた)いても同じ痛みを感じる特別仕様です♡」


「ほぅ、それは素晴らしい♪ つまり(ちから)()(げん)をしなくても良いという事ですな? (ぼう)(たた)きでは、(ちから)()(げん)を間違って何人か死なせてますからなぁ♪」


 死んでるんかいっ!

 いやまぁ、あり得ない話ではないんだが…

 特に重犯罪者では(たた)く回数も多いだろうしなぁ…

 それにしても、楽しそうに言わないで欲しいんだけど…


「まぁ、このハリセンなら死ぬ事はありませんけどね。痛いだけですから♡ (あと)は、それぞれの罪の重さに応じて叩く回数を決めるだけですね♪」


 ランジェス大公(たいこう)満足(まんぞく)()(うなず)く。

 するとミラーナさんが重犯罪用のハリセンを手に取る。


「よくもまぁ、こんなモノを作るよなぁ… 魔法を使ったんだろうけど、感心するよ」


 そう言って軽く(てのひら)をハリセンでペシンッと叩くと…


「んぎょわぁああああっ!!!!」


 叫び声を上げつつ、床をのたうち回った。

 おいおい…

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()って言っただろ…

 しかも、重犯罪用のハリセンだし…


「ミラーナ… お(ぬし)、エリカ殿の話を聞いてなかったのか…?」


 ジト目でミラーナさんを見るランジェス大公(たいこう)


「まぁ、ミラーナさんですからねぇ…」


 私は勿論、全員が苦笑していたのだった。





 ───────────────





 なんだかんだでムルディア公国外交使節団が王都に到着する頃になり、ランジェス大公(たいこう)もヴィランに帰らなくてはいけない頃合いになった。

 朝食の(あと)、全員で街の外へと向かう。

 ミリアさん、モーリィさん、ルディアさんも見送りに付いて来てくれた。

 ライザさんはドラゴン姿に戻り、ボート型の箱を背負って伏せる。


「…なんだか前のより大きくなってない? それに、ドアと屋根も付いてるけど…」


「ええ、ちょっと改良しておきました♡ 大型化し、ドア・屋根・窓を付け、内部にはソファーとテーブルを設置してあります♡ 乗る人には『快適な空の旅を♪』って感じですね♡ 残念ながら、ライザさんは乗れませんけど…」


 言うが早いか、さっそくミラーナさんは乗り込んで感嘆(かんたん)の声を上げている。

 おいおい…

 続いてランジェス大公(たいこう)が乗り込んだところで、私はライザさんに王都まで真っ直ぐに行き、真っ直ぐロザミアに帰る魔法を掛ける。


「これで問題無く往復できますね♪ 勿論、引き留められた場合は滞在可能ですから安心して下さい♪ それじゃアリアさん、王都を楽しんで下さいね♡」


 私は満面の笑顔でボート型の箱に乗り込むアリアさんに声を掛ける。


「ほ… 本当に私、大丈夫なんでしょうか…? なんだか凄く不安なんですけど…」


 うん、気持ちは(わか)るぞ?

 キャサリン&ロザンヌ(2人の王女)様達に加え、王妃(マリアンヌ)様から()()()()()を食らわされる可能性は極めて高いからなぁ…

 その時は…


 ……………………………


 ()えて下さい…


「…『()えて下さい』じゃありませんよ…」


 ブツブツ言いながら、アリアさんは私が教えた〝気圧シールド〟と〝防寒魔法〟を展開。

 それを確認したライザさんはフワリと浮き上がり…


「じゃ、行ってきま~す♪」


 ビュゴッ


 いきなり()()()()王都に向かって飛び立ったのだった。

 遠ざかるライザさんの方角から、()(つう)な叫び声が聞こえた様な気がしたが…


「ねぇ、今のって…?」


「叫び声… だよねぇ…?」


 顔を見合せ、(あお)()めるミリアさんとモーリィさん。


「エリカちゃん… あれ、無事なのかしら…?」


 心配そうに聞いてくるルディアさん。


「屋根を付けておいて正解でしたねぇ… そうでなかったら、全員振り落とされてたんじゃないですかね?」


「「「そ~ゆ~問題じゃないと思うけど…」」」


 ハモって突っ込む3人だった。





 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





 ライザが飛び立った直後、アリアはソファーから投げ出されていた。

 進行方向を向いていたランジェス大公(たいこう)とミラーナは、ソファーの()(もた)れに身体(からだ)が押し付けられる程度だったが…

 吹っ飛んできたアリアに押し(つぶ)される格好(かっこう)になっていた。


「きゃぁあああああっ!!!!」

「どわぁああああああっ!!!!」

「うおぉおおおおっ!!!!」


 三者三様に叫び声を上げるが、ライザの耳には届かなかった。





 そして、およそ4時間後…

 王都ヴィランに入る正門前には、青い顔をして肩で息をする3人の男女と顔面を地面にめり込ませて失神する少女、そしてそれを()(ぜん)とした顔で(なが)める衛兵達の姿があった。

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