表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
175/237

第174話 塩分過多のルディアさんを治療して、就職を斡旋してみました♪

 ルディアさんの料理が()()()()()事で、料理教室を開く事は(だん)(ねん)した。

 が、私はルディアさんに関して気付いた事があった。

 名前が似ている…

 彼女は名前が()()()()、国の名前が()()()()()公国…

 ムルディア公国の王侯貴族、もしくは国と何か関係があるのだろうか?

 気になったので聞いてみると…


「何の関係も無いわよ? 意味があるとしたら、たまたま私の生まれた年がムルディア公国の建国100周年で、両親が記念みたいな意味でルディアって名付けたって事かしらね?」


 それだけかい!

 いやまぁ、それだけルディアさんの両親は国の事が好きなんだろうけど…

 塩以外の物価がイルモア王国の倍近いなんて知ったら、どう思うんだろ…

 ルディアさんみたいに、他の国に移住する事も考えるんじゃないだろうか…?

 ルディアさん本人は、まだ迷ってる感じだけどな。


「…て事はルディアさん、その(うち)ムルディア公国に帰っちゃうんですか?」


 朝食を運びながらアリアさんが聞いてくる。


「そうなると(さみ)しいわねぇ… 出会って数日だけど、なんだかんだで()()けちゃったから…」


「だよねぇ… けど、私達が口出しして()い問題でも無いしねぇ…」


 ミリアさんとモーリィさんが、ダイニングに入りながら話に参加する。

 2人の言う通り、ルディアさんの気持ち次第だからな。


「それに、ルディアさんの家族の事もあるしなぁ… ルディアさんが良くても、家族が反対したら難しいんじゃないか?」


 だよなぁ…

 ルディアさん1人なら何とかなるかも知れないけど、家族を捨ててまで移住するってのもなぁ…


「私、家族は居ないわよ? 両親は数年前にポックリ()っちゃったし、兄弟姉妹も親戚も居ないから(てん)(がい)()(どく)なのよねぇ♪」


 楽しそうに言うなよ…

 私も()()()(てん)(がい)()(どく)だけど、少なくとも楽しそうには話してないぞ?

 てか、ポックリ()ったってのが気になるな…


「あの~… ルディアさんのご両親って、何が原因で()くなったんですか? 何となくですけど、(のう)(そっ)(ちゅう)とか(しん)(きん)(こう)(そく)だったんじゃないかと…」


 私が言うと、ルディアさんは目をパチクリさせ…


「そう… だけど… (なん)()かるの?」


 やっぱりかい…


「食生活ですよ… ルディアさんの料理で確信しましたけど、塩分を()り過ぎなんですよ。塩分の()(じょう)(せっ)(しゅ)が原因で高血圧を引き起こし、(のう)(そっ)(ちゅう)とか(しん)(きん)(こう)(そく)なんかの(しん)(ぞう)(しっ)(かん)()くなる事も多いんです」


「じゃあ、もしかしたら私も…?」


 私はコクリと(うなず)く。


「間違い無く… とまでは言いませんが、可能性は高いでしょうね。発汗(はっかん)で失われる塩分よりも、食事で(せっ)(しゅ)する塩分が多過ぎるのは確実だと思います」


 ルディアさんが作った料理は明らかに塩分()()

 赤道直下と思われるムルディア公国が(こく)(しょ)──(せっ)()40℃以上──の国で、大量の汗を()くとしても塩分の(せっ)(しゅ)(りょう)が多過ぎる。

 前世の日本では年度に()って多少の変化はあるが、1日6g(グラム)未満を(すい)(しょう)していたんじゃないかな?

 勿論、発汗(はっかん)で塩分を失う量は人それぞれだから(いち)(がい)には言えないだろうけど。

 一時期は1日の塩分摂取(せっしゅ)(りょう)を成人男性で10g以下、成人女性で8g以下を(すい)(しょう)してたりと、研究に()って(すい)(しょう)摂取(せっしゅ)(りょう)も変化してるしな。

 それに、これは()くまでも()()()()()()()()だし…

 日本より大量の汗を()く地域の人なら、塩分摂取(せっしゅ)(りょう)は増えて当然なんだけど…

 あんなに塩辛い料理ばかり食べてるんだったら、失われる塩分より多く塩分を()ってるのは間違いない。

 そりゃ高血圧にもなるし、高血圧が原因の病気にもなるだろ…


「ど… どうしよう… 父さんも母さんも、50歳になる前に死んじゃってるのよ…? 私も生まれてから、ず~っと()(しお)(あじ)の食事ばかり… 私も(はや)()にするのかしら…」


 急に不安になり、冷や汗を流すルディアさん。

 まぁ、不安になるのも無理はない。

 が、ロザミア(ここ)には私が居るって事を忘れて貰っちゃ困る!

 てなワケで、早速ルディアさんを診察する事にした。





 ─────────────────





 私は診察室でルディアさんの上腕を両手で握り、血圧を(はか)る。


「う~ん… やっぱりと言うか、年齢のワリに血圧が高いですねぇ…」


「そ… そうなの…? 私、大丈夫かしら…」


 不安そうなルディアさん。

 まぁ、まだ深刻な状態ではないんだけどな…


「最低血圧が97、最高血圧が142ですから… 高血圧としては、まだ軽症の範囲ですね。24歳って年齢を考えると高い方ですけど、生活習慣を改善すれば治る範囲ですね」


「と言うと…?」


「ルディアさんの場合は、体内の塩分濃度を減らす事ですね。汗を()いて体内の塩分を減らし、私達と同じ食事を続ければ自然に治りますよ♪」


「エリカちゃん達と同じ食事…? う~ん… ()()しいんだけど、私には味が薄いのよねぇ… 何て言うのかな? もう少しパンチの()いた味の方が…」


 私が言ってる意味、理解してんのかコラ…


「…その()()()()()()()ってのが問題なんですけどね… まぁ、身体(からだ)から余分な塩分が抜ければ、私達が普段食べてる料理でも満足できますよ♪ まだルディアさんの体内は塩分濃度が高い状態ですから、味の()い料理じゃないと()()しいと感じないだけです♪」


「そ… そうなの…? でも、治療院(ここ)に来た時に出された寿司って料理は、普通に()()しかったけど…」


 あぁ、あれね?

 そりゃ()()なんだけどね…


「お寿司はご飯(シャリ)(キール)を使ってますからね♪ それに、()()寿()()()()()()醤油(シェッティ)を付けて食べたでしょ? お寿司って、薄味(うすあじ)に思えて意外にしっかり味が付いてるんですよ。でも、塩分(ひか)()でヘルシーなのは間違いないんですけどね」


 そう、和食はヘルシー!

 2017年に来日したFAO事務局長(当時)だったジョゼ・グラジアノ・ダ・シルバは、『日本は先進国の中でも肥満率は4%と低く、日本の伝統的な食事である和食は()()()()()()()寿()()()()()()()()』とし、『Japan is a global model for h()e()a()l()t()h()y() diets(日本は健康的な食事と栄養の世界的なモデルである)』と()べているんだよ♪

 だから和食中心の食生活を送っていれば、メタボリック・シンドロームや生活習慣病なんて気にする事は無い!

 …スイマセン、(ウソ)です…

 和食でも食べ過ぎればメタボリック・シンドロームにもなるし、生活習慣病にもなります…

 何でも程々(ほどほど)が一番です。

 とにかくルディアさんの体内塩分濃度が私達と同じ程度になるまでは時間が掛かるし、それまで味の薄さを我慢しなければならないのは気の毒だ。

 なので、私の魔法で一気に改善する。

 ルディアさんの体内塩分濃度を私と同じ程度に下げ、ついでに(した)が感じる()(かく)を少しばかり(びん)(かん)にしておいた。

 これで私達と同じ料理を食べても満足できるだろう♪

 昼食での反応が楽しみだ♪





 ─────────────────





 朝の部の診療を終えた私とアリアさんは、ルディアさんを連れてギルドで昼食を()る事にした。

 昼食以外にも目的があるんだけどね。


「あ… 美味(おい)しい♪ 少し前にギルド(ここ)で食べた時は、味が薄くて食べた気がしなかったのに…」


 私とアリアさんは、テーブルの下でサムズアップしてドヤる。


「エリカさんの考えた通りでしたね♪ やっぱりルディアさんの体内は塩分濃度が高かったから、()い塩味じゃないと()()しく感じなかったんですね? エリカさん、さすがです♪」


 もう慣れたなぁ…

 アリアさんが私を()めて恍惚(こうこつ)とするのは…


(あと)は料理を作る時に、塩を使い過ぎない様に気を付けるだけですね。まぁ、小忠実(こまめ)(あじ)()しながら作れば大丈夫でしょう。それより大切な目的があって、ルディアさんをギルドに連れて来たんです」


「「大切な目的?」」


 アリアさんとルディアさんの声がハモる。


「そう、大切な目的です♪ マークさ~ん♪」


「おぅっ、エリカちゃん。何だい?」


 私が呼ぶと、マークさんが口髭(くちひげ)(いじ)りながら歩いてくる。


「実はルディアさんをギルドで(やと)えないかな~って思いまして♪ ハンター登録してミラーナさん達とパーティーを組むのは、ルディアさんの(けい)(れき)から考えると難しいかも知れないんで…」


「ギルドで? 私が?」


 キョトンとするルディアさん。


「フム… 確かルディア・バーロゥだったかな? ムルディア公国のレナルって漁村出身だったと記憶しているが…」


 よく覚えてるな…

 さすがはギルドマスターってトコか。


「ルディアさん、ロザミアに永住するかは迷ってるみたいなんですけど… 一時的にでも仕事に()いていた方が()いんじゃないかと思いまして… どうですか?」


「俺としては構わないが、どうしてギルドに? 商店街とか食堂街はダメなのかい?」


 逆にマークさんが聞いてくる。

 まぁ、一応それも考えたんだけど…


「まだロザミア(この街)に慣れてないでしょうから、治療院から近い方が()いかな~って思ったんですよね。私が近くに居た方が、ルディアさんも安心でしょうし」


 首を(たて)にブンブン()るルディアさん。

 首の(スジ)、痛めるぞ?

 それからしばらくマークさんと話をし、ギルドの食堂スタッフとして()(よう)して(もら)う事になったのだった。

 塩を使い過ぎない様に特訓しておくか…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ