第150話 異世界の宗教事情と私自身に対する疑問
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年末も大詰め、翌日は年内最後の休日。
つまり、今日はクリスマス・イブなんだが、異世界にはクリスマス自体が無い。
キリストもキリスト教も存在しなかった世界だから、当然と言えば当然なんだけど…
今まで考えた事もなかったが、この世界に神様や女神様の存在や、それを崇める風習は在るんだろうか?
やはり今まで気にした事もなかったが、この世界の宗教って何か在るのかな?
「基本的に一神教よね。アミルエレスって女神様が、この世界を創造したって言われてるの。存在は信じられているけど、ロザミアに教会は無いのよね」
私をこの世界に転生させてくれたのがアミルエレスって女神様なんだろうか?
本人に女神様かどうか聞いた時に、『貴方達の感覚で言えば、そうなる』とか言ってたけど…
「どうして教会が無いんですか? 信仰があるなら、礼拝する場所が無いと困るんじゃ…」
「ロザミアはハンターの街だもんねぇ。『女神様の加護に頼るな、自身の力で守って戦え』ってのが、ロザミアでの考えなんだよね」
だから、敢えて教会を建てないって事なのか?
それって、信仰が薄れたりなんて事は…
いや、私だって信仰が厚いとは言えないけど…
むしろ前世は無神論者だったと言っても良い。
神も悪魔も、人間の想像上のモノだと思っていた。
医学生だった頃から人間の死というモノに、嫌と言うほど向き合ってきたからな。
そこには神の慈悲なんて微塵も感じられなかった。
いくら人間──医者──が懸命に治療しても、助けられなかった命は数え切れない。
私自身、研修で何度もそんな場面に遭遇した。
だから神なんて存在しないってのが、私の出した結論だったのだ。
前世で死んで、女神様っぽいのに出会うまでは…
「エリカちゃんが心配する事はないわよ? 私もモーリィも部屋に小さな女神像を置いてるしね♪ 毎晩、寝る前にお祈りしてるんだから♪ どこの家庭にも、1つは女神像を置いてるんじゃないかしら?」
「へぇ~… って事は、ハンターの兄ちゃん達もですか? 粗暴で信心なんか無いと思ってましたけど、意外と信心深いんですねぇ…」
まぁ、女神様が人間1人1人を気にかける事はないだろうけど、信心深い人間なら気まぐれで助ける事もあるかな?
…いや、さすがに無いかな?
女神様1人に対し、人間の数は多過ぎるからな…
立場は違うが、私だって助けられる人には限りがあるしな。
手の届く範囲の人しか助けられるワケがない。
いや、私と女神様を同列に考えるのは、さすがに不敬が過ぎるか…
たまたま顕現して救いの手を差し伸べる事はあるかも知れないが、そうそう奇跡が起きるワケでもないだろう。
やはり人間──に限らないが──を救うのは人間だろう。
その為に私みたいな魔法医──医者──が居るんだから。
「アタシだって女神の存在は信じてるよ? アタシの部屋にもアミルエレス様の像を置いてるし。頼りにしてないってだけだよね。なんだかんだ言っても、結局は自身の実力が肝心って事だね」
身も蓋もないな…
まぁ、ミラーナさんらしいと言えばミラーナさんらしいんだけど。
でも、それが正解なのかも知れない。
「それでも教会とか礼拝堂が無いのは寂しいですよねぇ… 私達エルフもアミルエレス様は崇拝していますよ? 生活圏が森の中なので教会は在りませんが、小さな礼拝堂は在ります。毎日、誰かが供物を捧げてますね」
「ボク達ドラゴンも、アミルエレス様を拝んでるなぁ… 放浪してた時にもアミルエレス様の像を持ってたよ。墜落する度に壊れちゃってたけどさ♪ だから、今回も墜落した時に壊れたから、新しく買って部屋に置いてるよ」
何回も女神の像を壊してるって、罰が当たりそうだな…
それはそうと、私だけが女神像を持ってないって事かよ…
てか、何度か工芸品を売ってる店で女性を型取った木彫りの像を見掛けたけど、あれが女神アミルエレスの像なのか?
私が会った女神らしい女性とは似てなかったけど…
別人なのか?
それとも、誰も本人(?)を見た事がないから適当に作ってるとか?
どうでも良いけど…
「ところでエリカちゃん、どうして急にそんな事を? …て言うか、エリカちゃんってアミルエレス様の事を知らなかったの?」
ミリアさんが私の顔を覗き込んで聞いてくる。
「…知らなかったと言うか、教わらなかったんですよね。ホラ、私ってロザミアに来るまで…」
「あぁ、そうか♪」
ミリアさんは両手をパンッと叩き合わせ、なにやら納得顔。
「エリカちゃん、ご両親が早くに亡くなって、山奥で祖父母と暮らしてたって言ってたものね。確か、お爺さんが医師でお婆さんが魔導師だっけ? お2人が亡くなるまで英才教育を受けてたのよね。そりゃ、そんな生活してたらアミルエレス様の事を知らなくても当然よねぇ」
1回しか言ってないのに、よく覚えてんな…
「まぁ… その事が関係してるかは判りませんけど、言ってみれば多神教なんですよね。山奥では森とか川の恵みで生活してましたから… あらゆるモノに神の意志が宿り、私達の生活を支えて下さってるって考えだったんです。山には山の、川には川の神が居るって考えですね。海や空、大地にもそれぞれの神様が居るから、感謝を忘れずに慎ましく生きるって考えですよね」
日本の、日本人の考え──多分──だけどね。
勿論、人それぞれで考え方の相違はあるだろうけど…
「一神教か多神教かの違いだけで、殆どエルフの考えと同じですね… もしかしてエリカさんってエルフの血が…」
「入ってないです」
アリアさんには悪いが、ズバリ否定する。
私は純粋な人間、日本人なだけだ。
その日本人の基本的な神に対する考え──だと思う──を述べたに過ぎない。
「アリアちゃん。エリカちゃんの考えって、ドラゴンにも似てるよ? エルフの血が入ってないなら、ドラゴンの血が…」
「それも入ってないです」
ライザさんの意見もズバリ否定する。
「エルフの血もドラゴンの血も入ってないにしては、エリカちゃんの最大魔力容量って異常に高いよなぁ… それにアタシ、気になってた事があるんだよね…」
気になってた?
何がだろ?
「エリカちゃんってさぁ… 妙にモテると思わないか? ナッシュのバカはともかくとして、男女を問わず誰からも好かれるよなぁ?」
あんまり気にした事はなかったが、言われてみれば確かに…
「ミリアさんやモーリィさんもだし、アリアちゃんもエリカちゃんの事が好きだよな? ライザちゃんも好きなんじゃないか? 勿論、アタシもだけど…」
ミラーナさんに言われ、全員がウンウンと頷く。
「ロザミアの連中は言うに及ばず、マインバーグ伯爵やルグドワルド侯爵も好意を抱いてるし、その家族もだ。アタシの父上や母上に、弟達や妹達もがエリカちゃんに好意を抱いてる。フェルナンドやグランツ──ルグドワルド侯爵の息子──なんかはエリカちゃんに求婚までする有り様だし… 母上やキャサリンやロザンヌなんかは、何かと理由を付けてはエリカちゃんと一緒に風呂に入ってエリカちゃんを洗いたがるし…」
言わないでくれ…
どれもこれも、思い出したくないんだから…
「エリカちゃん… まさかと思うけど、魔法で周りに居る全員を魅了してるって事はないよなぁ?」
「考えた事もありませんよ、そんな事… そもそも魔法で魅了してたら、私が迷惑に思う事なんてないでしょう?」
ミラーナさんは目を閉じ、何かを考えている。
そして…
「それもそうか… フェルナンドの求婚からは逃げ回ってたし、グランツの求婚は全力で断ってたな… 母上や妹達から風呂で洗われるのも、何とかして逃げようとしてたし… だとしたら、何で皆がエリカちゃんを…」
「謎ですねぇ…」
全員が疑問に思う中、ライザさんが手を挙げる。
「あの~… ボク、魔力の流れを見れるんで… ちょっと見てみましょうか?」
そんな事ができるんかい!
いや、どんな魔法でも無制限に使える私にもできるんだろうけど、自分で自分を見れないからなぁ…
そうしてライザさんに私を見て貰った結果は、私自身が信じられない事だったのだ。
エリカ自身が知らなかった自身の秘密?
皆さんは何だと思いますか?
執筆者である私は、当然知ってますが…
次話をお楽しみに♪