第128話 餃子パーティー(仮)の材料は揃いました♡
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「エリカさん! 何ですか、このフライドポテトと唐揚げ! もの凄く美味しいんですけど!?」
戦場食堂の料理班長に教わった、牛脂で揚げたフライドポテトと唐揚げ。
教わった通りに作っただけだが、アリアさんにも好評の様だ。
「戦場食堂で作ったとは思えない美味しさだったんで、料理人にレシピを聞いたんですよ。ロザミアに帰ってからも食べたくて♪ アリアさんの口にも合った様で良かったです♡」
「ホント、美味しいです♡ こんなに美味しいと、食べ過ぎて太らないか心配ですよ…」
その言葉にギクッとするミラーナさん、ミリアさん、モーリィさん。
私は試食会と称し、テーブルの上に山盛りのフライドポテトと唐揚げを用意した。
それを5人全員で食べていたのだが…
アリアさん、その一言──太る──は禁句だよ…
「まあまあ… ミラーナさん達は普段からハンターとして運動量が豊富ですから、充分にカロリーを消費してますよ。それに、何かの本で『甘い物ばかり食べても、頭を使えば太らない』って…」
「「「それは無理っ!」」」
即答する3人。
おいおい…
まぁ、頭を使えば太らないってのは漫画のネタだろうけど…
確か『KILLER NOTE』だったかな?
対立する天才2人の駆け引きが面白くて一気読みしたんだよなぁ。
それはともかく、ミラーナさんって戦場では冴えた発言が多かったけど…
「それと普段は別だよぉ… 戦場での戦術や戦略を考えたり、敵の行動を考えたり読んだりするのは好きだけどさぁ… それ以外は何も考えたくないって言うか…」
「「同意しますっ!」」
ハモって同意するミリアさんとモーリィさん。
お前等、普段から本能でしか動いてねぇだろ…
少しは頭を使わないと、脳が腐ってしまうぞ?
腐らんけど…
この3人の場合、腐ると言うより溶けて流れ出ちゃってるんじゃないかな?
すぱぱぱぁあああああああんっ!!!!
ぼてぇえええええっ!
3人のハリセン攻撃に、私は椅子に座ったままの状態で床に倒れる。
な… なんで…?
「「「また口に出てたっ!」」」
出てましたか、そうですか…
最近、どうも気が緩んでるな…
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翌日、朝の部の診療を終えた私はアリアさんと商店街へと向かった。
戦場に居る時、作ってみようと思った餃子。
その材料を買うのが目的だ。
ただ、皮から作らなきゃならないのが面倒かなぁ…
いやいや、皮の厚みを変えて作り、焼き餃子・水餃子・蒸し餃子・揚げ餃子とバリエーション豊かにすりゃ良いじゃんか♪
何を作るか知らないアリアさんは、私が買い揃える物を見ながらあれこれ想像している様子。
「ちょっと想像するのが困難ですね… 豚挽き肉、キャベツ、ニラ、植物油、小麦粉、塩… それと、木の棒ですか?」
「ちょっと『餃子』ってのを作ろうと思いまして♪ 木の棒は、餡を包む皮を作るのに使うんです♪」
「ぎょうざ? あん? かわ? 何が何だか、ますます分かりませんが…」
だろうなぁ…
異世界に来てから何年も経ってるけど、ロザミアでも王都でも餃子は無かった。
勿論、王都までの他の街や宿場町でもだ。
結論。
この世界に餃子は存在しない。
つまり、私が発明した料理として寿司や刺身に続いて認識されるのだ!
…セコいって言わないで下さい…
昼食を食べてから食材を買い込み、夜の部の診療前に作れる物を作っておく。
さすがに一から作るのでは、その日の内に全ての準備を終えるのは無理だった。
仕方無いので下拵えだけにしておき、餃子パーティー(仮)は次の休診日に持ち越す事にした。
ニンニクも無かったしな…
戦場で聞いた話では、薬師が強壮剤の元として栽培してるって事だけど…
ギルドに行って、マークさんにでも聞いてみるか。
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「ニンニク? それならロッドさんが栽培してるよ。強壮剤として売れるらしいからね」
「成る程… でも、ロザミアに薬師は居ませんよね?」
魔法医として私が居るからなぁ…
いや、私がロザミアに来る前から居なかったんじゃ…
「あぁ、だから馬車で東に2日の距離に在る『ロッセンブルグ』って街に居る薬師の所へ売りに行ってるんだよ。年に1回だがね」
だろうなぁ…
前世… 地球ではニンニクの栽培適温は18℃から20℃で、植え付けは9月から10月、収穫は5月から6月に行うらしいからな。
温室もビニール・ハウスも無いこの世界では、季節を無視した栽培は不可能だろう。
いや、ガラスは在るんだから、温室を造ろうと思えば造れる筈…
もしかして、温室という考え自体が無いのか?
この世界にビニールは無い。
だからビニール・ハウスは造れないが、ガラスは在るのだから温室は造れない事もない筈だ。
温室を造れば季節に関係無く、様々な野菜が一年中栽培可能になる。
これは是非、ロザミアに温室を開設しなくては!
言っておくが、これは私の食欲を満たす為ではないのだ。
うん、無いったら無いっ!
…お願いだから信じて下さい…
とにかく私はマークさんの情報を基に、ロッドさんの所へ向かった。
「エリカちゃんの頼みなら断る理由は無いね。しかし、ニンニクが料理に使えるとはねぇ… 強壮剤の材料にしかならないと思ってたよ」
まぁ、世界が違うからなぁ…
世界が違えば食文化も違って当然だな。
「これ、私が考えた『餃子』っていう料理のレシピです。良かったら作ってみて下さいね♡」
私はレシピを書いたメモを渡し、必要な量のニンニクを分けて貰った。
これで餃子パーティー(仮)も大丈夫だろう。
嫌な予感がしないでもないが…
ともかく私は全ての準備を調え、休診日に餃子パーティー(仮)を開く事にしたのだった。