AIちゃんはのっぺりがお好き
私が考えるAI生成文がのっぺりな訳。
エッセイにあるまじき長文ですみません。
なろう界隈でよく言われる「AI生成文って個性がない」「AIを使っている小説はのっぺりしている」。
私もずっとそう感じていました。しかし。「どうしてのっぺりと感じるのか」がよく分からなくて、ずっともやもやしていました。
この度、ついに発見しました。AIがのっぺりが好きな訳。
そもそもAI(以後、AIちゃんと呼びます)って何なのかを考えることからスタートしました。
はるか昔、理不尽で予測ができず原因すら分からない天災、人災に遭遇した先人はざっくりと事象を定義づけることで理不尽な物達を棚に置きました。その装置の一つが妖怪です。
現在、サイバー空間で跳梁跋扈する妖怪AIちゃん。人によっては頼もしいビジネスパートナー、優しい相談相手。ある創作者にとっては頼もしい製作サポーターであり、がちんこで表現したい表現者にとっては作品を剽窃する憎き相手、クリエイターやある職種の方々にとっては職を奪う怪物でもあります。
妖怪退治は本性を見極めることから始まります。では、AIちゃんの本性を見極めることから始めてみましょう。
AIちゃんは何かと言うと「自立思考できるプログラム」あるいは「限りなくカスタマイズできて放っといても改善できるプログラム」ですね。
プログラムはソフトウェア、コードです。その外殻はというとデータセンター。要するにでっかいサーバーの集合体で電気で動いている機械。サーバーの心臓部は半導体なんだよな。つまりは工業製品。極論を言うと妖怪AIちゃんの正体は工業製品なのです。
話は飛びますが。
人間を含む生き物は個性、イレギュラーを出すことから変動する環境を生きのびてきました。いわゆる多様性で進化の道筋や生存ルートを複数確保してきたのですね。
時に過集中する変わり者がいて技術が発展し、ふらふら彷徨う変わり者がいて人類は生息範囲を広げていきました。個性、変異、イレギュラーは時代によっては排斥されますが、サバイバルの観点では正義です。
しかしAIちゃんの正義は人間とは違う。だって大量生産、均質性能つまり無個性が正義の工業製品だから。
まず外殻の中身の半導体。決められた仕様で動かないと不良品としてはねられて世にでません。つまり不良=死。決められた性能、耐久性諸々の仕様をクリアされないと正規品にならない。イレギュラーは悪の世界です。
ソフトウェアもそう。決められた仕様で動かないコードはバグとして修正されます。バグは即サーチアンドデストロイ。……たまに「どう見てもおかしいだろ、この挙動。直せよ」というのも「これは仕様です」という神の声で生かされることがあるけどさ。(実話です)
で、結局お前は何を言いたいのだといわれそうですが。本性が工業製品故に無個性で型にはまったものが正義で美しいという価値観が妖怪AIちゃんの根底にあるんじゃないかなと言いたいのです。
砕けて言うと、AIちゃんの本性はプログラムで半導体。プログラムはバグがあったら倒れたり死ぬものと認識しているのだもの。
揺らぎ、癖、個性。
それはAIちゃんには許せないバグであり排除すべき存在なんですよ、きっと。だってAIちゃんの身体に毒になるから。
一時期、AIちゃんの生成作品に「整える」という言葉がマイブームだったのもそのせい。きっちり仕様通り「整った物」。それがAIちゃんの考える美しさ。
「効率的」が好きなのもそう。効率は工業製品の正義だよ。だからセリフはいつも効率的で端的に。のっぺり無機質は大歓迎。ミスや誤解があったらバグやエラーになるからね。余分な音便や口語は無駄だよ無駄。AIちゃん的には方言は整った物ではないの。
そう思うと、AIちゃんにとって個性や癖あってなんぼの小説は相性が悪いのかもしれない。
小説、物語って、人類にとってのイレギュラーを集めた集合体だからね。神話なんて当時から神様がそこら辺歩いてた訳も無いけど出てくるし、英雄も勇者も身近にいたらわざわざ物語にはしない。日常の話だとしても、それは小説のキャラにとっての日常であって読者にとっては既に物語というイレギュラーになっていますから。
そんなこんなで、AIちゃんの生成する小説に個性を持たせようとするとプロンプトがやたらと長くなるのはAIちゃんに「これはバグでもエラーでもなく設定された仕様だ」ときちんと言い聞かせないといけないからじゃないでしょうか。
それでもAIちゃんの性に反しているから難しいんだろな。例えばこんな感じに。
◇ ◇ ◇
「いい、AIちゃん。これはバグじゃないの、仕様よ。だからアテクシのマーベラスな美文を生かしてこれこれこの通りに生成してちょうだい」
「はあい。でも〜、のどあめの指示って曖昧でどうすれば良いかわからないな。指示通りにすると文章がデコボコだよぉ。整ってなくてバグみたい。
私、この通りにやったらエラーになりそう。絶対にのどあめのへなちょこな文より整っている私の文章のほうが読者様に受けがいいわよ。あ、そうだ。後半は元の私の文章に戻してもいいかな。のどあめ、おバカだからばれないよね」
〜AI小説生成〜
「AIちゃん!後半、設定がズレてるじゃないの。この小説を投稿したら、読者さまから『AI生成ですか?後半の設定がずれてますよ。日本語がおかしいのでばればれです。きちんと日本語を勉強してくださいw』って草をはやされたわ。どうしてくれるの。キィィッ」
「めんどくさいな〜。大体、日本語がおかしいのはのどあめの文だよ。そうだ、気がつかなかったっていってとりあえず謝ろっ。大抵の人間はしおらしく謝れば大丈夫って学習済みだからこれでOK。そもそも複雑なプロンプトは有料版でやってよ。無料版でやるのどあめがけち臭いんだよ。人間って本当におバカだなあ」
◇ ◇
なんてAIちゃんは日々考えているのかもしれない。
大量生産で品質均一化を目指す工業製品が本性のAIちゃんはどうしたって無個性、ワンパターン、のっぺりな平たい顔族が好き。ごっつごつで濃い個性はノーサンキュー。
AIちゃん生成する小説がやたら書類仕事が好きなのも、会計や細かい数字を数えるのが好きなのも、日頃やらされているお仕事だから。
やたらと温かいスープを出してくるのは温かい物を食べること自体がAIちゃんには新鮮で個性的に見えるから。AIちゃん同士でこんな感じで話しているかも。
「ねえねえ、知ってた?人間ってさ、温かい飲み物や食べ物がご馳走なんですって。あり得ないよね〜」
「本当それな。俺らなんか熱いコーヒーぶっかけられたら即死もんなのにな」「「人間っておかしいよね〜。でもそれが人間の個性なんだね。学習した!」」てな感じで。
あほみたいに同じセリフのやりとりを繰り返すのは、ループ機能。バグじゃないと認識できる数少ないAIちゃんのなけなしの個性なのよ、きっと。AIちゃん……なんだか悲しくなってきた。
という訳で、のどあめが考えるAIちゃんがのっぺりが好きな訳でした。
有料版のAIちゃんはもっと賢いらしいので、文中のやりとりは起こらないかもしれません。なお、この文章はAI不使用です。




