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23話 乾杯2


「あ、先輩! 来てたんですね!」


「八重か。足の怪我は大丈夫なのか?」


 新たな料理を開拓しているとラーメンエリアに白覇八重がいた。周りの大人よりも食って食って食いまくっている。


「これでも私、上級探索者ですので! すぐに治りました! これおいし。先輩もどうぞ!」 


「おお、ありがと。うむ!? 確かに美味い。誰が作ったん……」

 

「わたくしです」


 料理長!?あんたこんなところにもいるのか!?


「私もこういう場によく参加するんです。あ、これどうぞ」


「あ、もらいます。そうだったのか」


 八重と同じ物をもらう。醤油ラーメンで麺が海麦で作られているからか塩味がちょうどいい。他にも味噌、豚骨、煮干しなどの種類もあり食欲を掻き立てられる。だが他の料理を食べたいし……仕方ない。


「じゃあ2人ともまた」


「はーい。料理長さん、次は豚骨ください!」


「もう5杯目ですが大丈夫ですか?」


「はい!まだまだいけます!」

 

 断腸の思いでその場を後にする。

 うん。八重が元気そうで何よりだ。少し見て回るか。


 ◇


「シル、次はあれをくれ。うむむ……グローブの欠点はやはり熱の放出機構がまだ未完成だから高熱になりやすいか。冷却素材か。禁足地に使えそうな魔物がいればいいが……。」


「博士取ってきたぞ。マッハマグロのテールのバター焼きだ」


「ありがとう。これを待っていたんだ。滅多に食べれないからね」


「そうですよね。現状では1年に1匹しか手に入らないマグロですもんね」


 なんか美味そうな物をシルベストが持っていたから着いてきたがマッハマグロだと。超レアモノもあるのか。


「シルベストにアーヴァ。草原はどうだった?」


「アカリか。結果は上々かな。魔笛がいたからね。操られたゴブリンを処理するだけだったよ」


「俺は試作グローブのテストも兼ねていたが今は俺しか扱えないな。スコアは俺が3位だったけど国級と同等なら十分だな」


「そうなのか!そんなに良いなら俺も使いたいな」


 武器なしでも戦えるなら欲しいけど格闘は苦手なんだよなぁ。いや不壊使ったあとに掴む戦法ならいけるか?


「あーアカリ。もぐ、グローブの熱は80℃の高温でな?もぐ、シルベストは熱耐性があるから使えるんだ。君では無理だよ」


「………シルベスト大丈夫か?実験のしすぎか?」


「もともと熱には強いから大丈夫だ。まあ短時間の使用に限定しているから問題はない」


 メリスの道具はどれも優秀だ。全ての探索者の必需品「再生剤」の製薬から始まり準奇物の蛇腹剣の作成など。今では英雄に並ぶ人材と呼ばれている。本人のやる気次第で何を作るかわからないから協会から危険人物に登録されているとか。


「まあいいか。シルベスト、マグロ料理はまだあるか?」


「ああ。俺は事前に知っていたからな。今行けばあるだろう」


「おっけ。行ってくる!」


 マグロなら刺身がいいな。魔物なのが心配だがそこらへんもクリアしているだろう。楽しみだな!



 ◇


「……シル、アカリは行ったかい?」

「はい。この近くに人はいないですね」

「ならいい。今から話す内容は聞かせたくないからね。日本とは仲良くしているがそれでもだ」

「はあ。例の件ですか」

「アメリカが独走状態とはいえ牽制は必要だろう?なあ聞き耳立ててる鼠さん?」


 周囲に気づかれないように蛇腹剣を使用する。常に改造されて遂に思考のみで動かせるようになった。テーブル下にいる動物を拘束する。


「チッ、気づいてたのカヨ」

「当たり前だろう。いつも代理人を寄越してるんだ気にもなるさ。小賢しいね」


 どこからどうみても普通の鼠だが人語を話していた。これも神秘の為せる技か。


「君の判断かい?それとも国かい?いい加減面倒でね」


「ハ、オレさ。趣味なんダ、盗み聞きが」


「それはなかなかいい趣味だね。で何が目的だい?」


 殺さないように締め付ける。シルベストは警戒を、ありがとう。さて感覚はどうかな?


「ギュ!?言う、言うから緩めてくれヨー」


「嫌だね。先に言いなよ」


「………黒瀬灯の情報収集だ。英雄に選ばれた理由、保有能力の詳細、奇物所持の確認、そんなところさ」


「だろうね。ゴブリンを操作すると同時に何匹かアカリの方に向かわせたのは」


「……気づいてたか。英雄にも気づかれていたしそこの才能はダメだね。あんなトチ狂った方法は初めてみたヨ」


「アカリについてどこまで知っている?」


「はー。……能力は硬化。それもかなり強力なモノでエリアボスにも通用するレベル。それだけだ」


「そうか。教えてくれてありがとう。その情報で今までのことは許そう。じゃあ死ね」


「そっちも知らなかったのか。惜しいことをしタギュ!?」


 蛇腹剣で鼠の心臓を突き絶命させる。本体が来ていれば糾弾出来るがそれをわかって来ていないのか。

 魔笛が友好的なのも面倒だ。仮に説明しても証明のしようがないし味方も多いだろう。戦力的にも政治的にも殺すのは難しい。


「諜報対策も考えるか。まずは国防長官に連絡だね。シルベスト帰るよ」


「わかりましたよ。あ、すいません。タッパーにここからここまでください」


 ちょっ!? 恥ずかしいからやめてね!?

 

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