7.心の試練
クリスマス投稿
察してください
受付を済ませ、待機していたユート達に、受付から声が聞こえてきた。
「ようやく受付が済みましたので、試験の方を開始したいと思いまーす!
それでは、右手にあるゲートへお進み下さい!」
そう言うフェムトの声に促されるように、集団がぞろぞろと右手に流れ始めた。
ユートもそれに倣うように歩いて行く。
門を潜ると、何故かユートは一人になって居た。
先程の受験者たちと逸れてしまったのかとユートは一瞬不安がったが、頭上から聞こえる声にその不安は打ち消された。
「それでは、心の試練を開始したいと思います。今から繰り出す私の質問に答えて行ってください。」
「はい。」
半ば反射的に、ユートは頭上からの声に応えた。
「では一つ目の質問です。貴方にとって、神とはどうあるべきですか?」
「そうですね…あくまで現業ではそう言う事をしてはいけないのですが、導くべき者だと思います。
現業の例えが続きますが、与えた力にも、今持っている力にも相応の責任があり、それをせめて悪しきことには使わぬよう、心がけを持たせるべきだと思います。」
少し迷って、ユートはそう答えた。
「そうですか、ではそれに因んだ質問を二つめとしましょう。
悪しきこと、とはなんだと思いますか?」
「すごく雑破になりますが、「他者に迷惑をかけること」です。何らかの因果がある場合はこの限りではないとも思っています。」
ユートは、今度はうって変わって迷いなく答えた。
「わかりました。では三つ目の質問です。
貴方は、神の職務を全うする上で、自分を捨てることが出来ますか?」
「それは…難しい事と思います。つい先日の話ですが、ある男を導くとき、出来るだけ自分の意見を殺しました。それでもやはり、俺は“苦しい”と思ってしまうんです。
そんな気持ちを味わいながら職務を全うするのは、難しい事だと思います。
自分自身、未熟であることは十分に承知しています。」
少し俯きながら、ユートは答える
「…わかりました。それでは4つ目の質問です。
今のお仕事は楽しいですか?」
「はい!」
ユートは即答した。
「では最後の質問です。
私のこと、誰にもバラしてませんよね?」
「はい、割とバレバレだったと思いますけど。」
「ありがとうございました。」
こうして、第1の試験、「心の試練」は終わった。
なんとこの試験は、試験結果が即受験者に分かるようになっている。
肝心のユートの点数は、92と出力されていた。
「おめでとうございます。貴方は嘘をつきませんでした。取り繕いだけの神を振るい落とすついでに、色んな神とおしゃべりするのが目的の”心の試練“如何でしたか?」
天の声が、そんなことを聞いてきた。
「お喋りって…じゃあ神とは云々みたいなのはあんまり関係ないんですか?」
素朴な疑問をぶつけるユート
「一応勘案する要素にはなりますが、基本的に嘘をついていないかが争点です。
大体、他者の業務の心構えまで気が配れるわけないじゃないですか。直属の部下でもあるまいし。」
だいぶぶっちゃけた話をするフェムト
「そんなものなんですね。てっきりテンプレート的な回答でもあるのかと思いました。」
「実はそういうテキストを試しに蒔いた事があったんですよ。そしたらその言葉を一字一句間違えずに復唱する人ばっかりで、全員落っこちちゃいました。」
「えげつないことしますね…」
「で、どうですか?余計な緊張は解けましたか?」
「!!」
不思議とリラックスできていることに気づいたユートは、フェムトに礼を言う。
「…ありがとうございます。フェムト様。」
「いえいえ、こうなった責任の一端も私にあるみたいですし…無用な混乱を招いてすみません。そういうつもりではなかった、とだけ弁明させて下さい。」
「なんでもお見通しなんですね。凄いです」
「なんて言ったって私は一級神ですからね、そのぐらいの機微は読めて当然といったところです。次の試験も頑張って下さいね?では、次の会場はこの奥になりますので、席についておいて下さい。」
そうフェムトが言うと、目の前の扉が開いた。
「はい、重ね重ねありがとうございます。」
ユートは、入る時より軽い足取りで、次の試験会場へ向かっていった。
試験編はもうちょい続きます




