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10.前回の20倍

異能をどういう風に付与するか

という、所謂”パラメータ決め‘を、魔王と勇者は引き続き行っていた。


「…と言っても、滅茶苦茶だなこのポイント」


設定しながら、ユートと郁也は、改めて両者の”9万近いポイント”に驚愕して居た。


「そんなにすごいものなのか?このポイント数は」


エルミナは、異世界転生くんに表示された「87400」という数字を指差しながら、ユートに問いかけた。


「ああ、滅茶苦茶に凄い。わかりやすくどんぐらいすごいか説明するな?

まず二人が来た時に、郁也にボコられたろ?

その郁也が転生する時に貰ったポイントが、大体1800だ。


で、今そこの一番上に表示されてる“レベル”って数値あるだろ?


郁也は、そこの数値が今大体200ぐらいなんだ。


それが5になった時点で、今のエルミナとアズモは身体能力だけなら郁也を追い越しちまう能力に出来ちまうんだ。


そこに、前世での争いの経験を乗せると、もう郁也を逆にノせちまう。


詳しく見てねえからなんとも言えねえけど、郁也の世界じゃ郁也とその他のレベルが違いすぎて、こいつ自身強い奴と戦ってねえはずだからな。


と言っても、君ら二人はレベル方式の世界じゃないから、その限りじゃないんだけどな。」


そこまでユートが話し終えると、郁也が一つの疑問をユートに向けた。


「すいませんユートさん、一つ質問させてください。


先ほど、レベル制の世界じゃないって言いましたけど、10ポイントでレベル上げるサービスって使えるんですか?」


その質問に、ユートははっとした。


「…やべえ事に気付いちまったな郁也


…出来るっぽいわ、それ」


「…どういう事だ?」


と、あまり察しの付いていない二人のうち、アズモが質問して来た。


「えっとな、今から俺が二人に振り分けるポイントってのは、”成長率”って扱いなんだ。

だからレベル1でこの能力を持って生まれた人間がレベル2になると、その能力ぶん力が増えるんだ。


でも、二人が居た世界は“レベルが上がらない”って世界なんだ。


能力は、鍛錬と強敵との戦いで身についていくって道理になってる。


そこを、俺の神の力で曲げて、今この酒場から出るまでに“レベルが上がってしまえば”、能力が恐ろしい値になっちまうんだ。


1レベルにつき10ポイントでレベルが上がるってシステムを使うとな。


例えば9万のうち1000ポイント使えば、残ったポイントで設定した能力の100倍の力を持って、転生することになる。」


その説明を聞いたエルミナとアズモは絶句して居た。


先の話と照らし合わせると、先ほどの戦いでこちらをボロ雑巾にして来た青年の、20倍近い能力


これが鍛錬なしで手に入るというのだ。


これに驚かない人間などいるはずがなかった。


「じゃあ、そんな事実も分かったことだし、パラメータ振りを再開するとしますか。」


あまりの規模の大きさに、呆けて居た二人は、ユートのそんな言葉で漸く正気に戻った。


「過ぎたる力とかそういう次元の話ではないぞこれは!そんな力を貰ってどうすればいいのだ!」


初めて慌てた様子を見せたアズモは、そんな事をユートに言った。


「まあ“過ぎたる力”ってのは同意するが、二人ならうまく使えるだろ。


無闇に力を振りかざして、力で人を支配したりなんかしようとは思わないだろ?


それなら、そのままのことをすればいいだけだ。」


アズモの問いに、ユートはそう答えた。


「前世で勇者と分かり合えなかった身の我に対しての当てつけか?」


アズモは更に問う


「そこがダメだったって気付いてるなら、お前はもう同じことをやらないさ。


それに、同じ意思を持った奴がもう一人居るんだぜ?さっきは“自ら斬られる”なんか言ってたが、お前が道を間違ったら、隣の奴は全力でお前を止めてくれるだろうさ。」


ユートは、アズモとエルミナを見ながら、そう言った。


「…貴様は我を買い被りすぎだ。だがその煽てに乗ってやろう。パラメータとやらを決めるから、説明を頼んだぞ。」


「私にも頼む、ユート殿。」


そう言って、二人はユートの目を真っ直ぐに見つめた。


その目を見て、彼らの間違いなど起きないと確信しながら、ユートは言った。


「よし、じゃあお前らを最強の勇者と魔王にして、またあの世界に送り返してやるよ!」

遅くなってすみません。

明日は多分普通に投稿出来ると思います

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