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僕が君に恋した話  作者: 有理
2/6

彼への気持ちがわからなくて

第一話に彼女の人生を少し付け加えながら、

彼女目線で書いてみました。

「好き! あなたが好き!」


あの日、あなたにハッキリ伝えることが出来ていればよかった。

そしたら、あなたへの気持ちをずっと引きずることもなかったのに。



忘れもしないあれは小4の時。

初恋のあなたに「おまえの好きな奴、誰?」って聞かれ、

照れながらあなたを指差した私。


でも、全然、本気にとってもらえなくて、

「俺以外は?」

なんてあなたの質問に、

私が適当に答えちゃったから、

あなたに、ますます誤解されちゃったね。


小4のバレンタインの日も、

本当はあなたのために持ってきたチョコだったんだよ。


「アイツに渡せよ」

なんて、あなたが言うから、

完全に振られたんだと思ったら悲しくて、

好きでもない人にチョコをプレゼントしてた。


でも、やっぱり諦められなくて、

次の年、

チョコ持ってあなたの家に行ったけど、

やることが中途半端な私は、

結局「好き」とあなたに伝えられなかったね。



それから、中2になっても、

ずっとずっとあなただけを思い続けていた時、

私は彼に出会った。




「お前、小説書いてるんだって?」


「え?あ……うん」

一度も話したことがなかった彼に突然話しかけられた。


「書いたら読ませてよ」

私は言葉につまった。

小学校の時、

クラスメイトに小説を書いていたノートを勝手に見られ、

ひどくからかわれたことがあるからだ。


「恥ずかしいからやだよぉ」

「大丈夫、俺一人で見るから」

そういう問題じゃないんだけど……。


「あ」

私が何か言おうとしたら、

彼は友達の輪の中へと戻っていった。



私はどちらかというと、

友達は少なく、一人でいることの方が多かった。


でも、彼はそんな私の間逆の世界にいた。

いつも輪の中心にいて、

みんなを引っ張っていくような人だった。


凡人の私とは程遠いところにいる人だ。


存在感のないそんな私に

彼はいつも声をかけてくれて、

ひとりぼっちな私を輪の中へ入れてくれた。


学校行事の時は常に声をかけてくれてグループに入れてくれた。

彼のおかげでひとりぼっちでいることが少なくなった。


そして、彼と幾度となく会話を交わしていくうちに、

彼は私をあだ名で呼び始めた。


演劇も出来て、ピアノも弾けて、

勉強もスポーツも出来て、

彼は私にはないものばかり持っていた。


いつも私より一段も二段も上の高いところにいた彼。



遠いところにいた彼。


でも、中3の時の国語の授業で、

彼とペアを組み、初めて人前で読んだ「夕鶴」。



初めて彼と同じ舞台に立てた気がした。



「おまえスゴすぎ!」

っと、彼に褒めてもらえ、

なんだか認めてもらえた気がして、

すごく嬉しかったのを覚えている。



彼に対するこの気持ちがなんなのか、

私にはまだわからなかった。


でも遠い存在だったはずの彼に、

私は少なからず近づけている気がしていた。


でも、特定の人と仲良くなり過ぎると、

必ず言われることがある。




「おまえら付き合ってるの?」


ほらきた。


クラスメイトの言葉に、

「それはねぇ~って!」

彼は間髪いれずに否定した。


もちろん付き合ってはいなから、

間違ってはいない。


でも、胸がズキっ!ってしたのは何故だろう?


「付き合っちゃえばいいじゃん」

ひやかしはまだ続く。


私は下を向いたまま何も言えなくなっていた。



ふと昔の記憶がよみがえる。


小4からずっと好きだった初恋の人と

仲良くおしゃべりしてた時。

「おまえら仲いいね」

っと、今と同じようなことを言われた。


その時、初恋の人に、

「俺、こいつ趣味じゃねーし」

っと、瞬殺され、

「私も好きな人いるし」

っと、とっさに私は自分を守る言葉を口にしてた。

それは初恋の人に「おまえの好きな奴、誰?」

っと聞かれるちょっと前の話だ。


叶わぬ恋だとわかってはいたけれど、

初恋の人の言葉に少なからず傷ついたのだ。



あの時と同じように、彼にも

『俺、こいつ趣味じゃねーし』

とか言われるのを、

私が覚悟したその時!




「付き合ってみる?」


彼にかけられた意外な言葉に、

私は思わず顔をあげ、彼の方を見た。


『冗談だよね?』


私は心の中で彼に問いかけた。


本気にしたらまた笑われる。

私を好きなんて、冗談に決まってる。


でももし彼が、本気だったら?

本気の言葉に冗談で返したら、それはそれで嫌な思いをさせるかも。


結局、言葉に詰まって、私は何も言えずにいた。



「あかん、俺振られたわ~癒して~」

彼がそう言って、

近くにいた男子に冗談っぽく泣きついて、

「どっ」っと、まわりに笑いがおき、

冗談という形でその場は終わった。



それから、彼の本心がわからぬまま、卒業の日となった。


最後の思い出に、

私はクラスみんなに寄せ書きを書いてもらうことした。


一番最初に隣の席だった彼に声をかけたけど、

「俺、考えておくから、最後でいいよ」

そう言われたので、みんなのところを先に回った。


「書いてくれる?」

一通り回ったので、

最後に彼に書いてもらおうともう一度彼に声をかけた。


「俺、最後でいいよ」

「うん、もう最後だから」

私は彼にアルバムを渡した。


なんて書いてくれるのか気になって、

私は書いてる彼の横から覗き込もうとした。


でも、彼は私に見えないように書くと、

「後で読んで」

っと、すぐにアルバムを閉じてしまった。


「頑張れよ!」

っと、彼は私の方を見ずに、

少し照れくさそうに声をかけると去っていった。



アルバムをあけると、そこには……。



『君の本でいつか劇がしてみたい。

いつも静かに笑ってる

その内側(心)に触れたかった。

      I Love you』


I Love youって……。


冗談なのか本気なのか

わからないその寄せ書きのその言葉に

聞きたいことは山ほどあったけど、


もし、本気で彼が私のこと好きだったら、

どう返事すればいいのか、私にはわからなかった。


自分の彼への気持ちが

どうにもうまく説明できなかったからだ。


私はその日、

とうとう最後まで彼に話しかけることが出来ず、

中学を卒業して彼と会えなくなってしまった。


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