表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕、妖狐になっちゃいました  作者: yukke
最終章 妖狐婚礼 ~狐の嫁入り~
484/500

第陸話 【2】 天神と星神の激突

 そして、体勢を立て直した僕に向かって、また天津甕星が突っ込んで来ます。


「天神の浄化斬(じょうかざん)!」


「甘いわ。星神の殲滅斬(せんめつざん)!」


 浄化の力を宿した、鋭い刃を飛ばした僕に対して、相手は邪悪な力を宿した刃を、複数飛ばしてきます。

 こんなもの、僕の浄化の力で消してしまえると、そう思ってしまうけれど、相手の邪な思いが強ければ、そう簡単には消せないのです。


 しかも、それが複数となると、更に打ち消すのが難しくなります。


「くっ……!!」


「ぬん!」


 とにかく僕は、相手の刃を避けまくるけれど、相手は僕の刃を、拳1つで消し飛ばしました。だけどこれは、ちょっとした手数の差です。これくらいなら……。


「何をどう考えているかは知らぬが、戦いとは、トドメを躊躇(ためら)わなかった者の勝ちよ」


「……なっ?!」


 天津甕星がそう言った瞬間、突然僕の足が熱くなっていきます。良く見ると、僕の足が深く切れていて、そこから大量の血が出ていました。こういう場合、痛いというよりも、その部分が熱くなるんですね。

 なんて関心している場合じゃないです。相手の刃を、1本見落としていた? 僕自身が昇華しているから、この傷は直ぐに治ったけれど、死角に刃あったって事ですよね。


「そら。今度は避けられるか?」


「ん~っと、それじゃあ避けません。天神の禊!」


 それから、また天津甕星が同じ攻撃をしてきたけれど、それならそれで、別の方法を試すだけです。

 だから、風の神術を強化したこの術で、相手の刃を吹き飛ばしてみます。そしてその後に……。


「狐狼拳、天神柱(てんじんちゅう)!!」


「がはっ?! なっ……いつの間に!?」


 そりゃ攻撃を受けてばかりじゃいられません。後ろに回り込み、右腕の火車輪を展開し、僕の妖気を沢山流し込んで、白金の炎を逆噴射させ、相手の背中に拳を打ち込みました。

 力が上がったからか、それはまるで、光の柱のように見えました。炎の密度がより高くなって、そう見えたんですね。


 だから咄嗟に、技名の後に付け加えちゃいました。それに、普通の狐狼拳よりも威力が上がっているからね。


 今まで敵対して来た人や妖怪、妖魔達なら、今ので一発KOですよ。


「ぐっ……ふふふふ。やりおるな」


 だから、お前も吹き飛んでおいて欲しかったです。まさか踏ん張るなんて……これで吹き飛ばないなんて。


「チート……」


「それは貴様もだろう!!」


「うひゃあっ?!」


 しかも、そのまま自分の背中に腕を伸ばし、僕の手をしっかりと掴むと、前方に向かって投げ飛ばしてきました。咄嗟に手は引いたんだけれど、相手の方が速かったですね。


星神砲(せいしんほう)!!」


「技名雑になってる! 天神神威斬(てんじんかむいざん)!」


 その後に、投げ飛ばした僕へ向かって、相手は光り輝く星の塊の様な物を投げ飛ばしてきます。砲弾みたいですね。それを僕は、御剱で斬り裂きます。それから体勢を立て直し、地面に着地です。


「ふん。貴様も組み合わせているだけだろう。本当は分かっているはずだ。命を賭けた真剣勝負の最中にーー」


「ーー技名なんて、叫んでいる暇はない!」


「その通りよ!」


 すると天津甕星は、また光り輝く星の塊を投げ飛ばしてきます。それを、僕はまた斬る。

 だけど相手は、今度は沢山の星の塊を投げてきています。つまり、手を止めたらマズい。次々と襲ってくる星の塊を、次々と斬り裂いていかないと。


「さぁ、いつまで持つ?」


「こっちの台詞です。その内、あなたがスタミナ切れを起こすでしょうね」


「ふん。余のスタミナ? 神にそんなものがあるとでも?」


 あっ、そうか。そもそも人間とは出来が違うから、スタミナの概念がないんです。だってそんなのがあったら、この世界を見守れませんからね。


 それなら、なんとか打開策を見つけないと、ずっとこのまま?


 そんな事を考えている間にも、次々と星の塊が飛んできます。

 こんなの……斬りつけているだけだと、その内僕の方が押し負けそうです。相手はそれを狙っている。それなら……。


「ふっ……!!」


 僕は身を低くし、飛んで来る星の塊を避けると、一気に前に走り出します。


「ほぉ、ようやく攻めて来るか……だが、もう遅いわ!」


 確かに、気が付いたら星の塊の数が、とんでもない事になっていました。これはまるで、流星群みたいです。横に飛んでいるけどね……。


 それでも、近付くと同時に星を斬り裂けば、隙間は出来ます。そこを縫うようにして進んで行けば……。


「むっ……」


 その内、相手に辿り着けるって訳でーー


星神極砲(せいしんきょくほう)!!」


「うぐぁあっ?!」


 ーーと、そう思っていた次の瞬間、天津甕星が更に大きな星の塊を飛ばしてきました。これ、もう隕石です。

 避けられなかったから、御剱で受け止めるしかなかったけれど、あまりにも大きすぎたから、思い切り押されてしまっています。それと結局、技名言っちゃっているじゃないですか。


神威神斬(かむいしんざん)!」


 とにかく僕は、御剱を思い切り振って、目の前の隕石を斬り裂きます。それと同時に、真空の刃も飛ばして、相手に攻撃をします。だけど……。


「弱いわ」


 相手は避ける素振りすら見せず、身に纏った鎧で防いじゃいました。やっぱり、アレ硬いですね。これくらいじゃあ駄目ですか。

 それと、僕の攻撃を防いだ瞬間、相手が攻撃を止めました。だけど、その直ぐ後に、またさっきと同じ攻撃をしてきます。芸がないですね。というより、さっきこれで押していたから、いけると思われたかな?


 残念、2度は通じないよ。


「術式吸収!」


「……ちっ、なるほどな」


 そして僕は、吸収した相手の術を返します。


「強化解ーー!」


 だけどその時にはもう、天津甕星の姿は目の前から消えてました。ということは……。


「ーー放! そこです!!」


「ぐっ!!」


 本当に、ギリギリでしたね。相手の、星の攻撃による術を返す瞬間、僕は後ろを振り向き、同時にその腕も後ろにやりました。

 すると、天津甕星が禍々しいその腕を、僕に突き刺そうとしていました。しかも、あと数センチという所です。


 だけど、ギリギリで僕の強化解放が間に合ったので、強化した相手の星をぶつけます。


「ぐぉぉおお!!!!」


 やっぱり、自分の力は効くみたいですね。だいたい皆そうなんですよね。

 それに、沢山飛ばしてきていた相手の星を、一気に吸収して、1つに纏めて返しているので、相手は相当効いているみたいです。


 そして遂に、天津甕星はその攻撃で吹き飛び、地面を二転三転して、うつ伏せで倒れました。

 やっと、相手にダメージを。ここまで長かった……本当にこいつは、今までで1番の強敵です。星の神様なんだから、当然なんだけどね。


 それでも、どこかで僕は、なんとかなるだろうと思っていました。いや、今も思っていますよ。だって、白狐さんと黒狐さん、それに他の皆も、僕の勝利を信じて戦ってくれています。

 だから僕は、勝つしかないんです。勝たなきゃ駄目なんです。こんな自分勝手な神様に、僕達の世界を汚させはしません!


 だから、このまま追撃です!


「トドメです!」


「……なっ?! これは……!」


 そして僕は、自分の白金色の狐火を上空に飛ばし、途中で固定させると、それを徐々に大きくしていきます。まるで、太陽みたいにね。


「くっ……!! 仕方ない……星神砲」


 すると、うつ伏せで倒れていた天津甕星が急いで起き上がり、僕の作り出した炎の塊に向かって、光り輝く星を飛ばしてきました。


 どうやら、天津甕星は倒れたフリをして、力を溜めていたようです。だけどね、感知能力も格段に上がっている僕の前では、それは無意味ですよ。分かっていましたからね。だから追撃したんです。


天神光輪弾(てんじんこうりんだん)!」


 そして、十分に大きくなったその炎の塊を、僕は相手に向かって落とします。

 もちろんその途中で、相手の飛ばしてきた大きな星と激突します。でも、負けないよ。


 もうこれでーー決めます!


「うぅぅ……ぁぁああ!!」


「ぬっ……ぐぅぅ!!」


 そのお互いの攻撃が激突した瞬間、激しい衝撃波が辺りに広がり、僕達を吹き飛ばそうとしてきます。

 それを僕は、しっかりと踏ん張ります。これで吹き飛ばされた方が負けちゃいますからね。


 たとえこっちの力が尽きても、僕は絶対に膝を突きません!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ