17話 なんか雰囲気がいつもと違いますわ!
――朝
私はいつも通りの時間に目を覚まし、筋トレを行うための服装に着替える。スパッツタイプで筋肉の動きが阻害されることがないこの服装を、私は気に入っている。
ヒラメ筋を中心に鍛えていくことにした私は、両手にダンベルを持ち、5cmほどの台の上にかかとを出した状態で乗る。
あとはかかとが下がった状態から、地面に対して平行になる位置まで上げ下げを繰り返していく。
――さあ、後1セットですわ、、、!
この筋トレはふくらはぎに効果の出る筋トレであるが、ふくらはぎは大胸筋や広背筋などの比較的大きい筋肉に比べて成長が見えづらい。しかし、成長が見えにくいからと言ってさぼっていいわけではない。
こういった地道な筋トレを日々続けていくことこそが、完璧なプロポーションに繋がるのである。
「くぅ、、、っ!」
ラスト三回というところまで来る頃には、ふくらはぎの筋肉が重たくなったような印象を受けた。
――ラスト1回ですわ、、、!
私は渾身の力でラスト1回をフィニッシュする。
「はぁ、はぁ、、、」
私は台から降り、一旦その台の上に座り、息を整える。地味な筋トレでも、最後まで全力で行うとやはり息切れを起こしてしまう。
しかし、筋肉の張りから、着実に成長している雰囲気は感じ取ることができる。
――今日も私は頑張りましたわ、、、!
達成感に喜びを感じている途中で、マリーがやってきて、「お嬢様、筋トレもいいですけど、着替えないとぎりぎりの時間になってしまいますよ?」
といつも通りのあきれ顔で私に伝える。
気が付けば割と時間が経っていたようだ。「マリー!分かりましたわ!」私はマリーにそう答え、汗を流すために湯浴みをして学院の制服に着替える。
――そういえば、今日からこれを着けていかなければなりませんね
私は先日クロエと交換しあったイヤリングの存在を思い出し、そのイヤリングを耳に装着して登校することにした。
「さ、今日も頑張りますわ!」
私は元気よく邸宅を出て学院に向かった。
◇
~学院~
「あ、セシリア様おはようございます!」
「ええ、クロエ、おはようですわ」
「そのイヤリング、、、着けてくださったのですね」
「ええ、勿論ですわ。先日クロエからプレゼントして貰いましたしね」
私がそう言うと、クロエは嬉しそうな表情を浮かべ、もじもじしている。そして、クロエの右耳を見ると、私が先日プレゼントしたイヤリングを早速着けてくれているみたいだ。
――あら、よっぽど嬉しかったのですわね
そんなクロエの様子を見て、私は微笑ましい気分になる。
それはそうと、今日はなぜか他の生徒の視線を感じる。私とクロエが話しはじめたところからその視線が強くなってきたような印象を受ける。一体なぜなのだろうか?
「それにしても、、、今日は周りからの視線を感じますわね」
「き、、、きっと気のせいですよ。そんなに気にしなくていいと思いますよ?」
クロエは少し焦ったような、でも嬉しそうな表情は崩さないままそのように答える。
何か変なものでもついているのだろうか・・・?
私は少し疑問に思いながらも、そのまま授業を受けていった。
◇
~生徒会室~
「皆様、ごきげんようですわ」
放課後になり、私とクロエは生徒会室に入室する。今日はハリアー様とマルケス様、そしてバラン様が先に来て生徒会の業務を行っているようであった。
「ああ、セシリア。来たか」
ハリアー様がこちらに視線を向けると、「む?その耳飾りは?」と私の耳についているイヤリングを早速発見する。
「ああ、これは、、、」「これはセシリア様とお揃いでプレゼントしあったんですよ」
私が答えようとすると、クロエが先にハリアー様たちに対して答える。
「そ、そうか。それにしても、そなたたちは仲が良いのだな」
「ええ、私とセシリア様は深い絆で結ばれておりますから」
クロエはフフンッといった表情でハリアー様と他の生徒会メンバーを見ている。
「おお~、クロエ嬢ちゃんも思い切ったことしたなぁ。だってそれって、、、」
「バラン様、それ以上は言ったらダメです!」
「お、おう、、、分かったよ、クロエちゃん」
何かを言おうとしたバラン様に対し、クロエは少しきつめの口調で静止を掛けた。それにしても、一体バラン様は何を言おうとしたのだろうか?少し気になるが、クロエが止めたのだからここでそれを聞くのもおかしな話だろう。
私はむ~、、、と考えていると、クロエが「セシリア様、席に座って今日分をパパっと片付けてしまいましょう?」と言ったので、「ええ、そうですわね」とクロエに返し、席に座って今日分の作業に取り掛かった。
――まあ、いつか思い出した時にでもクロエに聞いてみましょう
私はそう思いながら書類関係を片付けていった。