どういう感情なんだろう
待ち合わせに友達が来ない。
時計を見ても、待ち合わせの時間はとうに過ぎているはず。メッセージを確認してみても、日時もあっている。
何かあったのだろうか。
道行く人を見てぼーっと考え事をする。
暗い気持ちになってくる。
周りを見渡しても、私みたいに暗い感情の人はいない。みんな、休日を楽しみにしているような顔だ。それもそうだろう。今日は周辺で大型のショッピングモールがオープンする。何もなかった町が変わろうとしていることに、みんな期待をしている。
いつだって何かが始まるときはわくわくした気持ちでいるものだ。
私もその一人のはずだったが……。
数日前に恋人と別れた。きっかけはなんだったか。最後のほうはお互い喧嘩ばかりで、どっちが悪いとかどっちが悪くないとか、そういうことでもなかった気がする。
結局どうでもよかったのか。自分を責めてみても何も変わらないのはわかっていたけれど、止められなかった。
私も悪いし、彼も悪い。ごめんなさいがお互い言えなくて、結局最後は悲しかった。
涙を流したくても、涙を流すことはできなくて。
いったい何のために生きているんだろうと思ったりもした。
時間がただ過ぎて、年を取って死ぬんだろうか。そういう人生は、どうなのだろうか。
これは、どういう感情なんだろう。
――ごめん、急に用事が入って。今度埋め合わせするね!
スマホにメッセージが入ってため息が漏れる。別に友達のことを怒っているわけではない。むしろ今の感情で友達と会ってもお互い楽しくなかっただろう。
わたしはその場をとぼとぼと歩き出す。
目的もなく歩いていると、わたしって本当にどうでもいい存在なんだなと思えてきた。学生時代に何かに打ち込んできたわけではないし、今の仕事も楽しいわけでもない。
本当に、何の感情を持っているのかわからない。
恋人と過ごしていた日々も、本当に楽しかったのだろうか。
いや、楽しかったに違いない。
あの笑顔、あの表情、嘘は一つもなかった。
ただ、戻ってこないだけ。
この感情に名前を付けることはできない。
この気持ちはもう、止めることもできない。
終わりは、始まりなのかもしれない。
そうじゃないのかもしれない。
でも、世界は終わっていない。
どんなに時間がたっても、今日は変わらない。
だから、少しだけ前を向こうかと思い始める。
空白だらけの世界に色を付けたら何色になるだろう。
自分から行動していくことは、今までしてこなかったけれど、これからは少しだけ意識してみよう。
この感情は、どんな言葉で表せられるだろう。
私は町にそっと消える。




