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とあるビルオーナーの宇宙戦記  作者: ヨシペイ。
第2部 残虐公爵とライガール王国
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第2部 6話  『六将の強さと現れた男』

 ダレクの戦斧と、ガイバーンのメイスが激突する。

 金属同士がぶつかり合い、火花が散り、空気が震えて鐘の様な音が響き渡る。ダレクの狙い通りであった。



 流石にこの音を聞けば、近くに控えている警備の者達が駆けつけるだろう。



「ガハハハ! どうした、どうした? ダレクとやら。戦闘にまるで身が入っておらぬではないか!」

「ふむ……貴様ら何かしているな?」

「さて、難しい話は儂にはわからん!」



 いくら激しい音を立てても、周囲に響いている感じがしない。周囲に配置した部下達に聞こえない筈はない。

 敵の妨害なのは間違いないだろう。

 ダレクの読み通り、確かに今この部屋は周囲とまるで切り離された状況にある。



 無論、攻めているガイバーン達の仕業だが、ガイバーンは知らないふりをして、ダレクをからかっている訳ではない。ガイバーンは理解していないだけだ。

 彼は噂の海賊ウェスティンの部下、それも名のある六将の一人と戦えると聞いて、勝手について来ただけなのだから。

 こうして刃を交えている今、戦闘以外に興味は無いのである。



 ダレクの計算では今頃、やって来た部下達を交えて乱戦になっている筈だった。

 拠点にいて、数の力を使わないのは、効率が悪い。あてにして良かったんじゃねぇですかねぇ……。

「ま、使えねぇんじゃしょうがありませんねぇ」



「何だ!?」

 不意に戦斧から手を離したダレクの体が加速する。大きく振り上げた拳を、ガイバーンは避ける事が出来なかった。



 直撃し、反動で吹き飛ばされ、壁に当たってようやく止まる事が出来た。バイゼル星人の岩の様な硬い体を通過して、体の芯に残るダメージがある。

 ガイバーンは自分が血を流しているのを発見した。それを手の甲で拭うが、痛みをまるで感じない。戦闘の興奮が、痛みを上書きしていた。



「強いのう、流石は六将と言ったところか」

 だが、ガイバーンの呟きを、ダレクは聞いていない。間髪を入れずにゼクウが攻撃を開始し、その猛攻をしのいでいたからだ。



「ふむ、鍛えられた良い攻撃だ」

「喋る余裕があるとは随分と舐められたものだ」

「そう言う君こそ喋っているよねぇ」



 右に左、左に右。下から上から、ゼクウは思いつく組み合わせで、片端から攻撃を放つが当たらない。

 交わされる、交わされる。



「焦るかぃ、焦るよねぇ。すると、こうなると!」

「!?」

 背面側から足を払われて、ゼクウは天地がひっくり返る光景を見た。見た瞬間には手を頭側に伸ばして、床を掴んでいた。

 そのまま腕の力で、体を跳ね上げて、距離を取る。



「リカバリーされちゃったかぁ。残念。やっぱり君強いねぇ。頭がぐしゃっと潰れたら楽しかったのに」

「化け物か」

「おう、ゼクウ殿。同時に攻めるぞ」

「心得た」



 立ち上がったガイバーンとゼクウが連携して、ダレクを攻めるが、ダレクは二人を相手に一歩も引かない。

 いや、受け手攻め手において、僅かずつ二者を凌駕している。

 苛烈だが、どこか相手にコントロールされた感のある戦闘が続いて、再び床に倒れ込んでいたのは、ガイバーンとゼクウの方であった。

 二人の額に、冷や汗が浮かんでいる。



「二人共、一体何をやっているのですか!」

 叱責したのはヨルコである。



 彼女は超能力を使い、この部屋の騒ぎを外に漏らさない様にしていたのだ。そしてもう一人、ヨルコの横に立っているのは、アンリエルである。

 アンリエルは彼女の眷属を呼び出していた。眷属は光輝く体を持ち、彼女の意思を汲んで動く。

 部屋の外で不審な動きをする者達を、監視しているのだ。

 既に二人を昏倒させて縛り上げている。



 ヨルコとアンリエルのこの行動があったからこそ、ダレクを孤立させ、戦闘が行えているのだった。

 しかし、孤立して不利な筈なダレクが、ゼクウとガイバーンを圧倒している。

 アンリエルの我慢も限界であった。



「何をしているのだ。こうなったら、ワタシが……」

「駄目ですわ。ご主人様の言葉を忘れたのですか? 脱出が優先。敵わないと判断したら、その場で撤退する様に言われていたでしょう?」



「ヨルコ。敵を良く見ろ。あれで六分の一なんだぞ? こんな好機、そうあるものじゃない。ここで引いて、マスターの望みが叶うと思うのか?」

「それは……」

「ならば、五分だ。五分だけ、ワタシに時間をくれ」

「五分だけですわよ」

「ありがとう」



 眷属を操作するのに集中していたアンリエルが纏っていたのは、普段着の方である。守の趣味がど反映したセクシー女教師の様な服装であったが、アンリエルが集中する事で服装が変わっていく。

 霊装であるビキニアーマーに変化して、腰に剣が装着される。



 外を守っていたアンリエルの眷属の姿が、光の粒子となって消えていく。

 敵の強さは確認した。

 与えられた時間は短い。

 最初から全力で挑まねばならない。



 一方で、ヨルコは能力の精度を更に高めていく。

 音漏れを防ぎながら、外部からの侵入を阻む見えない壁を築いていく。当然、壁に触れた者がいたら異変に気づく筈だ。

 そうなれば、もう音の封じ込めに意味は無い。壁の強度に全力を尽くし、敵の侵入を阻む。

 これで五分は稼げる筈だと、ヨルコは踏んでいた。



「二人共、後ろに下がれ」

 アンリエルが跳んで、指示されたゼクウとガイバーンは後ろに下がった。



「これは驚いた。お前の様な女がエースか?」

「口を閉じていろ、下郎。ワタシのマスターが貴様の首を所望だ」

「それは物騒だねぇ」

「全力でいくぞ。覚悟しろ!」



 例えるなら、アンリエルの動きは小型の台風の様な物であった。回転し、斬りつける。ダレクが戦斧で受け止めるが、止まらない。踏み込み剣を引き、また、それを斬りつける。

 ダレクの腕が裂け血が飛ぶが、致命傷には程遠い。



「ちっ、強いな」

「くっ! 時間が無いのだ。無駄な抵抗を止めろ!」

 アンリエルの心に焦りがあるのをダレクは見て取ると、明らかに防御中心にシフトしていく。



「手助けする!」

「多勢でと言うのは趣味では無いが、止むなしじゃな」

 ゼクウとガイバーンが、アンリエルに加勢するが、それでも防御に徹したダレクを突き崩せない。

 戦闘は苛烈を極めたが、時間は虚しく過ぎていく。



 外からは既に、敵の声とヨルコの築いた、見えない壁に対する攻撃の音が聞こえてきている。

 ヨルコが悲鳴を上げる。



「もう、限界です。今脱出しないと、逃げられなくなりますわ」

「くっ!」

「おやおや、結局は俺の勝ちってわけだが、そうやすやすと逃しやしませんがねぇ」

 今度はダレクが攻勢を強める番であった。



 戦斧を力任せに振り回す。

 アンリエルは両足を踏みしめて、その一撃を受け止めた。

 ここまでか、敵将の首も取れず、ワタシは逃げ出すのか? アンリエルの顔に悔しさが滲んだその時であった。



 壁の一部が爆発する。

 ダレクの手下が乱入してくるのかと思ったが、ダレクの表情を見るとそうでは無い様だった。

 攻められていても、どこかに余裕を残していたダレクの顔に焦りが見えた。



 爆発によって空いた壁の穴の向こうから、カツカツと言う音が聞こえてくる。



「こりゃあ、不味いですねぇ……」



 そこに、一人の男が立っていた。

 松葉杖をついた、片足の男である。



「面白い事をやっているじゃあねぇか! 宇宙海賊ジョン・シルバー、ここに見参。一つ俺も混ぜて貰おうかぃ!」

 そう言って、男は豪快に笑ったのである。





□現在のオーナー状況

職業:四分の一ビルオーナー

オーナーポイント :11145ポイント。

配下:幼女1、タヌキ1、老エルフ1、ゴブリ1、ゴブシャ1、ゴブ17、ビキニアーマー1、コロボックル14、XYZ各1、カースクラー商会の面々3、暴風壁1。

今の迷子:王国王女、王国騎士団長。

ビルサイズ:3フロア。

分割ビルA(ラフシー商会ビル):1フロア

備考:敵の敵は味方……かどうかはわからない。

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