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日本のあちこちに「禁断の場所」と言うものがある。
俺の田舎にも一つあるのだ。
それはいまや誰も寄り付かなくなった神社だ。
爺さんが言うには「もう百年は誰も行ってなんじゃないか」と。
そして爺さんが子供のころ、それもある日突然「あの神社には立ち入るな」と言われるようになったという。
理由は爺さんも知らなかったが、とにかく恐ろしいところだと言う話だ。
俺も子供のころからその話は聞いていたが、そんな放置された神社にはなんの興味もなかった。
ところがなぜかある日、朝起きるとその神社が気になってしかたがなくなっていた。
どうしてかは自分でもさっぱりわからないが。
最初は我慢していたが、そのうちどうにも我慢ができなくなった。
――行ってみよう。
俺は行くことにした。
神社まではそう遠くはない。
なんならこの集落で俺が住んでいる家が、一番神社に近かった。
ほどなくして着いた。
鳥居はなんとか倒れないでいるだけの状態だった。
奥に進んだが、さして大きくない神社だ。
すぐに本殿に着いた。
本殿は完全に崩壊していた。
――なにもないな。
帰ろうとしたとき、聞こえてきた。
すぐ近くから。
「人間がいるぞ」
中年男の声だった。
「男だわ」
若い女の声だ。
「久しぶりだ」
老いた男の声。
「うれしいな」
幼い少女の声だ。
激しくまわりを見渡した。
しかしどれほど見ても、誰一人見当たらない。




