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第2話 ジンとプール(下)

 温泉から出る前にもう一度軽くシャワーを浴びて、脱衣所に行く。脱衣所はちょっと寒くて急いでタオルを体に巻く。

 服を着たらドライヤーの所に行って、髪を乾かす。シュノは自分で乾かしていたけど、ジンは悟空が髪を乾かしてくれた。だから代わりに悟空の髪をジンかま乾かしてあげた。

 悟空は髪が長いから、乾かすのに時間がかかった。


 謎にある体重計に乗ってみたり、ちょっとベンチに座って余韻を味わった後に荷物を纏めて、脱衣所をでる。脱衣所を出ると出口に牛乳やコーヒー牛乳等を売っている自販機があるので、そこでジンはコーヒー牛乳、悟空はいちご牛乳、シュノはフルーツ牛乳を買った。


「飲む?」

「うん。悟空、ちょっとちょうだい」

「いいぞ」


 甘い、美味しい。温まった体に冷たい飲み物はいいね。ジンは家ではお風呂の後に、冷水を飲んでいる。冷たい水が体の中を流れる感覚、ハマるんだなこれが。

 冬だって冷水だし、なんなら氷入れて飲むからねジンは。


 飲み終わったら帰るために、外に出る。だけどその前に、ドクターフィッシュがあったからやってみる。痒くてそんなに長くはできなかった。

 バス停はすぐ近く。でも少し歩く。プールがある施設の中は涼しかったけれど、外は蒸し暑かった。涼しいところから暑いところは、長時間は嫌だけど少しだけなら、多分サウナみたいで気持ちいいんだと思う。これジン好き。サウナは苦手だけど。


 バス停まで多少汗ばんだけど、バスの中も涼しいから快適だった。人が少なかったし当たりのバスだったから、帰りは酔わずにすんだ。一四時に近くなっていたし、プールに温泉と水に浸かって体力を使ったので、すごくお腹がすいている。

 駅周辺にある料理店で、お昼ご飯を食べようとするけど何にしようか迷う。


「何食べるぅ?」

「ジンは、唐揚げ」

「いつも唐揚げだな、ジンは」

「ハンバーガー食べたぁい」

「ハンバーガーにするか」

「ハンバーガーにしよう」


 ハンバーガーのチェーン店でお昼ご飯を食べることになった。ジンは実の所、ハンバーガーが好きではない。嫌いではないけれど、好んで食べない。

 なので、野菜とジュースとナゲットを多めとポテトとパンケーキを頼んだ。シュノはハンバーガー食べてた。


「少し食べるか」

「……。……。」


 悟空の提案に、ハンバーガーと悟空の顔を交互に見て悩んだ。大食いではないけど少食でもないジンは、少しだけ食べることにした。ハンバーガーに顔を近付けると、悟空がハンバーガーを近付けできたのでかぶりつく。

 食べた感想としては、まぁハンバーガーだった。


「次どこ行く?」


 遊び足りないらしいシュノは、どこかに行きたいらしい。そんなシュノに悟空が何ヶ所か挙げていく。


「遊園地、室内遊園地、公園、ミュージアム、行こうと思えば動物園も水族館もいけるが……」

「遊園地!」

「じゃあ、遊園地だ」

「やったぁ!!」


 食べ終わったら、電車に乗る。人が多くて混雑しているから椅子に座れなくて残念だった。悟空は男に戻っていて、ジンとシュノは二人して悟空の両足に抱き着いて揺れに耐えた。

 遊園地に着いたのは一六時近くだっけれど夏だからまだ明るくて、外で暑いのに遊園地だから人が多かった。


 大きな観覧車が有名な遊園地。とりあえず一番最初にそれに乗った。どんどん高くなっていくゴンドラ。右を見れば高いビル、左を見れば港とレインボーブリッジ。

 何度か観覧車が止まって、周り切るまでに普段より時間がかかった。どうやら足を怪我している人や車椅子の人が多いタイミングだったらしい。


 下に降りるとアニメとコラボしていたようで、キッチンカーでコラボ料理を売っていた。クレープだ。ジンとシュノも見ているアニメだったので、二人で悟空を見見上げた。


「欲しいのか。まぁ三時のおやつは電車に乗っていて過ぎてしまったし、おやつまだだもんな」

「やったぁ! 飲み物もいい?」

「ああ」

「ジン、チョコとバナナのクレープがいい」

「んー私は……イチゴのぉあれがいい」

「飲み物は?」

「パイン」

「この青いの何ぃ? よくわかんないけど、青いのでぇ」

「分かった」


 コラボ料理に着いてくるグッズは、ランダムのコースターと小さなアクリルキーホルダー。キャラクターのイメージカラーの飲み物を選ぶと、そのキャラクターのアクリルキーホルダーが貰える。コースターらランダムだけれども。

 とはいえ確定で好きなキャラのグッズが手に入るから、嬉しい仕様だった。

 悟空もクレープを頼んで、飲み物はシュノが欲しいと言った別のキャラクターの飲み物にしていた。近くのベンチに座ってコースターを確認する。


「せーの」

「おー、被らなかっただけいいか」

「いいなぁジンはジンの好きなキャラじゃん」

「シュノのは違ったけど、悟空のはシュノが好きなキャラだよ」

「ほら、あげよう」

「やったぁ!」


 この遊園地一デカイジェットコースターと小さな絶叫系の乗り物が、タイミングよく同時に来たので写真を撮る。小さな方の乗り物でで来た水飛沫が飛び、その中に落ちていくジェットコースター。すっかり夕空に浮かぶ傾いた太陽も写って、いい一枚になった。

 クレープを食べ終わったら、フォトスポットのハートのベンチで写真を撮ったり、ジェットコースターに乗る人々の悲鳴を聞いたりして、次何に乗るかを話し合った。


「ここの乗り物は乗れないのが多いからぁ、隣行こぉう」

「バナナ乗ろう」

「自転車漕ぐやつのりたぁい」

「メリーゴーランドはどうだ?」

「のるぅ」

「乗る」


 橋を渡って隣のエリアへ向かう。目の前に見えるのに距離があって、プールで遊んだのもあって疲れてきた。人が居ない道をシュノは元気に走っていく。ジンも体力はある方だけど、シュノは凄い元気だ。半妖だからかな?

 最初はメリーゴーランド。二階建てのメリーゴーランドに二回乗った。最初は一階で二回目は二階。


 次はバナナの小さなジェットコースター。子供が乗れるジェットコースターで、これは好きなので三回連続で乗った。一番前の席がいいんだこれは。

 次に空中の自転車。二人乗りだけどジンとシュノは一人で乗れる身長になってないから、悟空が分身して交互に乗った。シュノと分身が漕いでるのを一人で待つなんて危ないから、悟空と下から見てた。

 シュノは途中から漕ぐのやめていた。分かるよ、その気持ち。結構ペダルが重いんだこれ。


 次は空中ブランコ。クロックスだったから、脱げるかと思った。二回乗った。

 子供用の乗り物は少ない。これが朝からだったら不満だっただろうけど、プールの後に来たから問題無い。それにもう夜空になっているし、そろそろ帰ろうということになった。

 その前に最後にもう一回メリーゴーランドに乗って、遊園地を後にした。


 電車に乗って椅子に座れたから座る。流石に疲れたし眠くなってきた。けれどまだ夜ご飯が残っているから、寝れない。少し寝るのはいいとも思うけど、ジン的には寝るならそのまま朝まで寝てしまいたいから我慢する。

 最寄り駅に着くまで、窓の外を眺めることにした。シュノは眠っていて、ジンの肩に頭を乗せている。


「夜ご飯は、店で食べずに帰るか」

「……うーん。シュノならどこかで食べたいって言うと思う」

「駅前のファミレスでいいか」

「そうしよう」


 遊園地がある駅から最寄り駅までは、二十分くらいでそう時間はかからない。次の駅名を言うアナウンスが響く。次の駅は最寄駅。


『つぎは、はちうみにとまります。』


 八生の名前を聞いて、シュノが自然と目を覚ます。最寄り駅パワー。駅に着いたら、外に出る。


「どこ行くのぉ」

「コンビニの上のファミレス」

「あぁ。やったぁ」


 狭く少し急な階段を上がった二階。ここは唐揚げが美味しいとママが教えてくれた。ジンはここのガトーショコラが、氷のように固かったことしか覚えていない。なので、唐揚げを頼んでみようと思う。

 シュノはハンバーグ、悟空はステーキを頼んでいた。


 唐揚げ、まずは一口。熱い。でも美味しい。


「食べる?」

「食べる」

「食べるぅ」


 唐揚げを悟空とシュノにあげて、二人からもステーキとハンバーグを分けてもらった。どちらも美味しい。次に食べるのは、味噌汁だ。これはファミレスによって塩分濃度がちがって、場所によってはとてつもなく塩辛い。

 さて、ここはどうかな。ジンは恐る恐る味噌汁を口に運ぶ。


「……少し塩見が強いけど、許せる」

「豚汁は美味しいよ。飲ませてぇ。豚汁飲んでいいよぉ」

「うん。ありがとう」


 早速豚汁を飲んでみると、確かに豚汁の方が美味しかった。シュノを見ると舌を出してウェーとして、水を飲んでいた。

 なるほど。ジンは少し優しく採点していたらしい。今度から厳しめで行くことにする。


 デザートを食べたくなるけれど、クレープを食べたからあまり沢山は食べられない。ジンはアイス二個に決めた。シュノと悟空は小さなパフェだった。

 ジンもよく食べるほうだけれど、この“よく”とは沢山ではなく色んなものを食べるの“よく”である。シュノは好き嫌いが多いけれど、沢山食べる。


 アイスは二種類決められた中から自由に組み合わせられるタイプだったので、チョコとバニラにした。アイスも二人に一口だけあげて、二人にもパフェを一口貰った。

 どれも美味しい。やっぱり甘いのはいいね。


 食べ終わったら後は帰るだけ。今日はシュノは泊まらないし、悟空も神社へ帰る。疲れた体では足も遅くなる。行きよりもゆっくりのスピードで帰路に着くジン達。


「--そういえば、巫兎が居なかったね。巫兎が居たら、いいなーって言ってたと思うんだけど」

「あー、巫兎も友達の家に泊まりに行ったんだよ。だから居なかった」

「じゃぁあ! おじいちゃん一人ぼっちかぁ」

「そうなるな」


 話しながら道を歩く。シュノはまだまだ元気みたいで、一人で少し走って止まってはジンと悟空を待つ。近付いたら走って止まってを繰り返す。

 足の裏が痛い。沢山歩いたから痛みが出てきた。あと数分歩けば家だけれど、最後は楽をしてもいいだろう。ジンは立ち止まった。


「どうした」


 ジンは悟空の足に抱きついて見上げる。


「ジン、疲れた。抱っこ」


 ジンの言葉に目をぱちくりさせた悟空は、笑ってジンに手を伸ばす。ジンもバンザイして抱っこされる準備をした。ジンは抱っこされたら悟空の首に腕を回して、ぎゅーっと抱き締めた。

 悟空はジンの歩くスピードに合わせていただけだから、ジンを抱えた今悟空の普通で歩き出す。


 さっきよりも早く近くなった悟空にシュノは全力疾走してチラチラ確認して、また全力疾走して行った。走って行くから家にはあっという間に着いた。シュノはまだ一緒に居たそうだったけど、今日は帰るって翠との約束だったからシュんちへ。

 シュノのお泊まりセットは、プールに行く前にシュノんちに置いてきたから無い。


 インターホンを押したら、シュノのママが出てきた。


「おかえり、シュノ。ありがとうね、ジン。悟空も」

「……ただいまぁ」

「うん」

「あぁ」


 シュノママはシュノには似ていない。シュノは翠に見た目が瓜二つだから、当然なのだけれど。

 人と共に行き、人に守られないと生きていけない蚕。そんな蚕の妖怪であるシュノのママは、庇護欲を唆る見た目をしている。すごく弱そう。戦ったら簡単に勝てそうだ。

 シュノの方が生命力に溢れて、シュノよりも弱そうなシュノママ。いつ見ても、マジで弱そう。


 まぁシュノのママのことは置いておいて、シュノだ。唇を尖らせている。


「またね。また今度お泊まりしよう。次はジンが泊まる」

「あらあらぁ。それがいいわね。--ほら、シュノ、挨拶」

「……次ジン泊まる?」

「うん」

「そっかぁ! またねぇ」

「予定が合えば。おやすみ」

「おやすみなさぁい! 悟空も!」

「おやすみ」

「タッチ!」

「はい」


 シュノと手をタッチして、シュノんちのドアが閉まるのを見届ける。そしたら次はジンの家へ。近所だからすぐ着いて、悟空とバイバイする。


「またね。おやすみ。明日神社行く」

「分かった。おやすみ」


 屈んでジンに目線を合わせてくれる悟空に、最後抱き着いてから家の中に入った。

 ママはリビングに居て、帰ってきた事を伝えてからジンはお風呂に入った。今日は朝からずっと動いていたから、よく眠れそうだった。


 ジンは思うのだけれど、一日一個の予定の方が体力を残せていいんじゃないかって。そんな事を寝る前に考えて、目を閉じたらすぐに眠りについた。

 次の日起きたら八時過ぎて、ぐっすり眠れたなぁってジンはいい目覚めを感じたんだ。


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