右の男(分かってるな?)左の男(当たり前だ。)
「・・姉御、隠れていた奴が出てきた。」
・・だよね。1人ぐらいは居るはずだもんね、探知系のスキル持ちの人が。どうやら私の事は既に把握してたみたい。・・何だか勢いよく飛び出したのが恥ずかしくなってきたな。
5人の男性の内2人がこちらに向き警戒する。
「あん?たくっ、妙な正義感出さずにどっか行けばいいのにねぇ。誰だい?邪魔するってのなら容赦しないよ!」
「どうも。」
「・・・。」
女はカルーアを見た瞬間、頭にあの日の事がフラッシュバックしていた。
光があれば当然、闇もある。光が冒険者ギルドなら闇は犯罪者ギルド。犯罪者ギルドでは冒険者ギルドでは出せないような依頼ばかりが出されている。
例えば、そう、とある怪しげなNPCが出していた《《恵みの森》に居る妖精を捕まえろ。ランクA》などがある。
LOLを始めてまだ数日の女やその仲間達一党は金が欲しくてその依頼を受けた。なにせ報酬は1匹あたりフェアリー5万G、フラワーフェアリーが10万G。最近発見されたフェアリー・プリンセスに至っては100万Gという金額だ。
期限は3日間と短い、だが場所は《恵みの森》ときた。一党は最悪フェアリーだけを捕まえまくれば良い、楽な仕事だと思い意気揚々と犯罪者ギルドを出て行った。
報酬に目がくらんで重要な部分を見落として。
《⚠︎報酬は最終日にそれまで捕まえた妖精を確認してから支払われる。
捕まえた妖精はインベントリに収納されない。
依頼を受けたプレイヤーの誰かが死んだ場合それまで捕まえた妖精は自害する。
妖精が自害した時点で依頼は失敗とみなされる。》
一党がその事に気がついたのが最初にフェアリーを捕まえた時だった。拠点を持たない一党は最初こそ揉めはしたが、最終的に《魔と共存の街》にある隠れ宿の一室を仮拠点にして、そこに捕まえた妖精を運ぶ事になった。
男1人が捕まえた妖精を見張り、1人が捕獲班と仮拠点を行き来する運搬役、残りの4人が妖精を捕まえる捕獲班。こうして一党は順調に妖精を捕まえていった。
3日目最終日、これまで捕まえた妖精はフェアリー36匹で180万G、フラワーフェアリー12匹で120万G、合計300万G。
6人で分配して丁度50万G。それなりの額に満足げな一党は引き渡し時間も考えて次で最後にするか、と《恵みの森》に向かう。
そしてなんと、偶然にも高額報酬だったフェアリー・プリンセスと遭遇した。それも2匹も。これは運が良いと、一党はフェアリー・プリンセスの捕獲を開始した。
・・だが、一党が思っていたほどフェアリー・プリンセスの捕獲は容易ではなかった。森の木々を巧みに利用して逃げるフェアリー・プリンセス、それを追う一党。やがて一党の捕獲劇は1人のプレイヤーと出会った事で幕を閉じる事になった。
「あ、あんたは、あの時の!?」
忘れもしない、忘れるはずがない。この少女に殺られたせいで一党はランクA相当の賠償金を支払わされるハメになったのだから。おかげで一党がお金を入手する度にゲームのシステムなのだろう、入手したお金の9割がその場で消える始末だ。
そのため現在進行形で金策をしていた一党は偶々見つけたゴールデンアップルを入手するために、先に居たプレイヤー達を説得していたのだった。
そこに現れたあの時の少女、たとえ今連れている従魔がコッコ5匹とキャタピラー1匹だとしても女はカルーアの強さを身をもって知っているため少女を刺激しないようこの場をやり過ごせないか考える。
・・が、此方に向きを変えた2人がいけなかった。
あの時、見張り役と運搬役であの場に居なかった2人は自分達のリーダーの反応を見て、この少女は自分達の障害になる、と考えたのだろう、2人は武器を構え加速系スキルを使って一直線にカルーアへと向かう。
カルーアから見て右の男が首を、左の男が心臓目掛けて短剣を振るう。・・だが、カルーアはそれが見えているかのように(実際、速さの能力値に差がありすぎてカルーアには2人の攻撃が遅く見えている。)2人の腕を掴み攻撃を防ぐ。
「今のって《スタートダッシュ》だよね?アレって使うと真っ直ぐにしか行けないから繋げれるスキルがないとあんまりオススメしないよ?」
「・・・はぁ。」
先に手を出してしまった以上、あの時のように殺られるんだろうなぁ、と悟ってしまった女は先走った男2人を睨む。
あんたらのせいで死に戻り確定じゃないか、どうしてくれるんだ・・おい、何であんたら2人はちょっと嬉しそうな顔してんだい?・・まさかあんたらソレが目的だったんじゃないだろうね!?
男2人のアイコンタクト、僅か0.02秒




