親馬鹿は過ぎれば馬鹿親である
とりあえず、ドラゴンが不幸な事故により気絶してしまったので針ネズミ達に挨拶した。
「わたくし、晶のマスターですわ。ユーリフィアンと申します」
ついでに、契約した経緯も説明した。いつの間にか親馬鹿ドラゴンも起きて聞いていたようだ。
「名前、うらやまちいでちゅ~」
「運がいいか悪いか……微妙でちゅ~」
それはあたしもそう思うわ。運悪く魔物に間違われて追われ、運よくあたし達に会えたわけだ。下手したら力尽きていたかもだし。
「オイラ、マスターとなかよくなりたいでちゅ!オイラ、山だけじゃなくたくさん色んな物を見てみたいでちゅ!人に精霊は怖くないよって、教えたいでちゅ!ちゃんと里帰りもしまちゅ!だから、オイラマスターと行きたいでちゅ!ととちゃま、お願いしまちゅ!」
晶が必死にお願いする。あたしも援護すべきだろう。
「わたくしからもお願いいたします。責任をもって、わたくしが晶の面倒をみますわ」
「樹も面倒みてあげるっきゅ」
「イヤダアアアアアアアアアア!!うちの子は、うちのベイビーちゃんはどこへもやらんぞおおおおっふぅぅ!!?」
また地震が起きたので、とりあえず殴っておいた。むやみに災害を起こすんじゃありません。
「申し訳ありませんが、落ち着いてくださいませ。さもなくば、またわたくしが強制終了させますわよ」
「さ、先ほどからお前はなんだ!?我を土の大精霊と知っておるのか!?よほど命がいらぬとみえる!」
「いくらととちゃまでも、マスターをいじめたらゆるさないでちゅ!」
毛だか水晶だかを逆立てて威嚇する晶。健気可愛い。
「ついに、ついにベイビーちゃんにまで反抗期が来てしまったああああああ!!」
嘆き悲しむ残念なドラゴン。略して残ゴン。反抗期ではないと思う。ただの親離れではないだろうか。
「はんこーきってなんでちゅ?」
「反抗期とは……成長の過程で、親や目上の人と意見が合わなくなったり対立しがちになる時期……でしょうか」
「ちゅう………オイラ、ゆずれないのはマスターの事だけでちゅ」
「そうですね。晶は反抗期じゃない気がいたしますわ」
もっとこう………ギザギザハートなイメージかな。ただの自立ではないだろうか。
「ヤダヤダヤダ!ベイビーちゃんはウチの子だもん!行っちゃヤダああああああ!!」
「………向こうはイヤイヤ期みたいですわね」
「イヤイヤ期でちゅ?」
「おやびんはイヤイヤ期でちゅ~」
「たしかにワガママでちゅ~」
残ゴン、他の針ネズミからディスられておる。まあ、仕方ないよね。この有り様じゃなあ。
「誰がイヤイヤ期じゃああああああ!!」
「グダグタうるせえっきゅ。晶は晶なりに考えて結論を出したんできゅ。いつまでもイヤイヤ期のじじいの面倒見てらんないのできゅ」
樹たん、辛辣!でも、そこに痺れる憧れるう!残ゴンがまたしても怒り狂うと思ったが………なんか青くなってる。
「お前、よく見たら緑の……!?」
「余計なこと言うなできゅ」
樹たんが植物で残ゴンを縛り上げた。
「イヤアア!イヤダアアアアアアアアアア!!吸われる!死んじゃう!折角高位になれたのにいいいい!!」
「あ、えと………樹もわたくしと契約しておりますの。やめさせますから、わたくしと晶が行くのを認めてくださいます?」
「………………は?」
ちゃっかり提案してみた。残ゴンは悩んだのだが、樹がそれを許さなかった。
「い、イヤアアアアアアアア!!吸われる!やめろ!やめて!やめてくださあああああああい!!認める!認めます!認めさせてくださああああああい!!」
多分魔力を吸われている残ゴンの反応が、服の中に風船入れて脅すコントみたいだなぁと思いました。
「いやあ、まさか緑の「吸うっきゅ?」
「すいませんごめんなさい調子こいてました」
樹たんにはなにか秘密があるようだが、まあいい。樹は樹。可愛いあたしの相棒だ。
「樹、そのぐらいにしておきなさい。では、わたくし達はこれで………ああ、手土産に焼き菓子を置いていきますわ。皆さんで食べてくださいね。わたくしはヒール公爵家の長女です。ご用がありましたら、いらしてくださいませ」
そう言って、去ろうとした。
「ユーリフィアン、俺は仲間を手に入れたぞ!」
「す、すいません……」
会話に参加してないなと思ったら、ホルソマッチョとモルヤシスも針ネズミ精霊になつかれてしまい………。
残ゴンがまたうるさかったのは言うまでもない。面倒なので、ミステリアスもふもふな樹たんに対応していただきました。
「ただいま帰りました」
「おかえり………………………ユーリフィアン」
ヤス兄にお出迎えされました。
「はい」
「肩のは何?」
「樹と晶です。晶、うちのお兄ちゃんでオコシャス兄様です」
「はじめまちて。オイラは晶でちゅ。マスターの精霊でちゅ」
「いややわ、この子!何しに行ったん!?採掘しに行ったんやないん!?」
「採掘しに行って、拾ったっきゅ」
「拾わんで!」
しかし、詳細を説明したら納得してくれた。大災害が起きなくてよかったよね。
「…………………あれ?」
着替えていたら、胸の谷間に羽みたいなキラキラした紋様がついていた。緑と茶色が複雑に混ざっている。どこかで見たような…………なんだっけか?
そして、聞き覚えがある誰かの悲痛な叫びが聞こえた気がした。まあ、思い出せないから大したことじゃないだろう。
次回にあの人を出すか、ユーリフィアン(夢の中)を出すか、迷いますなあ。




