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二回もざまぁされる予定の中ボス魔王妃様は自由に生きたい  作者: 明。


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素敵な婚約者(予定)様

 ついに……ついにこの日が来てしまった。今日は夜会。お忘れな読者様もいるかもしれないが、ついにオルネース様と約束した夜会当日なのだ。


 なんと夜会の二週間前にドレス、靴、アクセサリー、小物に至るまでプレゼントされた。夜会で身につけろという事なのだろう。

 ドレスは忌避色である黒を基調にしているが、光沢のある素材を使用。上品なマーメイドラインでワンショルダータイプ。胸元は大胆にひらかれていて、羽根の紋様みたいなやつが見えている。メイドには見えていないらしい。不思議だなぁ。そこに赤い薔薇の花飾りが鮮やかに咲いている。よく見ると、薔薇には銀糸で刺繍が施されていて、とても手が込んでいる。


 ドレスも、靴も、アクセサリーや小物に至るまで、この身体のためにあつらえたとしか思えない品々だった。さらに動きやすさにも配慮があり、靴の内部は柔らかく、クッションがきいていた。ヒールも高くない。ドレスもコルセット無しで着られる伸縮素材とのこと。ナニソレ、欲しい。素材、売ってくれないかな?

 髪型にも指定があり、今の流行であるアップにせず、サイドポニーテールのような髪型に真っ赤な薔薇の髪飾り。銀の髪に、赤い薔薇はよく映えた。


 ユーリフィアンはこれまで、王妃候補だったこともあり無難な装いが多かった。あたしもやはり、女だったのだろう。ため息が出るほどに美しい姿を見て、テンションが上がった。


 兄二人に、晴れ姿を見せることにした。


「ヤス兄、メガ兄、おかしくない?」


「すごく綺麗や……………で?」

「とても美し…………………い?」


 兄達が同時に動きを止めた。何故か視線があたしの胸元に集中している。しかし、いやらしい感じではない。胸元……羽根っぽい紋様を見ているのかな?完全に二人は固まってしまったようだ。

 ざわめきと共に、我が家の玄関ホールに異変が起きた。


 すぐ玄関ホールへ駆けつけ、魔力を探るとよく知る魔力を感じた。伝書係の黒狐君が空間を歪めている。もしかして……。


 歪められた空間から、美しい人が現れた。艶やかな腰まである黒髪に、鮮やかな紅玉(ルビー)の瞳。職人が世界中の美を込めたかのような、中性的な美しさ。顔だけでなく、プロポーションも完璧だ。こんなにも美しい男を、初めて見た。


「……済まないな。遠いので、直接転移させてもらった。馬車を出せるスペースはあるだろうか」


 声までも美しい。慌てて案内しようとしたのだが、できなかった。


「あ、でしたらこちらへ…」


「ユーリフィアン嬢、お会いできて光栄だ。その……ずっと会いたかった」


 美しい魔王様は、動きも洗練されていて美しい。滑らかな動きであたしの目前で膝をつき、手にキスをされた。まつげが長かった。

 駄目だ。無理。この人、こんなに綺麗で可愛いとか、素敵に無敵すぎる。え?あたし、こんな人にエスコートされんの?マジ無理なんだけど。心臓が破裂しかねないんだけど。

 白磁の頬に朱色がさす。それすらも美しい。


「わ、わたくしも、お会いしたかった、です」


 頑張った!頑張ったよ、あたし!なんとか返事を返すことができた。でも、おかしいな。オルネースってもっと………。


「あああん、可愛い!なんって可愛いのかしら!」


 抱きしめられて、ホッとする。そう。オルネース=エスト=オルトメルゲ殿下はオネエキャラなのだ。可愛いのはあんたですよ。


「んもう、アタシの見立ては完璧ね!その髪型も、メイクも、超似合っているわ!このまま城に連れ去りたいぐらい!」


「それは困りますわ。今日はエスコートしてくださるお約束でしょう?」


「主、主。今日は素を封印するんじゃなかったんすか?」


「あ」


 オルネース様は、可愛い。ゲームでは異性愛者で性同一性障害ってわけではなかったみたいだけど、こっちの彼はどうなのだろう。

 完璧な美貌が崩れてアワアワしている姿も可愛い。


「わたくし、別に気にいたしません。オルネース殿下の好きになさってください」


「ず、ズルいわ!オニキスにはもっとこう……砕けたしゃべり方をしているじゃない!アタシに装うなって言うなら、あんたも装わないでよ!」


 なんだ、この可愛い生き物。ゴージャスな尻尾がモッフワの予感。いつか触ってやるんだ。それにしても、まさかあたしにも素で接しろと言うとは思わなかった。


「まあ、あたしはかまわないけど………素はかなり口が悪いよ?二人きりの時だけでいいかな?」


「ふた………り………いいいいいいいわよ!望むところだわ!あら?そのドレス、パーツが足りてないわね」


「え?そうなの?」


「ええ。赤いレースがあったでしょ?アタシがちゃんと完成デザインを描かなかったからだわ」


 なんと、ワンショルダーではなく着脱可能なレースのアシンメトリードレスだった。


「んふふ、うん。最高に綺麗だわ……あら?」


 またしても胸元に視線がいって、驚いた表情になるオルネース様。


「聖女はいつ代替わりしたの?」


「………聖女?」


 聖女はヒロイン…………………ん?胸にある羽根の紋様は聖女の証だったような………?あ、だから見たことがあったんだ。


「そやで!いつからやったん!?ユアン!」

「そうだ!いつからだったんだ!?ユアン!」


「………晶を連れ帰った日、かな。メイド達には見えてなかったし、そのうち消えるかなと思ってた」


「聖女の紋様を虫刺されかナニかみたいに扱うなよ」


 エルセオルネさんからつっこまれたが、そもそも知らなかったし。


「まあ、でてきたもんは仕方ない。後で考えよう」


 よく洗っても消えなかったし、仕方ないよね。とりあえず、時間もないし夜会に行かなくてはならない。オルネース様の手を取って、玄関に誘導する。


「じゃあ行こう、オルネース殿下!」


「ええ!完璧にエスコートしてみせるわ!あ、紋様にはめくらましをかけてあげる。可愛いあんたとコレが理由で婚約できなかったら困るしね」


「ふ…………不安だ…………」


 エルセオルネさんの呟きは、聞かなかった事にした。

ついにヒーロー………いや、ヒロイン?いやいや、ヒーロインが登場しました。美人なオネエ魔王は好きですか?

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[一言] 奇麗なオネエ魔王は…す、好きです。(ぽっ)
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