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二回もざまぁされる予定の中ボス魔王妃様は自由に生きたい  作者: 明。


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合理的とは難しい

 土の精霊、晶を連れて土の精霊達の力場に行くことにしたあたし達。ここで問題が発生した。


「はぁっ、はぁっ、はっ…………ゲホッ………」


「…………モルヤシス様………抱き上げましょうか?」


「けっごうっ………ゲホッ!ゴホッ!!」


「仕方ないな、俺が」

「吐く。今俵かつぎされたら、確実に吐きます」


 問題とは、モルヤシスの体力切れである。彼は頑張った。素材ゲットという目的もあった。当人はダンジョンそのものにも興味があったから、どうにかダンジョンは踏破したが………ここに来て彼の体力が尽きた。そもそも体力を回復する薬で騙し騙しここまで来たが………ついにお腹も一杯になってしまったのだ。むしろ引きこもりで体力皆無な彼が、よくここまで耐えたと思う。ジャージ効果もあっただろうが、彼自身も頑張っていたのだろう。


 ちなみに現在地は険しい岩山の中腹。行くにも帰るにも頑張らねばならない。


「では、わたくしが」

「お姫様抱っこは嫌です!ノウルキンスの二の舞はごめんです!!」


 ワガママなモヤシっ子である。


「…………俺?」

「お前はユーリフィアン様にお姫様抱っこで運搬されたんだよ!あの勝負に負けた時な!!」


「…………おう」


 あ、地味にホルソマッチョがへこんだ。そういや、本人は知らなかったかもしれない。はっはっは、気にするでない。


「な、なら俺がお姫様抱っこを」

「なんであんた達は僕をお姫様抱っこしたがるんだよ!!僕は………僕は女の子じゃない!!ヒョロいし筋肉もないけど、抱っこされて喜ぶような華奢な女の子じゃないんだああああああ!!」


「わたくし、別に運びたいわけではありませんわ。ただ、事態が一刻を争う状況であること。ホルソマッチョ様はかなりその……雑なので体調不良の方をお任せするのが不安です。さらに、この山はそれなりに魔物が出ますので置いていきたくありません」


「………正論……!」


 いや、うん。あたしも一応考えているんだよ。さっきから断続的に地震があって、マジでヤバい感じだしさあ。


「いっそモルヤシス様の護衛にホルソマッチョ様をつけて、わたくし達だけで行こうかとも思っておりましたわ」


「それはダメです!本末転倒です!!こうなったら、僕は結界をはって隠れますから二人だけで行ってください!」


「わかった!」

「それはどのくらい効力がありますの?持続時間は?わたくし達が戻るまで維持し続けるのは無理なのではなくて?」


「………正論……!」


 あ、やっぱり無理なのね。折衷案として、巨大化した晶に乗っけてもらったモルヤシスだが……


「………………」


 死にそうな顔をしているモルヤシス。そういや、乗馬は乗馬で筋力を使うんだよな。もうさ、仕方なくね?あたしはホルソマッチョに目線で聞いた。今は急ぐし!


「うむ、しかたないな!」


 そしてホルソマッチョは一瞬でモルヤシスの背後にまわり、手刀で一撃。気絶させた。


「何してるんできゅ!?」


「手刀で気絶させた」

「そうですわね。見事ですわ」


「なんで味方に攻撃したんできゅ!?」


「このままだと、多分先に火山が噴火するんじゃないか?」

「ですわね。だから、気絶させて眠らせ、運搬しようかと」


 樹も理解したらしい。


「じゃ、ボクにマスターとヒョロいのが乗って、アキラにムキムキが乗るっきゅよ」


「いや、俺は走るぞ!アキラ、競争だ!」


「オイラ、走りには自信があるでちゅ!」


 一人と一匹があっという間に見えなくなった。


「ちょ!ああああ、ボクらも急ぐできゅ!」


「樹、あたしも自分で走るよ。モルヤシスは任せた。急ごう」


「はいできゅ!!」


 ちなみにモルヤシスは樹の魔法により蔦で固定されている。モルヤシスが気絶してくれたおかげで、さほど時間をかけずに山頂へ到着した。


「来たか。とりあえず間に合ったみたいだぞ」


 ホルソマッチョが指差す方を見ると、そこには巨大な水晶のドラゴンが居た。美しく、かなり迫力があるドラゴンは、ここら一帯をまとめている精霊なんだそうな。周囲にたくさんの針ネズミ達。晶の仲間達も無事を喜んでくれているらしい。


「ただいまでちゅ~」


「おお、心配しまちたよ~、ベイビーたん。パパはうっかり火山を噴火させちゃうとこでちた。もう迷子になったらダメでちゅよ~」


 針ネズミにデレデレするドラゴン………シュールな光景だなぁ。威厳もクソもない。


「はいでちゅ。ととちゃま、オイラのマスターを紹介しまちゅ」


「マスター?」


 ドラゴンが真っ青になった。ドラゴンってけっこう表情豊かなんだな。知らなかったかも。


「い、嫌だあああああああ!!パパの一番可愛いベイビーちゃんが行ってしまうなんてええええ!!」


 ドラゴンの嘆きに反応して地震が起きる。


「ととちゃま!?」


「ワガママ言うんじゃない!!」


 とりあえず、迷惑なのでドラゴンの脳天に踵落としをキメてやった。説教しようとしたら、ドラゴンは気絶してしまった。軟弱なドラゴンである。


「さちゅがはマスターでちゅ!」


「………………そうできゅね。流石のボクも予想外できゅ……」


 晶は気にしていないようだが、樹はドン引きしていた。いや、仕方ないじゃないか。あたしだって暴力でなんでもかんでも解決できるとは思ってないよ。ドラゴンのくせにか弱いご令嬢の蹴りで気絶するのがおかしいんだよ!多分!!

何にもめたのか。正解は、力尽きたモルヤシスの運搬方法についてでした。モヤシだから山登りは無理だったようです。


中学時代、英語のぽっちゃりした先生が移動教室で登山した際に死ぬんじゃないかってぐらいハァハァしてました。

当時卓球部(ゆるい運動部)だった私よりもヤバそうでした。


「せ、先生………大丈夫ですか?」


 人は何故、見るからに大丈夫じゃない時に大丈夫かと問うのでしょうか。


「ハァハァ……大丈夫じゃ……ない……ハァハァ……来年は………ハァハァ……絶対………ハァハァ、山、ハァハァ………行かない……ハァハァ」


大丈夫じゃないのはよく伝わりました。ちなみに翌年の移動教室は山じゃなくなりました。

その先生は、最初から山にしなきゃよかったのよとそれを聞いてキレてました。先生って大変ですね。お疲れ様です。


ちなみに別の先生は、ハァハァしなから呼吸苦がある場合の呼吸法を生徒に聞いていました。体をはった教育です。


生徒「ヒッヒッフーです!」


先生「ヒッヒッフー、ヒッヒッフー……出産時の呼吸法でしょうが!ハァハァ……」


見事なノリツッコミでした。たまたま通りかかったら笑ってしまいました。

 多分正解は息を深く吐く。吐く事を意識させることで横隔膜が下がり、より息を吸いやすくなります。また、横になるより上体は起こした方が呼吸はしやすいです。

でも、当時は答えられなかったよ。先生、ごめんなさい(笑)

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