11ー1 わたしにとって、あなたは
11章 呪いの印
「はあ…はあ…」
「マリン様!」
「リン…魔法循環は出来る?」
「はい、お代わりします」
「ありがとう…」
息が切れたマリンを支える。
リンは右手でルナの魔力を循環させて意識を保たせていた。
「…」
喋られないくらい衰弱しているが魔法循環のおかげで命と食事は大丈夫だった。
「ルナ様。
きっと今日にもアリア様はお戻りになられます
大丈夫ですからね!」
「…う…ん…」
唇だけを動かして「ありがとう」と言ったように見えた。
それから数時間がたって、魔法循環をしなくても良いようになった。それでも、喋れず、動けないルナにはリンが一緒にいた。
「…ごめ…なさ…リ…ン」
「ご無理はなさらないで。」
そう言って左手を握る。
と、とてつもない魔力をリンは感じた。
びっくりした彼女はとっさにルナの手を離した。
「…?」
どうしましたか─そう目で訴えてくる。
リンは左手の見えづらいあの印を見た。
と、聖痕は黒く光っていた。
「…ルナ様…?」
「…う…」
息が途切れ途切れになる。
「は…あ…」
苦しそうにもがく彼女を、柔らかくて大きな手が包み込んだ……ような気がした。目をあけたとき、目の前にはアリアがいた。
黒いその蠢くものにアリアは飲み込まれるようにして消えていった。
「ルナ…来ちゃいけない…
くる…な…!」
「アリア様…!待っ…!!」
思うように動かないその足を必死に動かす。
「アリア様…!!!」
はっとして身体が動いた。
でも、目の前に見えるのは古城の古びた天井だけ。
そして、左にはリンが眠っていた。
「…身体が、動く…?」
夢だったのかと思った。
それにしてはとても…とてもリアルで、現実問題のようなものであって、アリアが闇に飲まれて一言だけ発した。
『ルナ、来るな』
その言葉が耳からこびりついて離れなかった。
「あ、リン…リン!起きて!」
「…?!ルナ様!」
「…心配をかけてごめんなさい。
わたし、行かなくちゃ。」
「どこへ?」
「アリア様の元へ!」
にこりと微笑む彼女を見て、リンは心から安堵した。
なぜこうなったのかは釈然としないまま、ルナはペガサスに乗り込んで空を舞った。その間に詠唱を唱える、と彼女の前方に大きな闇が現れた。
「リン…ついてきたくなければ、マリンたちについていて頂戴。」
「…?」
「わたしがこれから向かうのは、とても危険な所です。
もしかしたら、あそこで命を落とすかもしれません。
だから…」
「嫌です。」
「…!」
きっぱりと言われ、ルナは驚いた。
「私はルナ様の従者です。ルナ様にどこまでもついていくという使命があります
だから私は死ぬことを許されなければ、あなたについていかないという選択肢もありません。」
「…リン…」
後ろを見て、出来るだけ笑って感謝を告げた。
「ありがとう」




