1ー1 光と闇の対峙の先は
「光の女王、ルナ・ブルームーン・S」
「闇の王、アリア・レイ・フィンスターニス」
二人の男女の、高らかな声が響く。
「意志を共に」
「「二人の王の名において、誓います」」
光の女王と闇の王
その二つが織りなす協奏曲は
信じられないほど、美しく、儚いものでした
♢♢♢
一章 光の指す朝陽
光と闇が対峙する世界、エアリアル
そこは、穢れなく美しい光の王国
煌々と光が差し込み、照らす王国
太陽と月、それに連なる星々を統べる国は
今日も美しい星々の欠片が輝き、朝陽が昇る。
第一王女、ソレイユ・ペルレシエル・S
第二王女、ルナ・ブルームーン・S
そして、女王エステレア・S
光の国の王族である二人は、生を受けたこの地を守る為に育てられた。
女王、エステレアは娘である王女二人をそれは大事にしていた。
後継であるソレイユには女王学を学ばせ、またルナにも、王女としての気品や女性としての立ち居振る舞いをそれぞれ学ばせていた。
ソレイユには金色の糸で髪を結わせ、ルナは青い糸で髪を結わせた。
そんなある日二人の王女は母の女王に訪ねた。
「ねえ、お姉様
お姉様の金色の髪は、なぜ金糸で結われているの?
わたしの髪は青で結われているのに」
「これは、光の王の後継者を示すためのものなの
あなたの髪が青糸で結われているのは
あなたに月の女神様へのご加護をえるためなのよ
そうなのでしょう?お母様」
「ええ、そうね
私も幼い頃は髪を金糸で結われていたわ。妹は青糸で。
でもね、ご加護を得るだけではないのよ
この青糸にはね…」
それからその青糸を、少女は大事に使った。
「そろそろ、糸を換えましょうか」
「いいえ、これが良いのです」
従者に諭されてもルナは、これだけは絶対に曲げなかった。
どれだけボロボロになっても、ずっとずっと使い続けた。
♢♢♢
数年後、二人はそれはそれは美しい女性に成長した。
ソレイユは、王として相応しい凛とした女性にルナは、女性らしい美しく綺麗な気品を併せ持つ王女へと。
二人はとても仲が良かった。
だが、ソレイユの獅子王のような凛々しい性格が、ルナを心配させた。
「お姉様はこれからずっと王として生きて行くのですか?
それは…息苦しくなりませんか?
わたしは、お姉様の美しいお顔が
穢れていくのを見るのは嫌です。
どうか、ご無理はなさらないでください。」
「ルナ、大丈夫よ
太陽の神からのご加護を賜ったのだから
わたしは強い、そう、強くなくてはならないの」
二人の絆は、深く、固く結ばれていた。
「ルナ、あなたに縁談があるのよ」
「わたしに?」
「闇の国の王子、アリア王子。」
「あ……王国の為でしたら、わたしは縁談をお受け致します。神の御心のままに」
それから程なくして、ルナは婚約が決まった。
14歳、光の王女としては通常よりも少し早い婚約だった。
相手は、長年敵対していた闇の国の第一王子。ひとつ年上の、15歳。
「ルナ、おめでとう
私、あなたのウエディングドレス姿を
見るのがとても楽しみ
月の女神様もきっとみていらっしゃるのでしょうね」
「ありがとうございます。お姉様。
これから、離れてしまうのですね。
落ち着いたらお手紙を書きます。
お母様、お姉様どうかお元気で。」
ウエディングドレスを纏ったルナは
まるで月の女神のような美しさがあった。
純白の波打つドレスと、光の王族を表す月と太陽の刺繍。長い糸のような金色の髪に、青と緑の混じった宝石のような瞳
でもそれは、「呪い」を隠すための色。
真夜中になると彼女の髪は、銀髪になり、瞳は青紫がかった色へ変わる。
それを知るのは、家族と一部の従者のみ。
どちらもえもいわれぬ美しさであるというのに、彼女は隠した。
「あなたの髪が青糸で結われているのは、
呪いからあなたを守るため。
あなたの銀髪の髪と青紫の瞳は、
光の王族の中で最も強い魔力を持ち、
そして虚無の中へ取り込まれてしまう呪いを持っているの。
ソレイユの金色の髪と青緑色の瞳は王の色よ。
私はあなたの母として、
そしてこの国を守る女王として、
あなたを守りたいの。」
だからこそエステレアは、
闇の王子へと嫁がせることにした。
愛する娘を守るために。
「病めるときも、健やかなるときも
夫を愛し、愛されることを
月の女神様の御加護を賜りし光の王女として
ここに誓います」
偽物の金色の髪と青緑色の瞳を持つ少女。
少女は月の女神の御加護を携えて闇へと嫁ぐ。
そして今日も光の王国には、
煌めく星々と共に、朝陽が昇る。
光と闇のシンフォニアが始まりました。
この物語はact0という、序章になります。
まだまだ拙い作品ではありますが、
どうぞよろしくお願いします。