70 扉の向こうには
名前に突っ込み禁止でお願いします。
街に戻るとギルドに人がいた。城門をくぐる時も見張りの兵士さんにかなり念入りに調べられたけど何かあったのだろうか。受付に行って今回の討伐報告をする。
「シンさん、お疲れ様です。Cランク以下の冒険者は橋より砦側への移動が禁止されました。行かないように気を付けてください。それと何があるか分からないので森への侵入もなるべく控えて下さい」
そんなことを言われた。
「そういえば少しピリピリしている気がしますが何かあったのですか?」
「すみません。まだ情報が確定していません。今後、ギルドから情報を発信しますのでそれをお待ちください」
だ、そうだ。予想だけでも教えて欲しいが、噂は広がりやすいからな。
「兄貴どうしたんだ?いつもより少し長く話したみたいだけど」
「あぁ、何かあったみたいだぞ。少しの間砦訪問禁止だとさ」
「へぇ、じぁ奥の方に行ってみようぜ」
「それも控えろってさ」
「えー。いったい何があったんだよ」
「さぁな」
「では、これからどうするのですか?」
「ま、明日明後日は休みだな。そのあとはこの付近は禁止された冒険者であふれると思うし久しぶりに薬草でも採りに行くか」
「わかりました」
その日。宿にはコーシーさんはいなかった。
次の日の昼。満腹亭にはまだピーク前だというのに客で溢れていた。もうすぐ魔物到来の時期だというのに魔物が少ない事が原因らしい。それに加えて規制で多くの冒険者がこちら側に集まっているというのも要因の1つになっているようだ。どうやらこの状態がもう3日くらいは続いているらしい。
満腹亭ではいろいろな噂が流れていた。魔物が絶滅しかかっているだとか砦では病気が蔓延しているだとか。砦が魔物に選挙されたとか魔族の仕業だとか……。戦争が始まったとか。中には砦が動いて森の中に消えて行ったなんてのもあった。
俺もちょっと気になって冒険者ギルドに行く。
ピエールさんに聞こうと思って来たのだが珍しく新人用の受付にはいなかった。
(珍しいというかこんなこと初めてじゃないか?)
気にしてもしょうがないと自主練を開始する。休みにすると言ってるのにレイもチャオも俺に付き合って訓練をしている。
最近は棒術の訓練をしている。短剣はまだまだ現役だがいつか使えなくなるだろうと思ってのことだ。
そろそろ夕飯の時間になって宿に戻ろうとしたとき、ピエールさんがギルドに入ってきた。ピエールさんだけじゃない。コーシーさん、ブレーズさん、教会のシスターさんまでが一緒だ。体に目立った傷は無いが鎧とかにかなり傷が目立つ。
(どこに行っていたんだろう。と言うよりこの面子、どこか……砦でも滅ぼすつもりなのだろうか……)
ピエールさん達御一行はそのままギルドの奥に行ってしまった。どうやら今日は話を聞くことはできなさそうだ。あきらめて寝るとしよう。
次の日もピエールさんは受付にいなかった。少しギルド内の雰囲気もピリピリしたものに変わってきた。
(見たことのない冒険者も増えてきてるし……本当に戦争でも始まるのか?)
そんなことを思っていると美佳から声がかかる。
『あの人、なんかすっごい嫌な感じ……悪意の塊みたいな気がする』
『え?どういう事?どの人?』
何故か分からないけど分かるらしい。気になったので俺は美佳が指さした3人を鑑定してみる。
アークシン 魔族 87歳
身体能力 B
身体能力適正 A
魔力量 B
適正魔法属性 炎(D) 闇(B)
魔法練度 炎 D
闇 B
状態:人族化
こんな感じだ。どうやら魔族らしい。この魔族はバランス型、もう2人の方も魔族で物理型と魔法型のようだ。俺が鑑定すると3人は少し回りをきょろきょろしていた。危なかった気もするがばれてはい無いようだ。
(人に化けてるし絶対に良い事じゃないだろうな……)
俺は受付でピエールさんを呼び出した。勿論、緊急と言ってだ。
「おうシン、緊急の事ってなんだ。今かなり忙しいんだが」
俺は声を潜めて話す。
「あの……。魔族の事なんですが……」
「もう噂が広まってるのか。ちょっと奥にきな」
受付の奥に初めて入れてもらった。奥には部屋がいくつもあり、その1つに案内される。
「あの……」
「いや、わかってる。砦の件だろ。昨日俺らが帰って来た時もギルドにいたしな。でも、噂だ。あんまり広めないようにな」
「いえ、魔族を見たのですが」
「……今、なんて言った?」
すごい剣幕でピエールさんが迫る。
「ま、魔族を見ました」
「どこでだ?」
「ギルドの食堂でです」
「………………誰も気づいていないみたいだがお前には分かるのか?」
「なんか人化の術を使っているみたいです」
「……そんな話聞いた事もねぇぞ。なんで分かるんだ?」
「それは……」
俺はピエールさんに眼鏡について話した。
「それも魔導具だったのか……。まぁいい。ちょっとついて来い」
「は、はい」
連れて行かれたのは一番奥にある部屋。少し待っていろと言ってピエールさんは先に入って行ってしまった。ほんの5分位だが、待っているとピエールさんの入れとの声がかかる。
俺は扉を引いて部屋に入いろうとする。そこで待っていたのは重い空気、円卓、そして数名の風格の漂う人たちだった。
俺は無言でドアを閉めた。
おかしいぞ。何故ススマナイ




