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ACT1.「勇者パーティー結成!…の面接会場にて運命の出会い」

自称・天才魔法使いのルクス、そして勇者のショータ。

この二人は魔王討伐の障害となる魔王軍、そして魔族や魔物の大群を相手にするためギルドを介し仲間を募る事にした。

のだが…?


私の名はルクス。

各種攻撃魔法を使い、闇魔法も使える天才魔法使い。


と、言うのは表向き。


実は、私の正体は…。


「おいルクス、ボーッとしてるんじゃない!」


「ん?何か言ったショータ?」

彼の名はショータ。

私が魔族討伐の旅に出て知り合った剣士で、何と異世界から召喚された勇者さんだ。

国王達に城で勇者召喚されたらしいんだけど、何故か召喚装置が壊れてしまったんだって。

それでもう元の世界には戻れないそうだ。

ちょっとかわいそう。

だから彼はこの世界で平和に生きる為にも魔王軍を倒そうと必死らしい。


そんなショータだけど、ちょっと一途で向こう見ずなところがほっとけないんだよね。

国王から勇者の装備として授かった聖剣ならぬ星剣というトンデモナイ剣を振るうんだけど、その剣を振るって戦ってる時のショータの横顔が結構凛々しいし…(ポーッ♪)


…おっと、いけないいけない(汗)。

また考え事してた!


「もうすぐギルドから紹介された勇者パーティーの希望者達が集まるんだ、シャンとしろよ?」


「わかってるよ、あーあ面倒くさー。」

そう、今私達はまさにその面接をして適性者を見極めるためにギルド会館の一階を借りているのだ。

そしてもうすぐあの入り口扉の向こうからギルドが声をかけた各方面から、それぞれの分野における実力者達が勇者パーティーの候補者として面接を受けるために一人ずつ目の前に現れる流れ。


「やる気出せ!…あのな、俺達二人だけじゃあとても魔王軍の大群を引き受けられないからこうして仲間達を…」


「はいはい勇者様、…あ、その最初の人が来たみたい。」


最初は大きな盾を持つ全身鎧甲冑姿の大男だった。

しかもゴツイ、イカツイ。

アゴヒゲ見えてるから多分オッサンじゃないのコイツ?

「オッス、俺は盾役の重戦士。」

「名前はガルド、今年25歳の独身、ヨロシクな。」


「独身とか別に聞いてないんだけど?」

オマケにガハハ笑いするし、頭の兜外したら、モロスキンヘッド。

ソレを見た途端、アタシのガルドへの印象を表す脳内デジタル表示はダララーッ!と凄い勢いで減点を始めた。

「アタシからの第一印象、期待値下回り過ぎ。」


「ルクスあのな………ところでガルド、何か特技やスキルとか持ってる?」


「盾役だからな、ヘイトのスキルとシールドチャージは得意だぜ?」

ヘイトで敵の注意を引き受けシールドチャージで攻防一体の働きをする…なるほど、盾役として基本スキルを持ってるならそれなりに使えそうだね。


「ふむ…後は腕力次第か…」


「見せてやるよ」


大男(ガルド)はアタシ達の席を床の台座ごと

グワッ!と一気に持ち上げた。


「う…うん、これなら問題無い、かな?」


「い、異論…無いわ…」

思わずコイツの馬鹿力に顔が引き攣ってしまった。

アタシとした事が不意を突かれたとはいえ情けないっ!


台座ごと私達の席を元の位置に戻すと、またしてもガーッハッハッハ!と大男(ガルド)は笑っていた。

やっぱり今の行為でアタシの頭の中のコイツへの印象を表すデジタル表示は一気に下降するのだった。

もはやデジタル表示のライフはゼロに限りなく近いね。

と言ってもショータが合格判定すればアタシからの印象度合いを表示する好感度メーターなんて何の意味も為さないんだけど。


続いて槍使いエボリュー(男)、弓兵アローネ(女)、斥候に役立つ盗賊(シーフ)のミカ(女)と合格者が決定していった。

イイ感じで男女比のバランス取れてるから一人の女巡って男達の取り合いが勃発なんて事にならなさそう…だなんて考えてた時期がまだアタシにもありました。

ええ、まだこの時アタシは違う形で自分がその心配の渦中に巻き込まれるだなんて予想もしてなかったのよ。

…と、それはさておき。


みなソコソコ癖はあるけど腕は立つし、まあ最初のガルドよりは印象マシだったかな?

〜とまあ。ここまでやって来た志願者達はみんなその場で合格だった。

だってその実力を目の前で照明されたんだから仕方無いじゃない?

そのせいで少し室内が荒れちゃったけど…まあこれも王宮が必要経費とやらで何とかしてくれるでしょ?


「うん、だいぶメンバーも決まった事だしそろそろ打ち止めかな?」


「ちょっと待ちなよショータ、肝心な役職が抜けてるぜ?」

重戦士ガルドが言った。

アタシ達がポカンとしてると。

「ヒーラーだよ、ヒーラー。」

「怪我人でたり体力や魔力消耗した時誰が回復するんだよ?」


「あ、そうか。」

勇者がペラペラと書類をめくった。


「あ、あと一人、確かに聖職者がそのヒーラー役で志願してた。」


「肝心な事忘れないでよショータ?」


…?


な、なんだろう、なんだか胸騒ぎがするような…

何か見落としてるような…?


パタンと扉が開くと。


パァァァッ………。


その瞬間、目の前全体に光が差したような気がした。

とてつもなく清浄な気が室内に満ちて来るような。 

………如何にも聖職者らしい雰囲気を纏ってその女は現れた。


「こんにちは〜♪」

ニコッと明るい笑顔で聖職者(女)が扉の向こうからやって来た。


「私、王都の教会で聖職者として修行中のルチアーナでございます。」


聖職者(女)は両手を顔の前に持ってきてこう言った。

「少し縮めて『ルチア』って呼んで下さい♪」


うっわー!

今キャピィッ♡ていう何か聴こえなかった?気の所為?

聴こえたのアタシだけ?!

なんだかあの女の周りで天使がラッパ吹いてる幻覚まで見えてきた…。

何?ここの空気とは場違いなお花畑な希望者?

ここ勇者パーティーの面接会場なんだけど?


ジーッと眺める私には目線も合わせず、その聖職者はあろうことかアタシの相棒である勇者を、ショータを見つめてる事にやっと気が付いた。


「あの…もしや貴方様がかの有名な勇者、ショータ様でございますか?」


「あ、ああ。俺がその勇者で間違い無いけど…」

ショータは少し引き気味だった。 

わかる。

何となく。

見た目は確かに清楚な聖職者だけど、どことなく肉食系の気配がするんだよね、あのルチアーナってヤツは!


あ、そのルチアーナがツカツカとコッチへやってきた!


そしてまだコッチは何も言ってないのに勝手に席に着いた。

そしてガッツリ身を乗り出してショータに自分をアピールし始めた!

「勇者様、初めてお目にかかります!」

「お噂は神官様から聞かされておりました、私かねてより貴方の大ファンなのです!」


「は、はあ…どんな噂かは知りませんけど…(汗)」


「あ、その背中にかけてらっしゃる剣があの星剣なのですね?初めて見ましたわ!」

ショータと星剣をジロジロ見るルチアーナとかいう女。

結構失礼なヤツだな、ショータの隣にいるアタシには目もくれずしかも挨拶無し、なのにショータと剣に興味津々とはね!

聖職者というからには礼儀正しいイメージが一応あったけど、どうやら思い違いだったようだね…!

「コホン。」

アタシは軽く咳払いをした。 


しかし。 


「あの、私の聖魔法の治癒があればどんなダメージや疲労も瞬く間に回復し、支援ではあらゆる能力が倍がけになるんですよ!」


「へえ〜、それは確かに凄いな?」

素直に感心するショータに呆れたアタシは釘を刺した。

「ショータ、簡単に口車に乗り過ぎ。まずは本当か腕前の確認を…」


ズコン☆


「………つううう〜〜〜っ!?」


唐突にアタシの頭に衝撃が走った…!

な、何今の?


「まあ大変、魔法使いさんの頭にタンコブが!」

「しかしご安心ください、私がこのように…」

神官が片手をアタシの頭に翳した。

「大いなる天の父よ、その御名において癒したまえ…。」


ズキズキズキズキッ!!!


「!!!!(うぐううう〜〜〜っ)???」

何故だか無性に傷痛む気するんだけどお?!


「はい、治りました♪」


何言ってんの?コッチはさっき地獄のような痛みが…!


サワサワ…。

「あ、あれ?」

…確かに、タンコブが治った。


「おお、良かったなルクス、ていうかお礼言えよ?」


「あ、ありがとう…ございました?」

しかし何故タンコブが出来たのか、しかも治癒魔法であんなにズキズキ痛かったのか?

何か腑に落ちない、何故だ!


「ウフフフ、ではこれで私も勇者パーティーの面接は合格、でよろしいですのね?」


「おう!ともあれこれで勇者パーティーに必要な人材が揃ったな!」

ショータが喜んでる。

なんかアタシ的にはこのルチアーナのパーティー入りは釈然としないんだけど、ショータが認めたんだからもう今更コイツ駄目!とは言えないし言っても撤回させられるだけだな…くそう、何でこうなった?


「それじゃみんな、これから勇者パーティー結成を記念して乾杯といこうじゃないか!」

重戦士ガルドがそう言うとギルド会館の奥から料理やジョッキがテーブルに用意された。

今日の面接で勇者パーティーが結成したら宴会する流れは決まっていた。

これで深夜までギルド会館一階はアタシ達の宴会場となる事が確定した。

ギルドへの支払いは多分王宮に必要経費として申請すれば通るだろう、その役目は当然ショータだ、アタシの中ではそう決まってる。


全員にジョッキが渡るとショータの演説がまだ途中なのに大人なメンバー達は乾杯!と叫んで飲み始めた。

…へえ〜、結構みんな酒飲みなんだな…アタシはアルコールは駄目。

ショータもまだお酒には慣れてない。

向こうの世界でも飲んだ事無いらしい。


「ぐびくび…ぷはあ〜♡」

「ウフフフ…やはり勇者パーティーに入れて良かったです〜、教会ではお酒なんて飲めませんからねえ〜〜、デヘヘへエ〜。」


「ちょ、ちょっとアンタ?仮にも聖職者でしょ!何でそんなにグイグイお酒飲めるのよ!?」


「グフフフぅ〜(笑)、神官様にお偉い方々から貢ぎ物がございましてえ、ソレをコッソリと…♡」


な、何てヤツだ…!

やはり恐ろしい女かも知れない。

ショータが悪影響受けないよう、この不良女?からはアタシが守らねば!!


………やがて宴もたけなわ…。


飲み慣れないお酒に青い顔したショータが心配で少し夜風に当たらせようとアタシはショータを外に連れ出そうとした。

「ちょっとショータ大丈夫?少し外の風にでも当たる?」

「うっぷ…す、すまない、ルクス…。」

アタシがショータに肩を貸して席から立とうとした時だった。


グイッ。


誰かが反対方向へとショータの身体を引っ張った。


ショータの腕を掴んで引っ張っているのは…。

「あら夜風に当たられるのですか?でしたら是非私も少し酔い冷ましに連れていってくださらないかしら勇者様?」

酔い冷ましと言いながらまだジョッキのお酒をグビグビと飲んでる自称聖職者がそこにいた。

「そこのカラスみたいに真っ黒な魔法使いさん?勇者様のお世話は治癒回復役の聖職者であるこの私が致しますので、お手をお離しになってくださらない?」


ピクッ。

な、なんだろう、この威圧感。

顔は笑ってるのにハンパなく伝わってくるこの「圧」は?!


「アタシはこの勇者パーティー結成前からずっとこのショータと組んでるいわば相棒なの、コイツの世話は以前からの私の役目なの!」


「では今日からそのお役目は私が引き受けましょう、古参の魔法使いさんはアチラの新参者達と交友をお深めになられるべきでは?」


それは今必要な事か?

アタシよりショータがやるべき事でしょうが!

つうかどうもこの自分も新参者だと言うことを失念している聖職者はそんなにショータと一緒いる為にアタシを引き離したいわけ?

まさかコイツ、今日会ったばかりだというのにショータの事を…?


「面倒だからアンタも一緒に風に当たりましょう、その前に少しは酔いを覚ましなさいよ、ホラ水飲んで!」


聖職者ルチアーナは素直にコップの水をグイッと飲んだ。

すると…


「ギャーッ?!か、辛〜〜〜い〜〜っ?!」


「あ、言い忘れてたわ、それ私が注文した超濃い目のジンジャーエール。発汗作用が強くて風邪やダイエットにはそれが一番なのよ。」

クフフ、やった、やったね♪

見事に引っかかった!


狙ってたというよりたまたまそこに超濃い目ジンジャーエールがあっただけなんだけどね、まさかここまで辛さの反応見せると言うことはお酒ぐい呑みのクセして甘党なのかも知れないわねこの聖職者は。


「私をハメましたわね、このク◯魔法使い!」


「ハメてないわよ、アンタが勝手にそのコップのを飲んだだけ♪」


「くっ…、全くこれだから薄汚れた野良魔法使いは嫌です、由緒正しい家柄から教会へ修行に出された私のような人間とは合わないようですね。」


「…あ、そう。修行に出されたって理由はその由緒正しい家柄にアンタのその性格が合わなかったから矯正の為なんじゃない?」


「何ですって?!」


「はん!ソッチこそこのアタシを野良魔法使い?笑わせんな、アタシは子供の頃に覚醒した時点でとっくに今のような勇者パーティーの一角になれるような一流の魔法使いだったんだよ!」


「私だってそんじょそこらの治癒回復役魔法使いや支援魔法使いとは実力の桁が違います、教会からこの勇者パーティーへ推薦される程の優秀な神聖魔法使いなのです!」


ぐぬぬぬ…っ!!


アタシとルチアーナは顔を近づけ激しく睨み合った!

そう、肝心の勇者であるショータの事すら放り出して(汗)。

ていうか顔近い近い!

何顔近づけてんのよこの女!

何か良い匂いすんだけど良い香水付けてんのかな?

ちょっと何処の店で買ったのか後で教えなさいよ?

…じゃなかった。

向こうもアタシの匂いを嗅いだのか何か考えている。

ふん、どうせ貧乏人が安物香水使ってるとか考えてんでしょ?


「ま、まあまあ二人とも?」

そこへ勇者のショータがアタシ達の間に割って入り強引に私達を引き離した。

ショータの手がアタシ達のお腹に触れたのでアタシ達はつい喧嘩してたのも忘れて恥じらった。

一応女なんだからね、アタシ達も。

なのに無神経なのかショータは気付かないんだよね。


「今日はまだ会ったばかりで親睦を深める為の宴だ、最初からそんなツンケンしてたらこの先やってけないぞ?」


「ま、まあ勇者様がそうおっしゃられるなら…」


「アタシだってショータやみんなに迷惑かけるつもりはないもんね…」


アタシとルチアーナは抜いた刃を鞘に納める事にした…まあ実際に刃物を持ってるワケじゃないけど。


「良し、納得してくれたならその証として…」

「二人とも握手、握手!」


ショータから握手を求められ、アタシとルチアーナはショータに手を伸ばした。

すると…。


「良し、これで仲直りだ!」


何と、ショータのヤツったらアタシとルチアーナの手を引っ張って無理矢理握手させたのよ!

何すんだコイツ、アタシはそこまで仲直りしたいワケじゃ…

て、あれ?


ズビビビッ!!


握手させられたアタシの手が激しく痺れた!


それは向こうも同じだったようで、何か驚いた顔してた。


ショータが握手させられるアタシ達の手から自分の手を離した瞬間、アタシとルチアーナも咄嗟に手を離した。


(な、何?今の感覚は何なの?)

これまでもアタシは怪我の手当てとかの理由で他の魔法使いや聖属性魔法使いに触れてきた事がある。

その時は少しムズい程度でこんなに痛みを伴うような痺れなんて経験した事が無かった、

この感覚は一体…?


ルチアーナの方も自分の手とアタシの方を交互に見て神妙な顔をしていた。

恐らく向こうも同じような感覚を感じ取ったに違い無い。


一体アイツは何者?ただの修道女じゃ無さそうねアイツの言う通り優秀なのかも知れないけどそれを差し置いたとしてもこれは理解出来ない。


アタシとルチアーナが互いを見つめ警戒しあう様子を見たショータは二人が仲良くなったとでも思ったのか満足そうな笑顔を、していた。

「うんうん、これで二人とも仲良くなれたね?良きかな良きかな♪」


「それ絶対に違うからね、ショータ?!」

アタシが否定すると、ルチアーナも激しく同意し首を縦に振った。

アタシとルチアーナは変なとこだけ意見が合った。



とうとう運命の出会いを果たしてしまいました。


修道女であり神聖魔法を使える聖職者、ルチアーナ。彼女こそルクスにとって運命の、そしてアル意味宿命の存在となるのです。


〜今後の励みとなるのでブックマークと評価をお願いします。〜



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