cys:97 女剣士『メデュム・アネーシャ』
今日1時間毎に連続投稿いきます。
「フッ、これが2万の軍勢か。爽快だ」
「いやーーノーティス。ホント、奴さんら大軍だな」
古の祠ティコ・バローズを背に、トゥーラ・レヴォルト軍と凛々しい顔で向き合うノーティスとジーク。
そんな2人にロウが告げてくる。
「ジーク、数はこちらも負けてはいない。後は僕の作戦通りにいけば勝てるハズだ」
「りょーかい!」
ジークが気合を入れると、ノーティスがサッと先頭に立ち、剣を両手で縦に構えた。
そして、精悍な瞳で前を見据える。
「光のクリスタルの名の下に……輝け! 俺のクリスタルよ!!」
ノーティスのクリスタルから、白輝の煌めきが溢れ出る。
それに続きジーク達もクリスタルを輝かせ、それぞれの色の煌めきを全身に纏った。
それと同時にノーティスは剣を横に構え、その剣に白輝の煌めきを込めていく。
「闇の軍勢は、俺が白輝の刃で薙ぎ払う! いくぞ! 『エア・ドリーミーズ』!!」
ノーティスの横薙ぎの剣から巨大な白輝の刃が放たれ、多くの敵を一瞬で薙ぎ払っていく。
それを横で見たメティアはノーティスに大きな笑みを向けた。
「ノーティスすごーい♪」
「メティアの支援魔法のお陰さ」
「ううん、ノーティスの力だよ♪」
それを見たジークはニヤッと笑う。
「おおっ、さっすがノーティス。こっちもやってやるぜ!」
ジークは真紅の煌めきを込めた巨大な戦斧を大きく振りかぶり、敵の軍勢に向い思いっきり振り下ろす。
「ウラァァァッ! テメェら大地ごと消し飛びやがれ! 『クリーシス・アックス』!!」
ドォォォォォン!! と、いう凄まじい轟音と共に兵士達が吹き飛び、大地その物が大きく割れた。
「へっ、どんなもんよ」
ジークが得意げな顔を浮かべると、レイがニッと笑みを向けてきた。
「ジーク、やるじゃない。後は、私が綺麗にしてあげるわ♪」
レイはそう言って足を交差させ両手を天に掲げると、その手の中に作り出していく。
絶対零度の凍気を!
その凍気を掲げたまま敵に向かい妖しく微笑むレイは、まるで氷の女王のようだ。
「フフッ♪ 永遠に凍らせてあげる! 『クリスタル・コフィン』!!」
レイが技を放つと戦場に絶対零度の吹雪が舞い、一瞬にして大量の兵士達を氷の中に閉じ込めていく。
「うっ……!」
正に息をつく間もなく一瞬で凍らされた兵士達を見つめながら、レイは妖しく微笑んだ。
「フフッ♪ さよなら。そして……美しく散りなさい!」
レイはそう告げると、掲げた両手を下にサッと振った。
その瞬間、凍らされた兵士達は砕け散る氷と共にバラバラに……!
レイはそれを見つめ、手に残った凍気をフッと吹くと、ジークの事をチラッと見た。
「ジーク、あまりお痛しちゃダメよ♪」
「うーぃ、こいつはますます逆らえねぇぜ」
その光景を見て、楽しそうに笑うアンリ。
「ニャハハッ♪ さすがレイだニャ。ではこっちもやるかの」
アンリはグリーンの巨大な魔法陣をブワァンッ! と、2つ創り出すと、その1つを大地に。
もう1つを上空に設置した。
「さぁーーて、まとめて行くニャ♪ 『ハロー・デス・グラビティー』!!」
その魔法から放たれた煌めく光が、兵士達を巨大な重力で一気に押し潰していく。
美しく煌めく光の中は、死の空間だ。
「ぐ……! ぐわっ」
アンリは大量の兵士達を一気に地面に押し潰し、軽く息を吐きながらも満足気に微笑んだ。
「ふぃー200倍の重力じゃからの♪ これでみんな、ぺったんこニャ♪」
アンリはニパッと可愛く笑っているが、トゥーラ・レヴォルト軍の兵士達には恐怖でしかない。
「や、奴ら、なんて強さだ!」
「前に戦った時より、さらに強くなってやがる!」
「これが、魔力クリスタルの力か……!」
ノーティス達に一気に大量の兵士達が崩され、戦慄するトゥーラ・レヴォルト軍。
けれどノーティスは、そんな彼らを真っ直ぐ見据えたまま、側にいるメティアに告げる。
「メティア。自分に防御魔法かけたまま、俺に掴まっててくれ」
「あっ、うん。分かった」
メティアがそう答えギュッと掴まると、ノーティスはグッと腰を落とし突きの形に剣を構えた。
「俺の光で道を作る! 『エッジ・スラッシュ』!!」
ノーティスは一筋の光の閃光と化し突き進み、正に中央に大きな道が出来上がった。
そして、メティアが体からサッと離れた瞬間、後ろにバッと振り返り皆に号令をかける。
「道は作った! みんな、斬り込め!」
その号令と共に、スマート・ミレニアム軍の兵士達も一斉にトゥーラ・レヴォルト軍になだれ込んでいった。
激しくぶつかり合うスマート・ミレニアム軍と、トゥーラ・レヴォルト軍の兵士達。
その時ノーティスはハッ! とし、鋭い眼差しで前を見据えた。
前に構えている兵士達の後ろから、途轍もない戦闘力を放つオーラを感じたからだ。
───何者だ?!
ノーティスが本能的に危機を感じ身構えると、その戦闘力には似つかわしくない、凛とした美しい声が聞こえてくる。
「どきなさい、アナタ達。その男は強い……向かっていっても、ムダに命を落とすだけだわ」
トゥーラ・レヴォルト軍の兵士達は、その声の方へバッと振り向き道を開けた。
そして彼女の姿を見ると歓喜の声を上げる。
「アネーシャ様!」
そこから颯爽と現れたのは、白、いや、美しく長い銀髪と背中のマントを風に靡かせ、左手に長剣を持った女剣士だった。
年はノーティスと同じぐらいで淡いピンク色の鎧を纏い、凛とした美しい瞳をしている。
アネーシャはその瞳でノーティスを見つめた。
「私はトゥーラ・レヴォルトの勇者『メデュム・アネーシャ』! アナタがスマート・ミレニアムの勇者ね」
「そうだ。俺はスマート・ミレニアムの勇者エデン・ノーティス」
「ボクはスマート・ミレニアムの王宮魔道回復士フロラキス・メティアだよ」
ノーティスとメティアがそう答えると、アネーシャは笑う。
「フフッ。ノーティス、アナタはさておき、そのメティアって子は、ここから離してあげた方がいいんじゃないかしら」
「えっ! ボクも戦うよ!」
メティアは勇ましくアネーシャに答えたが、ノーティスはアネーシャを見据えたまま、そっとメティアの肩に片手を添える。
「メティア、すまない。アネーシャってヤツの言う通りだ。彼女は強い……!」
「ノーティス……!」
潤んだ瞳で見つめるメティアだが、今ので分かった。
アネーシャと戦いながらでは自分を守れないのだと、ノーティスの精悍な横顔が物語っていたから。
「分かったよ、ノーティス」
「すまないメティア……」
ノーティスはそう告げアネーシャに1つ言おうとしたが、アネーシャの言葉にそれを止めた。
「トゥーラ・レヴォルト軍の皆に告ぐ! 私は今からスマート・ミレニアムの勇者と一騎打ちに入る! その間、この回復士に手を出す事は許さぬ!」
アネーシャの言葉に、目を大きく開いたノーティス。
今アネーシャが告げた言葉は、正にノーティスがアネーシャに頼もうと思っていた事だったから。
むしろ、そんな都合のいい事がなかなか通るとは思っておらず、メティアを敵兵達からどう守ろうかと考えていたのだ。
「アネーシャ……一体どういうつもりだ」
「フフッ、そんなの私が聞きたいわ」
「なんだと?」
ノーティスが訝しむ顔を向けると、アネーシャはその凛とした瞳でキッと睨む。
「ノーティス、いくら敵だからって……アナタ達は、何で、あんな殺し方が出来るの?」
アネーシャの問いかけに、ノーティスは……
次話は、ノーティスとアネーシャが互いに全力の姿に変身します。
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