表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゼロの輝き─無魔力追放からの反逆  作者: ジュン・ガリアーノ
第6章 魔力クリスタルの深淵
99/251

cys:98 アネーシャの問いかけ

「ノーティス、いくら敵だからって……アナタ達は、何であんな殺し方が出来るの?」


 アネーシャからの問いかけに、思わず言葉を詰まらすノーティス。

 咄嗟に答える事が出来ないから。


「そ、それは……」

「アナタとあの斧使いはまだいいわ。けど、戦士の誇りを踏みにじるようなあの攻撃は何?」

「くっ……」


 言葉に詰まったままのノーティスに、アネーシャは更に続ける。


「ユグドラシルの力は、本来あんな事の為に使う物じゃないの」

「それは……それはキミ達が攻めてくるからだろう!」

「でも、私達は必要以上に殺したりはしないわ」


 その言葉が真実である事は、ノーティスに痛い程伝わってきた。

 現に、アネーシャは皆を守る為に一騎打ちを申し込んできたし、メティアには手を出すなと全軍に号令をかけたからだ。


「……でも、俺達には俺達の戦い方が……あるんだ!」


 苦しく声を絞り出したノーティスに、アネーシャはスッと瞳の色を落ち着かせる。

 まるで諦めたように。


「そうね……アナタ達にこんな事求めたってムダよね」

「どういう事だ……」

「アナタ達になんて出来るハズないもの。私達の全てを踏みにじり、偽りのクリスタルの光に照らされてるアナタ達になんて!」


 アネーシャのその言葉を聞いた瞬間、ノーティスハッ! と、して目を見開いた。

 ノーティスの脳裏に、あの日の事が蘇ったのだ。


『守る? 守るだと?貴様は……貴様達はこの俺達からどれだけのモノを奪ったと思っている!!』

『やはり、偽りの光と歴史に塗れた国の者には、何も見えていないようだな』


───シド!


「アネーシャ、キミは一体……」


 ノーティスがそう漏らした時、アネーシャはノーティスに片手で剣先をビュッ! と、向けた。

 まるでその問いに答える事を拒絶するように。


「もういいわ……一瞬でも期待した私がバカだった。私達の今まで受けてきた屈辱と悲しみは、この剣で晴らす!」


 アネーシャがそう告げ向けてきた剣の(つば)は、花びらのような装飾がされている。

 ノーティスはそれに気付き、アネーシャの剣の鍔をジッと見つめた。


───あの花はどこかで……


 ノーティスがそう思った瞬間、アネーシャは剣を横に振りかぶりノーティスに飛びかってきた。

 その凄まじい速度に、ノーティスは何とか反応しながら剣を構えて防ぐ。


 ガキインッ!!


「くっ……! なんて重い剣だ」

「いくわよ!」


 そこから、アネーシャの凄まじい猛攻がノーティスを襲っていく。

 ノーティスはそれを必死で受けるが、アネーシャの猛攻は止まらない。


 ガキインッ!! ガキインッ!! ガキインッ!!


「ノーティス!」


 それを見てメティアが叫ぶ中、ノーティスは感じていた。


───ぐっ……なんて重さだ。一撃一撃が必殺剣のように響いてくる。それに……


 ガキインッ!!


 ノーティスはアネーシャの猛攻を何とか弾き、ザザァァァッ! と、後に足を滑らせ間合を取り、苦しい顔をしながらアネーシャを見つめる。


「ハァッ……ハァッ……」


 息を切らすノーティスを、アネーシャは見下す事無く、むしろ軽く敬意を込めた眼差しで見つめた。


「さすがね。でも、よかった」

「よかった? それはどういう事だ」

「だって、もし今のでアナタがやられてしまう位なら、私はより自分を許せなかったから……!」

「なんだと……アネーシャ、キミは何者だ?!」


 けれどアネーシャはノーティスのそれには答えず、再びキッと睨む。

 その美しい瞳に怒りを宿して。


「……だから私の全力を持って、アナタを葬るわ!」


 アネーシャはそう言い放つと、右手を天にサッと掲げた。

 自らの力を最大限に引き出す為に。


「精霊と(いにしえ)からの神々よ! 私と共にその力を示せ!!」


 その詠唱を行った瞬間、アネーシャの体は高貴な銀色のオーラに包まれていき、さらに体の周りには、古代文字で書かれた呪符の様な物が浮かび上がっていく。

 それと同時に、蒼く染まる右の瞳と真紅に染まる左の瞳。


 そして両方の瞳が完全に染まった時、アネーシャの体から凄まじいエネルギーがブワァッ!! と、溢れ出した。

 そのエネルギーは、強い衝撃波になり周りに広がる。


「くっ……! なんて凄まじいエネルギーなんだ。これはまるで嵐……!」


 思わず片手で顔の下半分を覆ったノーティスは、目を細め顔をしかめた。

 そんなノーティスを、アネーシャは凛とした瞳で見据える。


「ノーティス、これが私の本気の姿よ」


 そう言い放ったアネーシャの姿は、ただ強いだけでなく、気高い意志と美しさをノーティスに感じさせた。

 ただ同時に、何故か微かに入り混じる儚さも。


「アネーシャ……綺麗だ」


 その姿に深くにも数旬見とれてしまったノーティスに、アネーシャは余裕の笑みを浮かべた。


「フッ♪ ノーティス。もしかしてアナタ、私を口説こうとしてるの」

「違う。本当にそう思っただけさ」

「そう……光栄だわ。だったらアナタも本気の力をみせて。私はそのアナタに必ず打ち勝ってみせるわ!」


 アネーシャのその言葉に、ノーティスは驚いて目を大きく開いた。


「キミは、敢えて全力の姿にさせるというのか……!」

「当たり前でしょ。お互いに全力じゃないとフェアじゃないわ。それに……」


 アネーシャは凛とした瞳で見つめる。


「さっき言ったでしょ。全力のアナタを倒さなきゃ意味が無いの」


 その言葉と思いを受けたノーティスは、アネーシャに敬意の眼差しで答える。


───アネーシャ。キミのしている事は、シドが教えてくれた戦士の誇りそのものだ。だから俺は……


「分かったよアネーシャ……ハァァァァッ! 究極まで高まれ! 俺のクリスタルよ!!」


 ノーティスは魂を震わせクリスタルを再び覚醒させた。

 白輝を超えた、ゴールド・クリスタルに!


 すると、今度はその輝きにアネーシャが片手で顔の下半分を覆い顔をしかめた。


「くっ……凄いわね。これがあのゴールド・クリスタル。アナタの本当の力……!」


 黄金の煌めきを纏ったノーティスはアネーシャに向かい剣を構え、澄んだ瞳で見据える。

 アネーシャの事をただの敵ではなく、トゥーラ・レヴォルト軍の誇り高き勇者として。


「アネーシャ、キミから立ち昇る力と戦士の誇り。その全てを受けて俺はキミを討つ!」

ゴールドクリスタルを纏ったノーティスだが……



次話は、ノーティスとアネーシャの激しい戦いが繰り広げられます!

ブックマーク、評価いただけると励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ