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cys:71 エピステニィ・ファイブ

「カミュ、それは一体どういう事だ?!」


 ノーティスは瞬間的に怒りを沸騰させ、カミュに怒鳴りつけた。

 挨拶もそこそこに、突然何もする事が無いと告げられたからだ。

 しかし、カミュはそんなノーティスに全く動じる事なく、玉座から冷酷で尊大な眼差しを向ける。


「お前は口の訊き方がなってないようだな。何者だ?」

「俺はスマート・ミレニアムの勇者、エデン・ノーティス。無礼はそちらが先だ」

「なんだと……」


 ギロッと睨むカミュに、ノーティスは臆する事なく真正面から返した。


「そちらから呼んでおいて、する事が無いとはどういう事だと尋いているんだ」


 ノーティスは確かに直球すぎだ。

 けど、皆同じ気持ちだったので、ノーティスを止める事なく心で応援している。

 特にレイはそうだ。


───素敵よノーティス♪ やっぱりアナタはカッコイイわ♪


 そんな中、カミュはパチンと指を鳴らした。

 するとカミュの目の前に、変わった鎧を着た五人の戦士達がザッと横一列に現れ、ノーティス達と向き合った。

 そして、カミュはニッと笑みを浮べ彼らに告げる。


「フンッ、お前達『エピステニィ・ファイブ』から教えてやれ。その無礼者共にな」


 そう告げられた彼らは、自信に満ちた顔でノーティス達を見据えた。


「私が指揮官の『トマス・グローリー』だ」

「ワタシはレーザー部隊を率いる『フリージア・サロメ』よ♪」

「俺は戦士の゙部隊長『イフリート・バロン』!」

「私は……救護部隊の『セント・アリーシア』です……」

「そして、僕が総隊長の『レオナルド・アッシュ』だ。よろしくネ♪」


 アッシュはスラッとした片手を胸に添え、ジトっと値踏みするような目でノーティスを見据えてきた。

 それに真正面から答えるノーティス。


「俺はエデン・ノーティス。スマート・ミレニアムの勇者だ」

「フーン……キミがあのイデア・アルカナートの後継者と言われてる、現在最強の勇者様か。強そうだネ♪」


 余裕の顔で答えてきたアッシュに、ノーティスは少し不思議そうな顔をした。

 彼らの戦闘力を感じてしまったからだ。


「アッシュ、キミ達がこの国の精鋭か?」

「そうだよ。ボクらがいれば、この国の守りは完璧サ♪ だから、ノーティスくん達の力は必要ないんだ横ヨ♪」


 そう言ってニヤッと嗤ったアッシュからは、卑らしいオーラが立ち昇っている。

 ノーティス達を不要だと蔑む雰囲気と共に。

 けれど、ノーティスは表情を変えずに問いかける。


「そうか。だが見た所、キミ達からはBランク程の力しか感じない。悪いがその実力で、あのトゥーラ・レヴォルトからこの国を守れるとは思えないが」

 

 これはノーティスだけではなく、他の皆も同じように感じている事だ。

 カミュの前に立ち並ぶエピステニィ・ファイブ達からは、良くてB+ランク位の戦闘力しか伝わってこないから。

 けれどアッシュは、そんな風に感じているノーティス達を嘲るように笑い出した。


「アハハハッ♪」

「何がオカシイ?」

「だってキミ達さ、本当にそこしか見てないんだもん」

「どういう事だ?」


 訝しむノーティスに、アッシュは笑いながら武器を見せる。


「これだヨ♪」

「それは?」

「アハッ♪ 分からないかなーーー。これは、魔力クリスタルのエネルギーを増幅して威力を増すんだヨ♪ だから、Bランク位の力しか無い僕らでもAランク、いや、上手くいけばSランクに近い攻撃を放てるのさ♪」


 アッシュは更にノーティスを見下しながら、得意げな笑みを浮かべた。

 それは、アッシュの横に並ぶ彼らも同様だ。


「だから僕らの部下達も、コレを使えばB+ランク位の力が出せるってワケ♪ 圧倒的な個の力より、そこそこのが多いければそれでいいのサ♪」


 アッシュから得意気にそう告げられた時、ノーティスはクロエの言葉を思い出した。


───そうか。だからキミは………でも……


「アッシュ、それが『キミ達の力』なのか?」

「ああそうサ! ノーティスくん、キミ達は確かに強いんだろう。凄く伝わってくるよ。けどさ、その強さを得る為に、どれだけ辛い想いをして、どれだけの血を流して技の研鑽を続けたのかナ?」


 アッシュはそこまで言ってニヤッと笑うと、ノーティス達に向かい両手を前に大きく広げた。


「けど、科学の力を使えば、そんな苦労は何もいらない! 装着してスイッチを入れるだけでいい! それだけで力が手に入るんだ! 科学。それこそが力! 努力や研鑽なんていらないんだヨ♪」


 アッシュがそこまで言った時、ジークとレイはブチ切れ体をザッと前に踏み出した。

 全身から怒りのオーラが立ち昇っている。

 今アッシュが告げてきた事は、自分達を完全にバカにする発言だからだ。


「てっめぇ! 言わしておけば!」

「そうよっ! そんな考え、全く美しくないわ!」


 そんなジークとレイに向かい、バロンとサロメがグイッと前に乗り出してきた。

 そして二人とも、ジークとレイをバカにした顔で見下ろしていく。


「おいおい、オッサン。そんな脳筋じゃ、同じ戦士として恥ずかしいぜ」

「んだと?!」

「これからの戦士は、スマートで強くなきゃよ♪」

「ケッ、なーーにがスマートだ。戦士ってのはな、大切なヤツを守る為に体張ってなんぼなんだよ!」


 ジークがイラッとした顔でバロンに身を乗り出すと、バロンはウザったそうに軽く顔を上げ、片手をヒラヒラさせた。


「あーークセェクセェ。そーゆーの、もういいから」

「テメェ……!」


 またその隣でサロメは、レイを見下しながら妖しく微笑んでいる。


「さすが最華の王宮魔道士、クロスフォード・レイ。噂には聞いてたけど、凄い魔力ねーー♪」


 サロメが言った通り、レイから立ち昇る魔力は通常時でも凄まじい。

 魔力クリスタルを輝かせていなくてもだ。

 けれどサロメは、そんなレイを見下ろしながら嘲笑う。


「でも疲れない? そんなに頑張っちゃって♪」

「悪いけど、アナタとはモノが違うの。一緒にしないで」


 クールに返したレイに向かい、サロメは片手で口を軽く押さえた。


「アハッ、一緒になんてなれなーい♪ だって、恋に苦しみたくないもーーん♪」

「ア、アナタなんでそれを?! まさか……」


 ハッとした表情を浮かべ、額からツーっと汗を零したレイ。

 それを見ながら、サロメは口をニヤッと歪ませ嗤う。


「そうよっ♪ この装置で心が読めちゃうの。アナタってとても綺麗なのに、本当に残念ね。アハッ♪」


 その光景を見たアッシュは、まるで決着がついたと言わんばかりに、再び両手を大きく広げた。


「どーだい。これが魔力クリスタルと科学の融合サ! だから、キミ達の出る幕は無いんだヨ♪ ハーッハッハッハッ!」

「こんにゃろう……」

「許せないわ……」

 

 怒りに震えるジークとレイ。

 そして、高笑いするアッシュをノーティスは哀しく見つめると、瞳を一瞬そっと閉じてからスッと見開いた。


「ジーク!! レイ!!」


 その大きな声にハッと振り向いた二人を、ノーティスはジッと見つめている。


「行くぞ」

「あっ? なんでだよ」

「そうよ! このまま引き下がるなんて……」


 レイはそこまで言って、その後の言葉を飲み込んだ。

 どんな言葉を吐いても、今のノーティスの瞳には、全て飲み込まれてしまうような気がしたからだ。

 そんな二人にノーティスは再び告げる。


「行こう」


 ノーティスはそう告げると、颯爽と出口に向かった。

 そしてクルッと振り返り、立ち尽くしている皆に怒鳴る。


「行くぞ! こい!」


 いつもと違い有無を言わせぬノーティスの顔を見た皆は、黙ったままノーティスの方へ歩いてきた。

 するとノーティスはスッと振り返り、カミュとアッシュをジッと見つめた。


「カミュ! アッシュ!」

「……なんだ?」

「なーに? ノーティスくん♪」

「トゥーラ・レヴォルトのヤツらは強い。下らない意地よりも、仲間を一番大事にしろよ」

「フンッ……」

「ご心配なく。ボク達の科学の前には、蛮族など敵じゃないからサ♪ アハハッ」


 侮蔑の眼差しで返してきた二人にノーティスはそれ以上何も言わず、皆と一緒に広間を後にした。

ノーティスがここで退いたのには理由がある……

次話はシドと彼女の回。切ない想いがこだまします。


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