cys:58 王宮魔導士vs敵国トゥーラ・レヴォルト
「うらぁっ! 喰らいやがれっ! 『ギガント・アックス』!!」
ドゴォォォン!!
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
ジークの必殺技で敵の大軍が吹き飛び、戦場に大きな悲鳴と砂塵が立ち昇る。
今、ジーク達は戦っているのだ。
スマート・ミレニアムに攻め込んできている敵国『トゥーラ・レヴォルト』と。
「くそっ……なんて破壊力だ。たった一振りで何十人も消し飛ばされるとは……!」
敵が戦慄して声を漏らした時、彼らの周りに甘い薔薇の薫りが漂ってきた。
「何だこれは? クリスタルのような、薔薇の花びら?」
彼らが謎めいた顔を浮かべる中、レイは高い場所から敵達を見下ろし、妖しい笑みを浮かべている。
そして、立ったままスラっとした美しい両足を交差させ、両手をサッと天に掲げた。
「フフッ♪ アナタ達が戦慄するのはここからよ。悪夢に断罪されなさい!『エファルディス・コーディネーション』!!」
無数のクリスタルの青薔薇が舞い、敵兵達をザザァッと覆い隠していく。
敵兵達の視界はホワイトアウトならぬ、ブルーアウトだ。
その青薔薇は悪夢への誘い。
「あっ……あぁっ…………」
レイの必殺技にかかった敵兵達は、悪夢の世界に堕とされその場に立ち尽くしてた。
醒めない悪夢に涙を零し、精神を壊されたまま……
その光景を見たアンリは、嬉しそうにニヤッと笑う。
「さすが最華の王宮魔道士レイにゃ♪ 敵には回したくないのぉ」
アンリは魔導の杖をサッと天に掲げ、敵兵達の上空に巨大な三つのピンク色の魔法陣を作り出した。
「それじゃー一気にいくかの♪ 光でキレイキレイにするニャ♪ 『ライトニング・キロシーーース』!!」
巨大な光の魔法陣から、数多の光線が敵兵達にドドドドドッ!!! と、降注ぐ。
それはまるで、神の降臨の姿のような眩い光であり、敵にとってはこの世で見る最後の光。
その光が多くの敵兵達を、声を上げる間もなく消し飛ばした。
その光景を満足そうに見つめるアンリ。
「う〜~~む、我ながら綺麗な光じゃの♪ いい感じだニャ♪」
アンリは可愛くニパッと笑っているが、敵兵達からしたら恐怖でしかない。
「つ、強すぎる……だが!」
敵はアンリ達に押されながらも、反撃を試みる。
まずは、石に炎が着くように仕組まれている巨大な投石器を何台も設置し、そこからスマート・ミレニアム軍に目がけて発射させたのだ。
「喰らえーーーーーー!!」
炎を纏った幾つもの巨大な岩石が、スマート・ミレニアム軍に飛び向かってゆく。
「おいおいノーティス、ありゃヤバくねーか?!」
「フッ、ジーク。問題ない」
ノーティスがジークにそう告げた瞬間、黄金色の煌めきを纏ったメティアが、斜め上にサッと両腕を翳した。
「ボク達のスマート・ミレニアムは、破壊させないよ! 『パーメガス・クリスタルアミナーーー』!!」
その詠唱と共に、スマート・ミレニアム軍と城の周りが巨大なクリスタルの障壁に覆われた。
「なにいっ?!」「あ、アレは?!」
敵兵達が驚き目を見開く中、燃え盛る巨大な幾つもの岩は障壁に当たりバラバラに砕け散ったのだ。
「ヒュウッ♪ やっるじゃねぇかメティア! なぁノーティス」
「あぁ、メティアは特級ヒーラーだからな」
ノーティスが嬉しそうに零すと、レイ達も凛とした瞳でメティアを遠くから見つめる。
「フフッ♪ 妬いちゃいそうなぐらい美しいわ」
「まるで守護天使のようなヤツにゃ♪」
「フム、初めての戦場とは思えないな」
皆からその想いを受けたメティアは、初めての戦場にドキドキしながらも、心には温かいモノが込み上げてきた。
───みんな、ボクの方こそありがとう。ノーティス、ボク……命に変えても、キミとみんなの事を守るからね!
メティアが心の中で誓いを新たにしている中、トゥーラ・レヴォルト軍は歯をグッと食い縛り、次なる反撃に出る。
「おのれ……ティターンの名の下に! 囚われし巨大なる者を解放せよ! 神聖罰解『ギガント・マキア』!!」
敵の魔道士は、その詠唱と共に巨大な巨人を召喚した。
身の丈はゆうに三十メートルは越える高さだ。
「グオーーーーーーーンッ!!」
地の底から震わすような雄叫びを上げた巨人。
それを目の前にしたジークとノーティス達スマート・ミレニアム軍を、巨人の大きな影が黒く覆う。
「ノーティス、やっこさん俺よりちょっとデカいよな」
「まっ、かなりな」
「だなーーーーさて、どーすっかねーー」
二人がそう言って見上げていると、巨人がズドンズドンズドンと大きな足音を立てて、勢いよく迫ってきた。
「ヤバいぜノーティス。やっこさん、結構お足もお早いぜ」
「あぁ、そうみたいだな」
冷静にそう答えながら、巨人を見上げているノーティス。
すると、遙か後方からエメラルド色の矢が勢いよく飛来し、巨人の胸にズドンッ!! と、突き刺さった。
矢はその直後、大きな光を放ちドガァァァァァン!! と、大爆発を起こし巨人を爆炎で覆う。
「ロウだ!」
ノーティスはそう声を上げ、身に纏う白輝の煌めきをより輝かせた。
これは作戦の一つだからだ。
万が一動きの素早い巨人が現れた時は、ロウが遠方から魔法弓で動きを止めるというモノ。
その作戦通り巨人の動きを止めた時、ノーティスは巨人の体をタタッ! と、軽快に駆け上がり、巨人の頭上まで飛び上がった。
そして、巨人の頭上で剣を大きく振りかぶると、必殺技の体制に入る。
より輝きを増していく白輝の煌めきと共に。
「お前達にスマート・ミレニアムは潰させない! 冥府へ還れ! 『エクス・ギル・スラッシュ』!!」
ノーティスは光の纏った剣を振り下ろし、巨人を頭上から真っ二つに切り裂いた。
「グォォォォォォォッ!!!」
ズジャャャャッ! と、いう音と共に体を切り裂かれ、ズドーン! と、左右に倒れていく巨人の体。
それを見たトゥーラ・レヴォルトの敵兵達は、まるで、レイに悪夢を見せられたように立ち尽くしたままだ。
その静まり返った軍勢に、総大将の青ざめた声が響き渡る。
「退けーーーーーっ!!」
その号令と共に撤退していくトゥーラ・レヴォルトの軍勢達を見て、ジークはノーティスに流し目を向けた。
「どーするノーティス? やっこさん達、このまま逃がしちまっていいのかい?」
「あぁ、無駄な戦いはしなくていい。それに、決めるのは俺じゃない」
ノーティスがそう答えると、それに呼応するかのような、ロウが皆に魔導の杖を高らかに掲げた。
「この戦、我らの勝ちだ! 勝利はクリスタルと共に!!」
ロウの勝鬨が戦場に響き渡ると、ノーティス達もそれに続く。
「勝利はクリスタルと共に!!」
戦場がスマート・ミレニアム軍の兵士達の悦びの声で溢れる中、ノーティス達は凛とした表情を浮かべ互いを見つめ合っていた。
ノーティスが率いる、最強の王宮魔導士達……!
次話から徐々に国家の闇に入っていきます。
途中ざまぁやほのぼのを挟みますが、本格ファンタジー色強めの傾向になりますので、楽しみにして下さい!




