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ゼロの輝き─無魔力追放からの反逆  作者: ジュン・ガリアーノ
第3章 白輝の勇者エデン・ノーティス
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cys:47 勇者就任式

───もう就任式、間に合わないよな……


 半ば諦めかけたノーティスは、両手を後頭部に組んで車の椅子にドサッともたれ掛かった。


「ハァッ……」


 もうすぐ正午になるが、まだゴールドエリアの真ん中辺り。

 到着すべきスマート・ミレニアム城は、ゴールドエリアを超えたプラチナゴールドエリアにあるからだ。


───レイ、メッチャ怒るんだろうな……


 ノーティスはレイの怒った顔を想像し、ハァッと軽く溜息をつきルミをチラッと見た。


───ああは言ってたけど、やっぱ厳しいよな……


 しかし、ルミはまだ全然諦めた表情ではない。

 むしろ、少し楽しんでるような顔ですらある。

 それが気になったノーティス。


「ルミ、そういえば何か間に合う方法あったんだっけ?」

「はい♪ ノーティス様。今ちょうどそれの準備中です」

「準備中? いや、乗せてもらってる分際で申し訳ないけど、もう準備も何も後三十分しかないよ」


 ノーティスがちょっと謎めいた顔をすると、ルミは車のスピードをゆっくりと落としてから停車した。


「えっ、ルミ。どうした? まさか、ここから走っていった方がいいからとか?」

「違います。さっき言われたんです。ギリギリまでお城に近い場所まで来てくれって♪」

「どーゆー事だ?」


 ルミはそれには答えず、マジックポータルを開く。


「レイ様、ルミです。今、ゴールドエリアの中央北1984番地です」

「分かった、今伝えるわ。じゃ、また後でね♪」

「はい♪ ありがとうございますレイ様。失礼致します」


 ルミはそう言ってマジックポータルを閉じると、ノーティスに嬉しそうな顔を向ける。


「ノーティス様、これで何とか間に合いました♪」

「えっ、どういう事だ?」


 ノーティスがそうボヤいた時、車全体がピンク色の光に包まれていく。


───あっ、もしかして!


 ノーティスがそう思った時、二人は車ごと城の前に移動していた。


「そういう事か!」

「はい♪ レイ様を通して、アンリ様に頼んでおきました」

「ルミ、天才っ!」


 ニカッと笑ったノーティスに、ルミは得意げな顔を向ける。


「私はノーティス様の執事です。ノーティス様に初日から恥をかかせる訳にはいきません♪」

「ルミがいてくれてよかったーーー! 今度、お礼するよ!」

「大丈夫ですよ、そんなの♪」

「いやいや。たださ、それならワザワザ途中まで走らなくてもよかったんじゃ……」


 ノーティスが少し気まずそうにそう呟いた時、目の前にフッとアンリが現れた。


「なるべく近い方が、魔力が少なくて済むからのーーー♪」

「アンリ!」

「アンリ様、わざわざここまでありがとうございます」


 深々と頭を下げたルミに、アンリは笑って答える。


「気にしなくて良いニャ♪ それじゃ、時間も無いしこのまま行くとしますかーーー」


 アンリがそう言った瞬間、三人とも王の広場の入り口にいた。

 荘厳な扉の向こうから、人が大勢集まっている気配が伝わってくる。


 その扉の前で、ノーティスはアンリにスッと頭を下げた。


「アンリ、ありがとう。アナタは本当に凄いな」

「ニャハハッ♪ まあこれでも一応、Sランク王宮魔導士だからの。にしても……」


 そこまで言い、ノーティスの姿をまじまじと見つめたアンリ。

 少し謎めいた顔を浮かべている。


「お主、フェクターと戦ってきたにしては、随分綺麗な格好だニャ♪」


 アンリにそう言われノーティスは、少し照れながら片手で頭を掻いた。


「さっき、ルミがヒールで治療してくれたし、カサロの魔法で一瞬で綺麗にしてくれたから」

「ほう、それは凄いの♪ さすがノーティスの彼女だニャ♪」


 そう言ってニヤッと笑みを浮かべたアンリの前で、恥ずかしそうに顔を火照らせたルミ。


「ア、アンリ様! 私はノーティス様の執事です!」

「にゃはは♪ そーゆ―事にしておくかの」


 アンリは笑いながらそう答え、ノーティスに凛とした瞳を向けた。


「ノーティス、ここまでよく頑張ってきたニャ♪ ただ、これからが真の戦いの始まりだからの」

「アンリ……」

「まあでも、これからは同時に真の仲間になるから楽しみだニャ♪」


 また、ルミもこれまでの事を思い出し、目頭を熱くしながらノーティスを見つめている。

 脳裏にこれまでの事が蘇せながら。


「ノーティス様。私はこれからも……」


 ルミがそこまで言いかけた時、ノーティスはそれを遮り優しい眼差しで想いを伝える。


「ルミ。これからも、ずっと俺の側にいてくれ」


 その瞬間、ルミは両手で自分の口を押さえたままブワッと涙を浮かべ、嬉しさに震えながら声を絞り出す。


「……はい。ノーティス様!」

「ありがとう、ルミ」


 ノーティスはルミにそう告げると、ゆっくりと扉を開けた。

 が、その瞬間、圧倒されてしまった。

 その場の荘厳な雰囲気に。


───うっ、凄いな!


 途轍もなく高い天井の広場の中央には、スマート・ミレニアムの紋章が刻まれた大きな赤い絨毯が敷かれ、その両脇には大勢の兵士達がズラッと立ち並んでいる。

 またその奥には、レイやロウ達Sランク王宮魔導士がザッと並び、ノーティスを見つめているのだ。


 何より、その一番奥の中央にいる教皇からは、威厳のあるオーラがヒシヒシと伝わってくる。


───これは遅刻しなくて正解だったな……ありがとうルミ、アンリ。


 心で二人に感謝したノーティスは、皆から注がれるプレッシャーの中、ゆっくりと赤い絨毯を踏みしめ教皇の側まで歩いてゆく。

 そして王の前に辿り着くと、ルミから教わった事を思い出しながら跪き、瞳を軽く伏せた。


「エデン・ノーティスでございます」

「そなたがエデン・ノーティスか。(おもて)を上げい」

「はっ……!」


 サッと顏を上げたノーティス。

 その瞬間、教皇は思わずカッと目を見開らいた。


───なっ?! この男、まるで、あの男のような瞳ではないか……!


 そう感じた教皇は、興味深そうに笑みを零す。


「ノーティス。一つだけ問う。そなたはこれからこの国の勇者となるが、そなたにとって勇者とは何だ?」


 そう問われたノーティスは瞳をスッと閉じ、これまでの事を思い返した。

 そしてそっと目を開き、澄み切った瞳を王に向ける。


「教皇。自分は無色の魔力クリスタルとして蔑まれ、友人だけでなく、親や兄弟からも見捨てられて迫害されて生きてきました」


 ノーティスはそこで一旦言葉を区切ると、精悍な顔で話を続ける。


「けれどそんな時、一人の名も知らぬ少女に命の暖かさを教えてもらい、師匠に強さを。そこにいる王宮魔道士の方々からは強さと美しさと矜持を。そして、執事のルミからの愛のある献身……」


 皆がノーティスの話に聞き入っている中、ノーティスは教皇にハッキリと告げる。


「そのどれ1つが欠けても、今の自分はいません。だからその俺が勇者であるならば、勇者とは『愛と感謝の光で絶望を超えていく者』です!」


その言葉がノーティスの想いと共に教皇の間に響き渡ると、皆が心にグッとしたモノを感じ声を漏らす。


「満点以上の解答だ」

「魔法のような言葉だニャ♪」

「全く。美し過ぎよ」

「相変わらずイカしたヤローだぜ」


そして、両手を口に当てたままボロボロ涙を流すルミ。


「うぅっ……ノーティス様……愛しています」


皆が感激して言葉を零す中、教皇は跪くノーティスにゆっくりと近寄り、慈愛に満ちた瞳でノーティスを見下ろす。


「エデン・ノーティス。誓いの光を」

「はっ!」


ノーティスはその瞬間、今までの全てへの感謝とこれからへの誓いと共に、額のクリスタルを白輝に輝かせた。


その煌めきを受けた教皇は、その場で大きく宣言する。


「今この瞬間、エデン・ノーティスを我がスマート・ミレニアムのSランク王宮魔導勇者として認める!!」

ここまでご覧になって下さってありがとうございます!

皆様のお陰で、無事第3章まで完結出来ました!

次回からは新章に入ります。


重要な新キャラの女の子と共に、ざまぁはありつつも、これまで以上の感動の展開が待ってますので、まだの方は是非ブックマークしておいて下さい!

ここからも、読んで決して損はさせません\(^o^ )

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