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ゼロの輝き─無魔力追放からの反逆  作者: ジュン・ガリアーノ
第2章 波乱のギルド検定試験
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cys:36 怒りに曇るノーティス

 ギルド試験会場の近くにある闘技場『クリスタル・コロッセオ』

 ルミをさらったジークが指定してきた場所であり、普段は剣闘士や魔導士達の激しい戦いやトーナメントが行われたりする場所だ。


 ただ、今の時間は何も行われておらず観客はゼロ。

 そんな静かで薄暗い回廊に、ノーティス達が走る足音が響く。


 そして、広場へと続く回廊を駆け抜け広場に出ると、ノーティス達の瞳に映った。


 月明かりに照らされた屈強な二人の戦士、

 そして、一目でそれと分かるその戦士達のボスであるジークが、ニヤリと笑みを浮かべている姿が。


「よぉ、ギリギリじゃねぇか。もしかして、ビビッて逃げちまったのかと思ったぜ♪」

「ふざけるな!」

「おーおー、見た目は優男なのに恐いねぇ。まあ、レイに助けてもらうって感じか。レイ様~~~助けて~~~ってよ」

「キサマっ……!」


 ジークが挑発するような態度を取ったのは、ノーティスを怒らす為だけではない。

 レイと協力させない為だ。

 無論こんな思惑、普段のノーティスなら軽く見抜くが今はそうはいかない。

 ルミが攫われている事で、頭に血が昇ってしまっているからだ。


 なので、ノーティスはレイとエレナを背にし、ジークを睨みつけたままザッと前に出た。

 全身から怒りのオーラが溢れ出ている。


「ルミはどこだ!」

「おいおい、お前さんせっかちなヤツだな。それに、どこ見てやがる。あそこにいんだろーが」


 ジークがクイッと親指を向けた先を見ると、円柱に縄で縛り付けられているルミの姿が見えた。

 口に猿ぐつわをハメられている。


「ルミっ!」

「んーんんんんんー!」


 苦しそうに唸り声を上げるルミの姿を見て、怒りに体をブルブル震わすノーティス。


「ジーク! キサマっ……!」

「ハハッ、怖い顔すんなって」

「今すぐルミを解放しろっ!!」

「いやーそれは出来ねぇな。俺はお前さんと戦いたくて、この女を攫ったんだからよ」


 そう言ってニヤニヤするジークに、ノーティスの怒りがさらに増大してゆく。


「大層身勝手な理由だな。俺と戦いたきゃ、俺に直接かかってくればいいだろ! お前はそれでも本当に王宮Sランクなのか?!」


 ジークの身勝手な理由に激昂したノーティスに、ジークは軽くうつむいて笑う。


「クククッ……普通ならそうするさ。けど、レイから戦いぶりを聞いて感じちまったのさ」

「レイとの戦いで?」


 訝しむ顔を向けたノーティスに、ジークはニヤッと笑みを浮べた。


「お前さんは、自分の痛みじゃ本気で怒れねぇってな」


 ノーティスは怒りながらも、ジークの洞察力に驚愕しギリッと睨んだ。


───フザけた事しても、流石はSランクだな。


 ジークの洞察力を認め、ほんの少し気持ちが落ち着いたノーティス。

 だが、ジークは告げる。

 ノーティスを激昂させるような事を。


「だからよ、今回は少し趣向を凝らしてみたぜ」

「趣向を?」

「あぁ。ちっとばかし、あの女に遅効性の毒を盛ったのさ」

「な、な、なんだと?!」


 再び激昂したノーティスに向かい、ジークは首からかけた小瓶を摘んでニヤリと見せつける。


「後一時間以内にこの血清を打たなきゃ、手遅れになる。欲しけりゃ俺を倒して奪うしか……」


 ジークがそこまで言った時、ガキンッ! と、いう大きな音がコロッセオの広場に響いた。

 ノーティスが飛びかかり振り下ろした剣を、ジークが戦斧(ハルバード)で受け止めたからだ。


「おっとぉ、人の説明途中に斬り込んでくるたぁ、お前さんもいい度胸してんじゃねーか」

「どの口が言ってんだよ! このクソヤローが!!」


 途轍もない怒りにノーティスは目を大きく開き歯を食いしばりながら、グググッ! と、剣を押していく。

 片やジークは同じく力を入れ踏ん張っているが、ノーティスを見据えたままニヤッと嬉しそうに笑った。

 ノーティスと違い、余裕のある表情だ。


「おっ、火が着いたみてぇだな。いいじゃねーか♪ 来いよルーキー!」

「くっ……!」


 ガリンッ!


 ノーティスは一旦飛び退き両手で剣を構えると、そこからジークに再び飛びかかり連撃を浴びせていく!


「ハァァァァァッ!」


 ガキンッ! ガキンッ! ガキンッ!


 ノーティスの凄まじい連撃に押されながらも、ニヤリと笑みを浮かべているジーク。

 余裕の表情は崩れない。


「いいね、いいね、そー来なくっちゃ♪」

「舐めるなジーク! オォォォォッ!」


 ノーティスは連撃を繰り出した後バンッ!と、大きく飛び上がると、振りかぶった剣をジークに思いっきり振り下ろした。

 サラサラの髪がブワッと逆立つ。


「くたばれっ!!」


 ドカンッ!! と、いう轟音と共に衝撃波が周りに走り、二人の周囲に砂塵がブワッと舞い上がった。


 それを見たエレナは、やったぁ♪ と、声を上げたが、砂塵が晴れると顔をサッと青ざめさせた。

 ジークはノーティスの渾身の一撃を、戦斧(ハルバード)で完璧に防ぎ切っていたからだ。


「うそでしょ……あれを防ぎ切るなんて」


 両手で口を覆い驚愕するエレナの隣で、レイはイラッと顔をしかめてノーティスを見つめている。


───ノーティス、あの子……!


 ジークはそんな二人に見せつけるかのように、ノーティスに向かい不敵に笑う。


「いい斬撃だ。こんなんは久々だぜ♪ けど、まだまだ足んねーな。レイとやった時は、こんなもんじゃなかったろ?!」

「黙れジーク! お前にとやかく言われる筋合いは無い!」


 両手で剣を構えたまま怒りの眼差しで睨みつけたノーティスに、ジークは軽くダルそうな顔を浮かべ片手でやれやれのポーズを取った。


「まあいいけどよ、このままじゃただ時間が過ぎてくだけだぜ。いいのかい?」


 ジークが嘲るようにそう言うと、ノーティスはジークを睨みつけたまま怒気を吐きつける。

 もう完全にブチ切れているノーティス。


「ジーク、オマエがそこまで言うなら見せてやるよ!」

「おっ♪」


 ジークが嬉しそうに目を大きく開くと同時に、ノーティスは怒りと共に詠唱を行なってゆく。


「光のクリスタルの名の下に、輝け! 俺のクリスタルよ!!」


 クリスタルから溢れ出した白輝の煌めきを纏うと、ノーティスはジークに向かい必殺剣の構えを取った。

 睨みつける瞳に、怒りの炎を宿したまま。


「そんなに見たきゃ見せてやる。そして、さっさとくたばれ!『メテオロン・フォーススラッシュ』!!」


 レイを倒した数多の流星のような斬撃がジークに向かって放たれたが、ジークも自身の魔力クリスタルを輝かせていた。


「真紅の業火と共に唸りやがれ! 俺のクリスタルよ!!」


 そして、魔力クリスタルから溢れ出した燃えるような炎の煌めきを全身に纏い、それと同時にジークは必殺剣を繰り出す体制に入った。

 ジークの戦斧(ハルバード)が炎のオーラを纏い巨大化している。


「全てをブチ壊すぜ!『クリーシス・アックス』!!」


 その振り下ろした戦斧(ハルバード)から放たれた大きな真紅の斬撃が、ノーティスの流星剣と激しくぶつかった。


 ドガアンッ!!


「ハァァァァァッ!」

「うらぁぁぁっ!」


 二人の技は互いに中間でぶつかり合っていたが、しばらくするとジークのクリーシス・アックスがノーティスの流星剣を退けていく事に。


「くっ……そ、そんなバカな!」

「うおらぁぁぁっ、消し飛べや!!」


 その叫びと共に力を振り絞り、ジークはノーティスの流星剣を完全に押しきった!

 打ち負けたノーティスに向かい、凄まじいエネルギーが襲う。


「うわぁぁぁぁっ!」


 ノーティスが吹き飛ばされたのを目の当たりにしたルミは、涙を滲ませ猿ぐつわを弾き飛ばしそうな勢いでノーティスに向かって叫ぶ。


「んーんんんんんんっ!!」


 また、エレナも顔を真っ青にしてノーティスに駆け寄ろうとした。


 しかし、そんなエレナをレイは片手でサッと防いだ。

 倒れているノーティスを静かに見つめたまま。


 エレナはそんなレイを、なぜ? と、いう顔で見上げた。


「レ、レイ様……?」

怒りに溺れたノーティスを見つめ、レイ何を想うのか……

次話はノーティスが心を取り戻します。

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