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ゼロの輝き─無魔力追放からの反逆  作者: ジュン・ガリアーノ
第2章 波乱のギルド検定試験
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cys:27 レイの運命の人

 レイの切なく甘い記憶……


 スマート・ミレニアム軍の中でも強く美しい王宮魔導士のレイは、子供の頃からその美貌で周りを魅了してきた。


 もちろん、男達からは性的な目で見られ、女達からは憧れと同時に嫉妬もされる。


 けれど、やはりその分レイの言う事は他の子よりも優先されたし、魔力が元々飛び抜けて優れていたレイは、クラスのカーストの中では常に最上位だった。

 それを失いたくないからこそ、自分の美しさにより磨きをかける。

 レイが美しさにこだわりそれを力とみなすのも、そんな幼少期と決して無縁ではない。

 

 それにより、レイの美しさは日に日に高まっていった。


『私の美しさに、全ての男達は跪くの♪』


 そう思っていたし、実際男はもちろんの事、女もレイの高貴な美貌にひれ伏していた。


 ただそんなレイでも、一人だけ思い通りにならなかった男がいる。

 かつて自分を誘拐犯から救い出してくれた上に、その後自分を弟子にしてくれたスマート・ミレニアム最強の勇者だ。


 その男はレイに言い寄ってこないばかりか、レイが気のある素振りをしてもぶっきらぼうな態度を崩さない。

 けれど、その男から溢れ出ている強さと優しさが、自然とレイを包んでいく。


 レイはその男に夢中になり、その男を嬉しそうに見つめながら話している。


『ねぇ、もっとこっち向いてよ』

『今、本を読んでんだ。見りゃ分かるだろ』

『う〜〜〜っ、本なんかよりもレイを見て♪』

『無理』

『ねぇっ、なんでっ!』


 レイは可愛く甘えた顔で、口を尖らして話を続ける。


『みんなレイに夢中なのに、オカシイよ』


 すると、男はメンドクサそうにフゥッと、溜息を吐いた。


『悪いが、ガキには興味がない』

『なによ、レイは子供じゃないわ! もう大人よ。付き合ってくれたっていいじゃない』

『はあ? お前はまだ、見た目も中身もガキだ』

『酷いっ! みんなはレイの事、綺麗とか可愛いって言ってくれるのに……』


 レイが悔しさと怒りに涙を滲ませ軽くうつむくと、男は分厚い本をパタンと閉じてレイの方へ静かに振り向き、透き通った艶のある瞳で見つめる。


『レイ、真の美しさは見えるモノじゃない。感じるモノだ』

『感じるモノ? 何よそれ、全然分からないーーっ!』

『フッ。もしいつか、それをお前に分からせるヤツが現れたなら……レイ、それがお前の運命の相手だ』


◆◆◆


 切なく甘い記憶を振り返ったレイは、ノーティスの事を睨みながら苛立ち身体を震わせた。


「なんで……なんでアナタなんかが同じ事を言うの?! 私の愛するあの人と同じ事を!」

「あの人……?」

「許さない……! もういいわ。絶望に染まって存在ごと消えなさい!」


 レイはノーティスをギリッ! と、睨みつけると、手の平の上の不死鳥をより輝かせた。

 その輝きがレイの美貌と交わり、神々しい輝きを周囲に溢れさせていく。

 また、光だけではなく、凄まじいエネルギーの波が周りを震わす。


 けれど、ノーティスは臆する事無くそれを見据えたまま、心の中でアルカナートに誓う。


───師匠、今こそアナタから授けてもらった(ひかり)を示します!


「光のクリスタルの名の元に、輝け! 俺のクリスタルよ!!」


 その瞬間、ノーティスのクリスタルから白く鮮やかな『白輝(びゃっき)』の光が眩く輝き、その煌めきがノーティスの全身を包み込んだ。


 その強く大きな輝きに照らされ、美しい目を大きく開いたレイ。


「ノーティス、アナタの魔力クリスタルは無色のハズじゃ……!」

「……師匠から教えてもらったんだ。勇者の光を発揮させる為には、他の色よりも心の力が必要だと」

「なんですって?!」

「だから、一見無色の魔力クリスタルにしか見えないし、心を輝かせなきゃ無色のままなんだ」

「そんな……」


 ノーティスから無色のクリスタルの秘密を聞かされたレイだが、どうしても納得出来ない事があった。


「でも、どうやって……アナタは無色の魔力クリスタルのせいで、これまで散々苦しめられてきたハズよ。なのになぜ……なぜ心が闇に染まらなかったの!」


 大きく叫んだレイに、ノーティスは必殺剣の構えのまま凛とした瞳で答える。


「……レイ、言っただろ。俺の心には大切な人達が宿ってるって」

「くっ……何よ偉そうに……そんな事認めないわ! これで終わりよ! 『ディケオ・フレアニクス』!!」


 ノーティスに向かい、巨大なエネルギーで作られた不死鳥が襲いかかる。

 けれどノーティスはその不死鳥を真正面から見据え、より白輝の煌めきを輝かせた。


「レイ……だからこそ俺はこの技でキミに答える。全ての絶望を斬り裂く、数多の流星の斬撃『メテオロン・フォーススラッシュ』!!」


 ノーティスが剣を振り抜いた瞬間、まるで流星群のような輝きを放つ数多の光の斬撃が、レイの放った不死鳥に飛び向かっていく。

 

 神々しく輝くレイの不死鳥と、闇を切り裂くようなノーティスの流星。

 それはまさに、レイとノーティスの魂その物のようだ。


「ハァァァァッ!」

「オォォォォッ!」


 その両者は空中でぶつかると、カッ!! とした眩い閃光が走り辺りを白く激しく照らす。

 そして、レイの不死鳥は空中で斬り刻まれ、虚空へバシュッ!!と、激しく消し飛んだ。


 それにより起こった凄まじい衝撃波と斬撃が、一気にレイに襲いかかる。


「キャーーーーーーーーーーーーーっ!!」


 レイは大きく吹き飛ばされ背中から地面にドシャッ! と、倒れると、悔しそうに顔をしかめながら上半身を起こし跪いた。

 傷付いた体に片手を添えたまま。


「くっ……そんな。私の不死鳥が破られるなんて……! しかも今の光と技は、間違いなく私が愛してるあの人の……」


 悔しく嘆きを零しながら戸惑うレイに、ノーティスがゆっくりと近づいてくる。


───ううっ、このままじゃ、やられる……


 レイが悔しさでその瞳に涙を滲ませた時だった。

 試験場のドアがバンッと勢いよく開かれ、そこからレイに駆け寄ってくる男がいた。

 それは何と、あのエミリオだ。


 エミリオは傷付き跪いているレイの側に駆け寄ると、レイの両方に手を乗せ心から心配している顔で見下ろす。


「姉さん! 大丈夫?!」

「エ、エミリオ……アナタなぜ……」


 少し呆然とした顔で問いかけると、エミリオはレイの前に背中を向けてザッ! と立ち、ノーティスに向かい両手を大きく広げた。


「姉さんはボクが守る! ノーティス、お前なんかに姉さんは殺させない!!」


 レイを倒したノーティスの力に恐怖しながらも、それよりも遥かに強い気持ちでレイを守る為、エミリオはその身を盾にして立ち塞がる。


 すると、エミリオに遅れ、なんとルミも入口から勢いよくタタッと駆け込んできた。

 そして息をハアハア切らせて駆け寄ると、ノーティスの事を不安そうに見つめる。


「ノーティス様っ、ご無事ですか! さっきの爆発音が気になってしまって……!」


 ルミから心配されるノーティスだが、ノーティスはその瞬間ニヤリと笑った。


「フッ、ルミ。何も心配する事はない。今からこの女にトドメを刺すだけだからな」

「ノ、ノーティス樣……?」


 ルミは思わずギョッとして見つめた。

 邪悪な笑みを浮かべ、エミリオとレイを見下ろすノーティスの横顔を……

一体ノーティスに何があったのか?

次話はかなりレアな回になります。

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