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ゼロの輝き─無魔力追放からの反逆  作者: ジュン・ガリアーノ
第2章 波乱のギルド検定試験
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cys:25 青薔薇の断罪魔法

「フフッ♪ アナタ、力の差も分からないの?」


 妖しく微笑むレイ。

 ノーティスは、そんなレイを見据えたまま、少し体を捻り腰に下げてる剣の柄を握った。


「違うよレイ。キミがその力で、俺にどんな絶望を与えようとしているのかは分からないけど、たった一度や二度の絶望で俺の光は消せやしない」

「言うわね……でもゾクゾクするわ♪ そんなアナタを、美しい絶望に染めれるんだから」


 レイはニヤッと笑みを零した。

 その笑みは王宮魔道士としての絶対的な自信と、ノーティスへの侮蔑に満ちている。


 けれどノーティスはレイを真っ直ぐ見つめ、腰に下げてる剣を鞘からスッと抜き、その剣先をレイに向けた。


「俺の光は俺だけのモノじゃない。俺をここまで支えてくれた師匠や、みんなの力が心に宿って出来ている。だからレイ、消せないぜ。心が憎しみで支配されてるキミには……!」


 ノーティスから精悍な瞳でそう言われたレイは、静かに睨み怒りを滾らせていく。

 自分を前にしても、全く怯む事の無いノーティスの態度が気に食わないのだ。


「……美しくない上に、本当に生意気ね」


 レイは静かにそう零すと、片手をスッと天に掲げた。

 そして、その手のひらの上に大きな灼熱の玉を一瞬で作り出すと、ノーティスをキッと睨む。


「もういいわ、ノーティス。消えて無くなりなさい!この灼熱魔法『スフィア・インフェルノ』で!!」


 灼熱の玉から無数の炎の玉がノーティス目がけてドドドッ! と、勢いよく放たれた。

 その瞬間ノーティスは剣を両手で構え、襲い掛かってくる無数の炎の玉を冷静に見据える。


「ハァァァァッ!」


 ザシュザシュザシュ!!


 凄まじい剣速で炎の玉を全て一瞬で切り散らしたノーティスは、剣にまとわり付いた炎ビュッと消すと、レイを精悍な眼差しで見据えた。


「レイ、これかキミの言う絶望か? だったら俺には全く届かないぜ」

「なっ?!」


 スフィア・インフェルノを難なくいなされたレイは驚き目を見開くと、苛立ちにギリッと顔をしかめノーティスを睨む。


「本当に生意気ね……! そうだ。まずアナタの生意気なお口を黙らすべきだったわ♪」


 レイはそう言ってニヤッと笑みを浮かべると、さっきとは逆の手を天に掲げた。

 すると、ノーティスの周りを一瞬にして凍気が覆い尽くしていく。


「こ、これは……?!」


 驚き不安な表情を浮かべ周りを覆う凍気を見渡すノーティスを見て、レイはニヤッと笑った。


「フフッ♪ 私の凍気の中で永遠に沈黙しなさい。さよなら『フリージング・シスタ』!!」


 レイが技を放った瞬間、ノーティスの周りを覆っていた凍気が一気にノーティスに迫り、ノーティスの全身をピキピキピキッと凍りつかせていく。


「くっ! 身体が凍りついて……」


 ノーティスは叫びを上げる間もなく、全身を凍りつかされてしまった。

 それを見て、ニッと笑みを浮かべるレイ。


「やっぱりこんなモノね。スフィア・インフェルノを防いだ時は驚いたけど、無色のクリスタルのアナタにはアレが精一杯……フフッ♪」


 完全に勝ちを確信したレイ。

 だが次の瞬間、ノーティスを凍りつかせている氷がピシピシピシッと音を立て、ヒビ割れ始めた。


「えっ?」


 レイがハッとした瞬間、ノーティスを覆っていた氷は完全に裂け、バンッ! と、強く弾け飛んだ。


「うっ……!」


 レイは吹き飛んできた氷の欠片を思わず片腕で防ぎ、そのまま目を凝らす。

 すると、何とそこにはノーティスが平然とした顔で自分を見つめている姿が。


「ウソっ?! 私のフリージング・シスタからどうやって……!」


 自分の技を二度も破られ動揺するレイを、ノーティスは精悍な瞳で捉える。


「凍らされる瞬間に体内に闘気を溜め込んでおいて、それを爆発させただけさ。師匠から教わった、氷の技を防ぐ基本さ」


 そう告げられたレイは、一瞬うつむきフフッと声を零すと、ノーティスに挑戦的な眼差しを向けた。


「どうやらエミリオの言ってた事は、あながち間違ってはないみたいね。少しはやるじゃない♪」


 レイは一瞬ノーティスを認めた様な雰囲気を醸し出したが、そうしてしまった事を否定するかのようにハッとすると、すぐに凍てつくような眼差しに変えた。


「でも、私は認めない。多少強くても、学校を中退させられた無色の魔力クリスタルの落ちこぼれに、誇り高きクロスフォード家が屈するなどあってはならないの! 強さこそ美しさ。そして、美しさこそ正義よ!」


 レイはそう言い放つと、ノーティスを見据えたまま片手を天に掲げ詠唱を行なう。

 今度は本気だ。

 力を最大限に発揮し、ノーティスを確実に葬り去る為に。


「美を司る女神アフロディーテの名の元に、美しく煌めきなさい! 私のクリスタルよ!!」


 その詠唱と共に、レイの全身からパープルブルーの凄まじい闘気の衝撃波がブワッ! と放たれ周囲に広がる。

 ノーティスは思わず片手を上げ、顔の下半分を覆った。


「くっ……これが王宮魔導士、Sランクの本気の力か」

「フフッ♪ ノーティス。私を本気にさせた事は褒めてあげるわ」


 レイは、再び剣を構えたノーティスに向かいニヤッと微笑む。

 圧倒的な自信に満ちた顔で、全身から気高く鮮やかなパープルブルーの煌めきを立ち昇らせながら。


「けど、今度こそ本当に分からせてあげる。無色の魔力クリスタルのアナタがいくら努力しても、決して辿り着けない領域があるの」

「……果たしてそうかな」


 尚も瞳の光を失わず、レイを見つめるノーティス。

 レイはそんなノーティスを、今から確実に葬る覚悟を宿して瞳で見下ろしてきた。


「その減らず口も、今黙らせてあげる。あの子が……エミリオが味わった絶望でアナタの精神(こころ)を壊してね!」

「なんだと?」


 ノーティスが声を漏らすと、レイはそのスラッとしたセクシーな足を交叉させ両手を前にかざすと、サッと横に両腕を振った。

 すると、ノーティスの辺り一面をクリスタルで出来た無数の青い薔薇が覆っていく。


「こ、これは……?!」


 その光景に戸惑いながらその薔薇を見渡すノーティスに、レイは妖しげな笑みを向ける。


「ノーティス。私、常に美しいモノを愛してるの。それは精神(こころ)も同じ。だから私、精神(こころ)の病を治療する仕事もしてるの」

「カウンセラーか?」

「フフッ♪ まあ、そんなとこね。だから分かるでしょ。逆に言えば壊す事も出来るの」


 ノーティスはその言葉を聞いている内に、レイの姿が何重にもブレて見えてきた。


「くっ……なんだこれは?! 視界が、霞んでいく……」


 片手で目を擦りながら苦しむノーティスに向かい、レイは怪しい高揚感をクリスタルの煌めきと共に溢れさせる。


「ノーティス、この薔薇からはもう逃げられないわよ。今からアナタの精神(こころ)を壊してあげる。私の断罪魔法で!」

「なっ……!」


 ノーティスがそう零した瞬間、レイは両手をバッと大きく天に掲げ大きく胸を張った。


「喰らいなさい! 青薔薇の断罪『エファルティス・コーディネーション』!!」


 無数のクリスタルの青薔薇がノーティスに向かい、一斉に襲い掛かった。

 レイの術中にハマっているノーティスは、目も霞んでいるのでそれを迎撃する事が出来ない。


「うっ……うわぁぁぁぁぁっ!」


 その薔薇に襲われたノーティスは、夢、いや完全なる悪夢の世界に堕とされた……

悪夢の世界で、ノーティスは何を見るのか……

次話は悲しみを超えたノーティスに、レイの歪んだ怒りが炸裂します。

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― 新着の感想 ―
[一言] でもさ、最初の場面で、絶望を一度味わっているんだし、それ以上の絶望なんてものは、殆ど無いと思うんだよね…。 という事は、こいつは絶望した事無いんでしょうね。まぁ、この魔法が解かれたら、絶望…
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