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ゼロの輝き─無魔力追放からの反逆  作者: ジュン・ガリアーノ
第10章 激闘と覚醒! 教皇の間
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cys:213 愛と誓い

「マズいニャっ!」


 アンリは、メティアを守る為に防御壁を張ろうとした。

 が、間に合わない。

 漆黒のエネルギー弾が、アンリ目掛けて飛び向かってくる。

 けれど、それがぶつかる事は無かった。


「貫いてっ! 『桜華滅心』!!」


 その咆哮と共に放たれたアネーシャの桜色の閃光が、クルフォスの漆黒のエネルギー弾をバシュッ! と、消し飛ばしたからだ。

 それに目を大きく見開いたアンリ。


「な、なんとっ! お主さすがだニャ!」

「フフッ、あのぐらいなら斬り裂けるわ」

「先ほどにも増しての威力じゃの。それに、今の輝きはまるで……」


 思考を巡らせ見つめてくるアンリに、アネーシャは軽く微笑んだ。


「後で話すわ。ただ、覚えておいて。少なくとも今は貴女達の敵じゃないから」

「それは分かっておるニャ。しかし、分からんもんじゃの♪」

「えぇ、まさか貴女達と一緒に戰う事になるなんてね」


 アネーシャはそう告げると、サッとクルフォスを見据えた。

 凛とした瞳に宿る光が、キラリと輝く。


 そんな中、ノーティスはレイの後ろに近寄ると、レイの事を静かに呼びかけた。


「レイ、ありがとう。でも、もういいんだ」


 けれど、レイは振り向かない。

 アルカナートに両手の平を向けて苦しそうに顔をしかめたまま、絶対零度の闘気を放っている。


「くっ……そんな訳にはいかないわ。アルカナートは私が……!」


 そう告げてきたレイの肩を、ノーティスは後ろから片手でそっと掴んだ。


「レイ、これ以上はキミがもたない」

「ノーティス……」


 スッと振り向いたレイの瞳は、軽く涙で滲んでいる。

 体への反動は勿論だが、それ以上に心が辛いのだ。

 大好きなアルカナートに、こんな形で向き合わなければならない事が。

 それがノーティスの心に沁みてくる。


「後は俺に任せろ。師匠は、俺が元に戻してみせる……!」


 ノーティスがそう告げた瞬間、レイは技を解くとガクッとよろめいた。


「あっ……」


 体への負担と安堵から、思わず力が抜けてしまったからだ。

 ノーティスはそんなレイをサッと抱きかかえると、腕の中で優しく見つめる。


「キミの想いは、俺が師匠に届けてみせるよ」

「もうっ……約束だからね」

「あぁ、約束する」


 そう告げ微笑んだノーティスはレイから手を離し、アルカナートを澄んだ瞳で見据えた。

 その瞳にレイとの約束と誓いを宿して。


「師匠っ! 禁忌の術だか知りませんが、そんな物に負けるアナタではないでしょう。もう、いい加減目を醒まして下さい!」


 そう言い放ったノーティスの事を、アルカナートは悪鬼のような漆黒の瞳で見据えている。

 最愛の弟子であるノーティスの事を、敵としか認識していない眼差しだ。

 そんな中、レイが背中から悲壮な顔で訴えてきた。


「ノーティス! あの術は、心の中の大切に想ってる人を殺さなければいけないの……」

「殺す? 大切な人を?」


 謎めいた顔でハッと振り返ったノーティスに、レイは切なく話を続けていく。


「あの人の心の扉は、その大切な人に塞がれてるの。ナターシャっていう、死に別れた……彼が愛する人に……!」

「なんだって……!」


 ノーティスが驚愕に目を見開く中、それを告げたレイは悔しそうに軽くうつむいている。

 今のを口にするのも嫌だったし、何より本当はレイ自身でアルカナートの目を醒まさせたかったのだ。

 ナターシャに負けたくないから。


───でも、私は結局……


 悲しさと悔しさに震えるレイ。

 ノーティスはそんなレイを見つめながら、優しく微笑んだ。


「レイ、だったら尚の事取り戻さなきゃな。師匠を抱きしめる事が出来るのは、ナターシャって(ひと)じゃない。今生きているキミなんだから」


 その瞬間、レイの瞳に映ったノーティスの微笑みが涙で滲む。


「ノーティス……! もうっ、全くアナタは……」 


 そう告げたレイは、瞳を潤ませながら思っている。


───ノーティス、やっぱりアナタがあの人の一番の弟子よ。そっくりだもん……


 心でそう零すレイを背に、ノーティスは再びアルカナートに真剣な眼差しで向き合った。

 剣を握る左手にギュッと力がこもる。


「師匠、昔俺が無色の魔力クリスタルのせいで蔑まれていた時、アナタが救ってくれて強くしてくれた事、俺は……忘れた事がありません」


 ノーティスは、フェクターから救ってくれたあの日の光景を脳裏に蘇らせながら話を続けていく。


「その後、勇者として戦ってこれたのも、師匠が俺を強くしてくれたお陰です」


 そう話していくノーティスだが、アルカナートの表情は変わらない。

 それが、ノーティスの胸をグッと辛くさせる。

 

「くっ、師匠……俺がアナタから授かったのは技だけじゃありません。白輝(びゃっき)の魔力クリスタルとアナタの魂です!」


 そう言い放ったノーティスは、剣を両手で持ち右斜め上にジャキッと構えた。


「だからこそ俺は、アナタから授かった全てをぶつけてアナタの目を醒ましてみせます!」


 その誓いと共に輝いてゆく。

 ノーティスの白輝の魔力クリスタルが。


「煌け俺のクリスタルよ! 師匠の闇を斬り裂く為に! ハァァァァッ……!」

 

 白輝の魔力クリスタルから溢れ出す煌めきを、全身に纏っていくノーティス。

 その姿をレイやメティア達も瞳を輝かせながら見つめているが、クルフォスは一人ギリッと歯を食いしばった。

 ノーティスの決意から湧き上がってくる力に、只ならぬ物を感じたからだ。


「おのれノーティス……! 貴様の好きにはさせんっ!」


 クルフォスはノーティスの方を睨みながら、片手の平の中に漆黒のエネルギーをバチバチバチッ……! と、滾らせてゆく。

 だが、そんなクルフォスに向かい、アネーシャがビュッと剣を突き立てた。


「クルフォス! 貴方の相手はこの私よっ!」


 アネーシャの全身からは、強い戦闘力と凛としたオーラが立ち昇っている。


「ぬうっ……!」


 イラッと顔をしかめ睨んできたクルフォスに、アネーシャは軽く不遜な笑みを浮かべた。


「フフッ、二人の邪魔するなんて野暮な人ね♪」

「なんだと……」

「アハッ♪ それとも妬いてるの? 相手にしてもらえなくて」

「貴様っ……!」


 怒りを滾らすクルフォスを、アネーシャはさらに嘲笑う。


「あっ、図星なんだーーっ♪ かわいそう。仮にも教皇なのに。アハハハッ♪」

「許さんっ……」


 教皇がギロッと睨みつけると、アネーシャはノーティスの方へサッと振り向いた。

 綺麗な髪がサラッと靡く。


「ノーティス! クルフォスは私が相手するわ! だから貴方はアルカナートを必ず元に戻して!」


 その決意に満ちた声援を受けたノーティスは、アネーシャを一瞬チラッと見て軽く微笑んだ。


「アネーシャ、ありがとう! キミのお陰でもうすぐ味方が増えるよ……師匠っていう、最強の味方がさ!」

「フフッ、楽しみにしてるわ。早く連れてきてね♪」


 そう告げてきたアネーシャにコクンと頷くと、ノーティスはよりアルカナートを真っ直ぐ見据えた。

 瞳の光がキラリと光る。


 そんなノーティスに、ルミが横からそっと近づいてきた。


「ノーティス様、どうかご武運を」

「ルミ、ありがとう」


 アルカナートを見据えたままそう言ったノーティスからは、ルミがかつて見た事が無いほどの精悍なオーラが立ち昇っている。


───ノーティス様、きっとこの戦いは誰にも邪魔されたくないですよね。でも私は……


 ルミは自分の心を振り返ると、ノーティスの背中に両手を添えながら顔をそっと埋めた。


「必ず、無事に戻ってきてください……」


 そう零すと同時に、ルミの両手の平からバァァァッ……と、強く優しい光が注がれてゆく。

 これは、ルミのクナーティアとしての力の一部だ。


「ごめんなさい、ノーティス様。勝手にしてしまいました。でも、私、どうしても……」


 ルミのギュッと閉じた瞳から涙が滲む。

 分かっているから。

 一部とはいえ、勝手にクナーティアとしての力を注ぎノーティスの力を増幅させる事は、二人の戦いに水を差す事だと。

 でも、それでもルミは死んでほしくないのだ。

 大好きなノーティスに。


 そんなルミの気持ちを背中から感じているノーティスは、アルカナートを見据えたまま静かに告げる。


「ルミ、後で一緒に飲もう」

「えっ?」

「いつもの、あの紅茶をさ。頼んだぜ」


 そう告げられたルミは、ノーティスの背中に顔を埋め涙を滲ませながらニコッと微笑んだ。

 その全身からは、クナーティアとしてではなくアステリア・ルミとしてノーティスを想う愛が溢れ出している。


「……はいっ! 私は、ノーティス様の執事ですから♪」


 ルミがそう言った時、ノーティスは全身の煌めきをよりバババッ! と、強く爆ぜさせた。


「師匠! エデン・ノーティス、参りますっ!!」

愛と誓いを胸に、ノーティスは最強の師弟対決の幕を開けた……!


遂にここから!

まだの方はブクマお願いしますっ\(^^ )

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