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ゼロの輝き─無魔力追放からの反逆  作者: ジュン・ガリアーノ
第10章 激闘と覚醒! 教皇の間
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cys:212 歓喜の涙と漆黒の瞳

「なっ、エデン・ノーティス! なぜここに……貴様はクリザリッドにやられたハズでは……!」


 クルフォスはギリッと顔をしかめた。

 ノーティスの強さは知っていたが、クリザリッドの力に敵うハズはないと思っているからだ。

 そんなクルフォスを、ノーティスは澄んだ瞳で見つめている。


「俺がここにいるって事は、そういう事だ、クルフォス」

「貴様っ……どうやってクリザリッドを……!」

「フッ、俺だけの力じゃないさ」


 ノーティスがそう言った時、後からアネーシャとルミが現れた。


「フフッ、そういう事よ♪」

「クルフォス、もう貴方の好きにはさせませんっ!」


 颯爽と現れそう告げた二人からは、ノーティスと同じく凛とした雰囲気が立ち昇っている。

 そんな三人に向かい、レイ達は嬉しさに目を大きく見開いた。


「ノーティス! アネーシャ! それにルミ、アナタ……!」


 レイは本当に驚きながら、特にルミを見つめている。

 信じられなかったのだ。

 さっきルミが自分達の前で自ら胸を短剣で突き、命を絶ったのを目の当たりにしていたから。

 それは当然、他の皆も同じだ。


「ルミ、キミは確かにあの時……」

「お主、一体どうやって……!」


 流石のロウもアンリも、驚愕に目を見開いたまま固まっている。

 だがそんな中、メティアは瞳をうるうるさせてルミにサッと抱きついた。


「ルミさーーーーーーーーーーーーんっ!!!」

「メティア……♪」


 ルミに優しく抱きしめられながら、メティアは瞳から涙をボロボロ零している。

 メティアにとっては、何でなのかなんて、どーだっていい。


「うわーーーーーーーんっ!! 嬉しいよーーーーーーーー!!!」


 大声を上げながら泣きじゃくるメティア。

 ルミが生きていた事が、嬉しくて堪らないのだ。 

 そんなメティアを、ルミは優しく見つめている。


「ごめんね、メティア。心配かけちゃって」

「うーーーーーーーーーっ、いいんだよっ!!」

「ありがとうメティア」


 ルミがそう言って微笑むと、ノーティスがメティアにハンカチをそっと差し出した。

 かつて、二人を繋いだあのハンカチだ。


「メティア、とりあえず涙拭いて」

「ううっ、ノーティス……」


 メティアは涙でグシャグシャの顔を向けて受け取ると、思いっきり涙を拭いた。


「ごめんノーティス、またグシャグシャにしちゃった……♪」

「ハハッ、気にするなよ。メティアが勝手に俺の甘い物を取るぐらい、いつもの事だ」

「もうっ♪ 何を言うのさっ。でも、どうやって……」


 メティアがようやくそれを気にすると、アンリもノーティスに謎めいた顔を向けてきた。


「その通りニャ。ルミが復活したのは嬉しいが、一体どうやって……」


 そんな二人に向かい、ノーティスは軽く微笑んだ。


「本当は今話したいけど、まずは……」


 そこまで言って、ノーティスは二人にスッと背を向け見つめた。

 悪鬼のような瞳でこちらを見据えてきている、アルカナートの事を。


「師匠っ!」


 ノーティスは真っ直ぐ見つめながら大きく声をぶつけたが、アルカナートの表情は変わらない。

 無論、再会を懐かしむような雰囲気など皆無だ。

 また、アルカナートに異変が起ってる事は分かっている。

 けれどノーティスは、胸を張ったまま身を乗り出した。


「俺が分からないですか! 貴方に育ててもらった、エデン・ノーティスです!!」


 しかし、やはり何の変化も無い。


「くっ……師匠……!」


 悔しそうにグッと拳に力を込めるノーティスの事を、メティアが切なそうに見上げてきた。


「ノーティス、残念だけどボクらの声は届かないよ……」

「どういう事だ、メティア」

「それは……」


 メティアは言いにくそうに、軽く瞳を伏せている。

 言いづらいのだ。

 ノーティスが誰よりも尊敬する師匠であるアルカナートが、クルフォスの術にかけられている事を。


 そんな中、ロウが後からノーティスの肩を片手でスッと掴んできた。


「ノーティス、先生はクルフォスの禁忌の術にかけられているんだ」

「禁忌の術?」

「ロウっ!」


 メティアが悲壮な顔で見つめてきたが、ロウは話を続けてゆく。


「メティア、気持ちは分かるが隠しても何もならない」

「うん、だけど……」


 悲しそうに零すメティアを、ノーティスは優しく見つめた。


「メティアはやっぱり優しいな」

「ノーティス……」

「けど、ロウの言う通り知らなきゃ何も始まらないし、俺は師匠をあのままにしておくつもりはない」


 メティアを見つめるノーティスの瞳が、凛とした光に揺れる。


「うん……そうだよね。ごめんノーティス。それにロウも、ごめん……」

「気にするなメティア。ノーティスが言うように、キミの優しさがそうさせただけの事」

「そうだよメティア。ロウの言う通りだ」


 そう告げたノーティスの側で、ルミとアネーシャもザッと前に出てきた。


「そうですよ、メティアさん♪」

「フフッ、その通りよ♪」

「ルミさん、アネーシャ……」


 すまなそうな顔を向けるメティアを、二人とも優しく見つめている。


 が、そんな最中、ノーティスはハッと振り向きレイの前に飛び出すと、剣を両手でサッと左斜め上に構えた。

 アルカナートがレイに向かい、剣を振り下ろしてきたからだ。


 ガキイィィィン!! と、いう空を裂くような金属音が周囲に響き渡り、アルカナートはそのままググッと力を込めてきた。


「くっ……し、師匠っ……!」


 ノーティスは、ギリッと歯を食いしばり顔をしかめながらその剣を受け止めている。

 その側で、レイはノーティスをハッとした顔で見つめた。


「ノーティス……!」

「レイ、早く離れるんだ! キミに傷を負わせる訳にはいかない!」


 そんな中、アルカナートは悪鬼の様な瞳で無表情のままギリギリッ……! と、剣を押している。

 けれど、ノーティスはそんなアルカナートに向かい合いながらメティアに叫ぶ。


「メティア! 今の内にジークを回復させてあげてくれ!」

「で、でも……」

「いいから早く! まだ生きてるし今しかないっ!」


 ノーティスの叫びにメティアは一瞬ためらった。

 ジークを助けたいけど、ノーティスもピンチに陥ってるからだ。


───どうしたら……


 メティアが心でそう零した時、レイはサッとそこから離れ、アルカナートに向かい両手の平をバッと向けた。


「アルカナート! こっちよっ!」


 レイの両手の平の中に、氷の魔力がサァァァァァッ……! と、集約されてゆく。

 王宮魔道士であるレイだけが使える、絶対零度の凍気が。


 それを感じたアルカナートはバチンッ! と、剣を弾かせノーティスから少し離れると、レイを悪鬼のような瞳で見据えてきた。


「チッ……」


 けれど、レイは動じない。

 決意の宿る瞳を切なく、そして美しく輝かす。


「ノーティスは殺させないわ。例え……アナタであっても!」


 その切ない叫びと共に、レイは集約されたその凍気を放つ。


「アナタの狂気は私が止めるっ! 『アブソリュート・ミーデン』!!」


 レイから放たれた絶対零度の闘気が、アルカナートに氷の大河のように襲いかかる。

 この凍気を喰らったら並の冒険者はもちろん、Sランクであっても凍りつくレベルだ。


「ハァァァァッ……!!」

「フンッ……!」


 しかし、アルカナートは剣先を片手で前に突き立て、そこから魔力を放ちながら防いでいる。

 無論、全く表情を変えずにだ。

 むしろ、レイの方が体にかかる反動に顔をしかめている。


「うっ……そんなっ……これでも、アナタには通じないの……!」


 レイが苦しそうに耐える姿を見たメティアは、ジークにサッと駆け寄り両手を翳した。

 もちろんレイの事も心配だが、これ以上ここで迷う事は許されないと悟ったから。


「ジーク、待っててね。今治すから! 『アーク・レフェクティー』!!」


 これはセイラも使っていた、最上級の回復魔法。

 癒やしの光がジークにパァァァァッ……! と、注がれてゆく。


───ジーク、早く目を醒まして。ノーティスが来てくれたよ……!


 それを目の当たりにしたクルフォスは、メティアをギロッと見下ろした。

 そしてそのまま、闇の力を片手の平の中にバチバチバチッ……! と、滾らせてゆく。


「させぬっ! 喰らうがいいメティアよ!」


 クルフォスから放たれた漆黒のエネルギー弾が、メティアに向かい襲いかかった。

クルフォスの闇がメティアを襲う。だが、激闘はまだ始まったばかり……

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