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ゼロの輝き─無魔力追放からの反逆  作者: ジュン・ガリアーノ
第10章 激闘と覚醒! 教皇の間
213/251

cys:211 レイ達の怒りと勇者の到着

予告通り今日から再開します!

───時は戻り現代へ───



「クックックッ……これが、アルカナートとナターシャの過去だ」


 全てを語ったクルフォスは、邪悪な笑みを浮かべて嗤っている。

 あまりの話に、驚きと怒りで震えるレイ達の前で。


「故に、奴が我が禁呪の呪縛から解き放たれる事は無い。アルカナートは、ナターシャを愛しているのだからな」


 そう告げられる中、レイとロウは思い返していた。

 かつて、ナターシャと一度出会った時の事を。


「そうだわ! そう、ナターシャって、あの時の……」

「あぁ、僕らがまだ王宮魔導士になる前に出会った(ひと)だ……」

「そうね……凄く綺麗な人だったわ。それに、あの後に騒ぎがあったのも覚えてる。でも、だからアルカナート(あのひと)はその後……」

「そうだね。ナターシャの意志を貫く為に先生は第三都市ホラムが出来るまで戦って、その後は剣を置いたのか……」


 二人の胸に切ない想いが去来する。

 自分達が敬愛する師匠アルカナートが、どれだけの想いで戦ってきたのかが、胸にヒシヒシと伝わってきたからだ。

 また、直接の弟子ではないアンリとメティアも、切なく軽く瞳を伏している。


「まさか、あの伝説の勇者にそんな過去があったとはの……」

「うぅっ……ノーティスのお師匠様にそんな過去が……」

「それに、シルフィードも哀しい運命(さだめ)の男よの」

「うん……もし、セイラさんと最初からもっと一緒にいられたら……でもっ……!」


 メティアはそこまで零すと、クルフォスをキッと睨みつけた。

 その瞳には哀しき怒りが宿っている。


「クルフォス! そこまで分かってて、アルカナートにそんな残酷な技をかけるなんて許せないよっ!」

「そうよ! メティアの言う通りだわ! クルフォス、私はアナタを絶対許さないからっ!」

「僕も同じだ。先生の想いを利用し弄ぶ貴方を、決して許しはしない……!」


 レイ達が怒りを滾らす中、アンリはスッと前に出てクルフォスを見上げた。


「クルフォスよ、お主後悔はしていないのか。ナターシャはお主の娘であろうに……」

「後悔だと?」

「そうじゃ。本当は救いたかったのではないか? かつて、お主が愛した人を幸せに出来なかった分まで」

「アンリよ、貴様何を言っている」

「誤魔化すでないクルフォスよ。それに、もし私の考えが正しければ、ナターシャの娘というのは恐らく……」


 アンリがそこまで話した時、クルフォスは怒りに目を見開くと、腕をバッ! と、横薙ぎに振り抜き漆黒のエネルギー弾を放った。


「黙れっ!」


 クルフォスの怒声と共に、そのエネルギー弾がアンリを襲う。

 だがその瞬間、メティアがアンリの前に背を向けサッと立ち憚った。


「させないよっ! 『クリスタル・アミナ』っ!!」


 ドオォォォォン! と、いう音と共にエネルギー弾が霧散していく。


「メティア、すまんニャ」

「いいんだよアンリ。みんなを守るのはボクの役目だし、さっきみたいになってほしくないから」


 メティアがそう言う中、クルフォスはギリッと顔をしかめた。


「おのれメティア……!」

「クルフォス、さっき言ったハズだよ。ボクがいる限り、みんなの事は傷つけさせない。この『ホーリィ・アーク』の力で守ってみせる!」


 凛とした佇まいで、クルフォスを見据えているメティア。

 その全身からは、先程目覚めた聖魔法を超えた魔力が立ち昇っている。

 クルフォスはその姿を見据えながら、クククッ……と、邪悪な笑みを浮かべた。


「そうであったなメティア。だが、忘れている訳ではなかろう。例え我が闇の力が通じずとも、こちらには最強の戦士がいる事を……」

「くっ……!」


 クルフォスが言った最強の戦士とは、もちろん、アルカナートの事だ。

 教皇であるクルフォスのみが使える禁呪『ソウル・フィラキス』により、精神を支配されているアルカナート。

 この禁呪を破るには、その人が心の中で最も大切に想っている相手を、心の中で殺さなければならない。

 そして、殺せば覚醒める代わりに、その相手を二度と思い出す事が出来なくなるのだ。


「メティアよ、大人しく殺されるがいい。相手の意識を完全に封じ、命令に絶対に従わせるこの『ソウル・フィラキス』にかかっているアルカナートによってな」


 クルフォスがそう告げてくる中、メティアはアルカナートに向かい身を乗り出した。


「アルカナート、目を醒ましてっ! レイもロウも、それに……ノーティスだって、貴方のそんな姿見たくないハズだよっ!」


 メティアの切ない叫びが広間に広がり、それがレイ達の心をギュッと締め付ける。

 まさに、自分達が思っている事その物だから。


「メティア、ありがとう……その通りよっ! 目を醒ましてアルカナート!」

「そうですよ先生っ! お願いですから目を醒ましてくださいっ! 先生なら、きっと……!」


 レイとロウも切なく訴えるが、アルカナートの表情は変わらない。

 皆が知る艶のある涼し気な瞳ではなく、悪魔のような瞳で見据えたままだ。

 クルフォスはそんなレイ達に告げる。


「ムダだお前達、まだ分からないのか。いくら叫ぼうが、アルカナートの呪縛は解けぬ」

「くっ……だが、なぜ先生程のお方が」


 ロウは悔しそうに顔をしかめた。

 いくら相手がクルフォスだからとはいえ、最強であるアルカナートが禁忌の術にかけられた事が納得できないのだ。

 そんなロウを見据えるクルフォスは、ニヤリと口角を上げた。


「クックックッ……簡単な話だ。戦いの隙をついたのよ」

「なんだって?!」

「どういう事よっ!」


 ロウとレイが身を乗り出す中、クルフォスはニヤリと笑みを浮かべたまま告げる。


「コイツは、お前やノーティス達よりも早く気付いたのだ。あのお方達の存在と思惑にな」


 そう告げたクルフォスを、アンリはさっと見据えた。


「さすがアルカナートよの……それで、単身ここまで来たという事か」

「ほう、その通りだアンリ。さすがだな」

「ニャニャッ……そのついでに言わせてもらえば、恐らくその時、アルカナートの前に立ち憚ったのであろう。あのクリザリッドの奴めがの。恐らく、隙をついたのはその時ニャ」


 アンリの推測に、クルフォスは思わず軽く息を飲んだ。

 まるで、見てきたように正確に言い当てられたから。 


「アンリ……やはり貴様はアルカナートと同様、危険な奴だ」

「買い被りだニャ。少し考えれば分かるからの。その戦いの隙をついたのじゃろ」

「その通りだ。だが、どうであれお前達はもはや死ぬ運命(さだめ)。全てを知れた事に感謝し、死んでゆくがいい」


 クルフォスはそう言って再びニヤッと嗤うと、アルカナートの方にサッと顔を振り向けた。


「ゆけ、アルカナートよ! お前の手で、コイツらを葬るのだ!!」


 その号令によって、アルカナートの瞳がギラリと光り漆黒の輝きを放つ。

 そして、皆を見据えたままザッと足を踏み出したが、その時、ジークが足首をガシッと掴んだ。

 苦しそうに倒れたままで。


「ま……待てよ、先生……何をしようとしてるか……分かってるのかい……」


 その姿を見たレイは、思わずサッとしゃがみ再びジークを抱きかかえた。

 アルカナートを目覚めさせる為に全力を放ち、ボロボロになってしまっているジークの事を。


「ジークっ! ダメっ、離れなきゃ!」


 レイの美しい瞳に涙が滲む。

 だが、アルカナートは表情を変えず剣を片手でスッと上に掲げた。

 その瞳は、やはり悪鬼のように冷たく邪悪な色に染まっている。


「うぅっ……アルカナート……!」


 涙目で見上げるレイと、それを見下ろすアルカナート。

 二人の眼差しが交叉する中、クルフォスがさらに号令をかける。


「やれアルカナート! その剣で殺すのだ!」


 その号令を受け、アルカナートの剣先がギラリと光った時だった。


「レイには手を出させませんっ! 『バーン・メテオロンフォース』!!」


 その精悍な声と共に、数多の流星のような斬撃がアルカナートに凄まじい勢いで飛び向かってきた。

 だが、アルカナートもすぐに同じ技を放つ。

 その二つは空中でぶつかり、カッ!! と、いう大きな閃光と共に大きく爆ぜた。


「うっ!」「くっ!」「うわっ!」「ニャニャッ!」


 皆、片腕を顔の前に上げそれを防いだ。

 けれど、その閃光が消えすぐに振り向くと、皆の瞳に映った。


「師匠、何やってるんですか……そんな目、似合いませんよ」


 そう告げ澄んだ瞳でアルカナートを見つめる、スマート・ミレニアム最強の勇者、エデン・ノーティスの姿が。

遂にノーティスが……師弟対決の幕が上がる!



皆様の応援のお陰で、第10章に突入する事が出来ました。

ここから、またよろしくお願いいたします(^^ゞ

面白いと思ってもらえたら、評価やブックマークして頂けると嬉しいです。

後感想、励みになるのでお気軽に下さいっ♪

聖闘士星矢っぽいよね。とかでもいいんで w

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