cys:211 レイ達の怒りと勇者の到着
予告通り今日から再開します!
───時は戻り現代へ───
「クックックッ……これが、アルカナートとナターシャの過去だ」
全てを語ったクルフォスは、邪悪な笑みを浮かべて嗤っている。
あまりの話に、驚きと怒りで震えるレイ達の前で。
「故に、奴が我が禁呪の呪縛から解き放たれる事は無い。アルカナートは、ナターシャを愛しているのだからな」
そう告げられる中、レイとロウは思い返していた。
かつて、ナターシャと一度出会った時の事を。
「そうだわ! そう、ナターシャって、あの時の……」
「あぁ、僕らがまだ王宮魔導士になる前に出会った女だ……」
「そうね……凄く綺麗な人だったわ。それに、あの後に騒ぎがあったのも覚えてる。でも、だからアルカナートはその後……」
「そうだね。ナターシャの意志を貫く為に先生は第三都市ホラムが出来るまで戦って、その後は剣を置いたのか……」
二人の胸に切ない想いが去来する。
自分達が敬愛する師匠アルカナートが、どれだけの想いで戦ってきたのかが、胸にヒシヒシと伝わってきたからだ。
また、直接の弟子ではないアンリとメティアも、切なく軽く瞳を伏している。
「まさか、あの伝説の勇者にそんな過去があったとはの……」
「うぅっ……ノーティスのお師匠様にそんな過去が……」
「それに、シルフィードも哀しい運命の男よの」
「うん……もし、セイラさんと最初からもっと一緒にいられたら……でもっ……!」
メティアはそこまで零すと、クルフォスをキッと睨みつけた。
その瞳には哀しき怒りが宿っている。
「クルフォス! そこまで分かってて、アルカナートにそんな残酷な技をかけるなんて許せないよっ!」
「そうよ! メティアの言う通りだわ! クルフォス、私はアナタを絶対許さないからっ!」
「僕も同じだ。先生の想いを利用し弄ぶ貴方を、決して許しはしない……!」
レイ達が怒りを滾らす中、アンリはスッと前に出てクルフォスを見上げた。
「クルフォスよ、お主後悔はしていないのか。ナターシャはお主の娘であろうに……」
「後悔だと?」
「そうじゃ。本当は救いたかったのではないか? かつて、お主が愛した人を幸せに出来なかった分まで」
「アンリよ、貴様何を言っている」
「誤魔化すでないクルフォスよ。それに、もし私の考えが正しければ、ナターシャの娘というのは恐らく……」
アンリがそこまで話した時、クルフォスは怒りに目を見開くと、腕をバッ! と、横薙ぎに振り抜き漆黒のエネルギー弾を放った。
「黙れっ!」
クルフォスの怒声と共に、そのエネルギー弾がアンリを襲う。
だがその瞬間、メティアがアンリの前に背を向けサッと立ち憚った。
「させないよっ! 『クリスタル・アミナ』っ!!」
ドオォォォォン! と、いう音と共にエネルギー弾が霧散していく。
「メティア、すまんニャ」
「いいんだよアンリ。みんなを守るのはボクの役目だし、さっきみたいになってほしくないから」
メティアがそう言う中、クルフォスはギリッと顔をしかめた。
「おのれメティア……!」
「クルフォス、さっき言ったハズだよ。ボクがいる限り、みんなの事は傷つけさせない。この『ホーリィ・アーク』の力で守ってみせる!」
凛とした佇まいで、クルフォスを見据えているメティア。
その全身からは、先程目覚めた聖魔法を超えた魔力が立ち昇っている。
クルフォスはその姿を見据えながら、クククッ……と、邪悪な笑みを浮かべた。
「そうであったなメティア。だが、忘れている訳ではなかろう。例え我が闇の力が通じずとも、こちらには最強の戦士がいる事を……」
「くっ……!」
クルフォスが言った最強の戦士とは、もちろん、アルカナートの事だ。
教皇であるクルフォスのみが使える禁呪『ソウル・フィラキス』により、精神を支配されているアルカナート。
この禁呪を破るには、その人が心の中で最も大切に想っている相手を、心の中で殺さなければならない。
そして、殺せば覚醒める代わりに、その相手を二度と思い出す事が出来なくなるのだ。
「メティアよ、大人しく殺されるがいい。相手の意識を完全に封じ、命令に絶対に従わせるこの『ソウル・フィラキス』にかかっているアルカナートによってな」
クルフォスがそう告げてくる中、メティアはアルカナートに向かい身を乗り出した。
「アルカナート、目を醒ましてっ! レイもロウも、それに……ノーティスだって、貴方のそんな姿見たくないハズだよっ!」
メティアの切ない叫びが広間に広がり、それがレイ達の心をギュッと締め付ける。
まさに、自分達が思っている事その物だから。
「メティア、ありがとう……その通りよっ! 目を醒ましてアルカナート!」
「そうですよ先生っ! お願いですから目を醒ましてくださいっ! 先生なら、きっと……!」
レイとロウも切なく訴えるが、アルカナートの表情は変わらない。
皆が知る艶のある涼し気な瞳ではなく、悪魔のような瞳で見据えたままだ。
クルフォスはそんなレイ達に告げる。
「ムダだお前達、まだ分からないのか。いくら叫ぼうが、アルカナートの呪縛は解けぬ」
「くっ……だが、なぜ先生程のお方が」
ロウは悔しそうに顔をしかめた。
いくら相手がクルフォスだからとはいえ、最強であるアルカナートが禁忌の術にかけられた事が納得できないのだ。
そんなロウを見据えるクルフォスは、ニヤリと口角を上げた。
「クックックッ……簡単な話だ。戦いの隙をついたのよ」
「なんだって?!」
「どういう事よっ!」
ロウとレイが身を乗り出す中、クルフォスはニヤリと笑みを浮かべたまま告げる。
「コイツは、お前やノーティス達よりも早く気付いたのだ。あのお方達の存在と思惑にな」
そう告げたクルフォスを、アンリはさっと見据えた。
「さすがアルカナートよの……それで、単身ここまで来たという事か」
「ほう、その通りだアンリ。さすがだな」
「ニャニャッ……そのついでに言わせてもらえば、恐らくその時、アルカナートの前に立ち憚ったのであろう。あのクリザリッドの奴めがの。恐らく、隙をついたのはその時ニャ」
アンリの推測に、クルフォスは思わず軽く息を飲んだ。
まるで、見てきたように正確に言い当てられたから。
「アンリ……やはり貴様はアルカナートと同様、危険な奴だ」
「買い被りだニャ。少し考えれば分かるからの。その戦いの隙をついたのじゃろ」
「その通りだ。だが、どうであれお前達はもはや死ぬ運命。全てを知れた事に感謝し、死んでゆくがいい」
クルフォスはそう言って再びニヤッと嗤うと、アルカナートの方にサッと顔を振り向けた。
「ゆけ、アルカナートよ! お前の手で、コイツらを葬るのだ!!」
その号令によって、アルカナートの瞳がギラリと光り漆黒の輝きを放つ。
そして、皆を見据えたままザッと足を踏み出したが、その時、ジークが足首をガシッと掴んだ。
苦しそうに倒れたままで。
「ま……待てよ、先生……何をしようとしてるか……分かってるのかい……」
その姿を見たレイは、思わずサッとしゃがみ再びジークを抱きかかえた。
アルカナートを目覚めさせる為に全力を放ち、ボロボロになってしまっているジークの事を。
「ジークっ! ダメっ、離れなきゃ!」
レイの美しい瞳に涙が滲む。
だが、アルカナートは表情を変えず剣を片手でスッと上に掲げた。
その瞳は、やはり悪鬼のように冷たく邪悪な色に染まっている。
「うぅっ……アルカナート……!」
涙目で見上げるレイと、それを見下ろすアルカナート。
二人の眼差しが交叉する中、クルフォスがさらに号令をかける。
「やれアルカナート! その剣で殺すのだ!」
その号令を受け、アルカナートの剣先がギラリと光った時だった。
「レイには手を出させませんっ! 『バーン・メテオロンフォース』!!」
その精悍な声と共に、数多の流星のような斬撃がアルカナートに凄まじい勢いで飛び向かってきた。
だが、アルカナートもすぐに同じ技を放つ。
その二つは空中でぶつかり、カッ!! と、いう大きな閃光と共に大きく爆ぜた。
「うっ!」「くっ!」「うわっ!」「ニャニャッ!」
皆、片腕を顔の前に上げそれを防いだ。
けれど、その閃光が消えすぐに振り向くと、皆の瞳に映った。
「師匠、何やってるんですか……そんな目、似合いませんよ」
そう告げ澄んだ瞳でアルカナートを見つめる、スマート・ミレニアム最強の勇者、エデン・ノーティスの姿が。
遂にノーティスが……師弟対決の幕が上がる!
皆様の応援のお陰で、第10章に突入する事が出来ました。
ここから、またよろしくお願いいたします(^^ゞ
面白いと思ってもらえたら、評価やブックマークして頂けると嬉しいです。
後感想、励みになるのでお気軽に下さいっ♪
聖闘士星矢っぽいよね。とかでもいいんで w




