表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゼロの輝き─無魔力追放からの反逆  作者: ジュン・ガリアーノ
第9章 アルカナートの追憶
203/251

cys:201 シルフィード最大の秘密

「どけ、ナターシャ」

「どかないわ!」


 両手を横に広げたまま、立ち憚るナターシャ。

 その瞳は涙に濡れているが、シルフィードは動じずにジッと見据える。


「ムダだ、ナターシャよ。もう分かっているハズだ」

「くっ……」

「力の差は歴然。奴の魔力クリスタルでは、この滅輝乃魔眼には敵わぬ」

「そ、そんな事……」


 シルフィードを見据えたまま、額からツーっと汗を流すナターシャ。

 認めたくはないが、今シルフィードが告げてきた事は痛いほど分かっていた。


───アルカナートが弱い訳じゃない。むしろ、誰よりも強いわ。でも、シルフィード(このひと)の力は、もっと奥深い何かから……


 ナターシャも感じているのだ。

 シルフィードの力が、滅輝乃魔眼の強さや技量だけでなく、さらに深い漆黒の感情から来ている事を。

 そんな中、アルカナートはボロボロの体に力を込めてググッ……と、立ち上がった。


「ナターシャ、どいてろ。コイツの相手は……この俺だ」

「アルカナート!」


 ハッと振り向いたナターシャの髪が揺れ、涙が後ろに流れる。

 だが、その後ろでアルカナートはシルフィードを強く見据えたままだ。

 そして、ナターシャの肩に片手を乗せると、グッと背中に退げた。


「コイツは俺がカタをつける」

「無茶よアルカナート! 貴方の体は、もうボロボロじゃない!」

「フンッ、戦ってりゃこんなもん日常茶飯事だ」


 吐き捨てるように答えたアルカナートを、シルフィードは苛立ちの混じった眼差しで見据える。


「貴様……まだそのような戯言を」

「戯言かどうかは、やってみりゃ分かるさ」

「どうあっても認めぬか」

「フンッ……テメェよりマシだ」

「なんだと?」


 訝しむ顔を浮かべたシルフィードを、アルカナートは精悍な顔でキッ! と、睨んだ。


「テメェ自身、認めたくねぇんだろ。その、呪われた力をよ……!」

「なっ、貴様……」


 シルフィードは一瞬驚き目を見開くと、スッと瞳を閉じ片手を額に当てうつむいた。

 その全身から、哀しく禍々しいオーラが立ち昇ってゆく。

 

「クククッ……ハハハッ……」


 そこまで零すと、シルフィードは片手を額に当てたままバッ! と、大きく胸を張った。 


「ハーッハッハッハッハッ!!」


 狂気に彩られた、(おぞ)ましい嗤い声が周囲に響き渡る。

 それはまるで世界その物を憎み、そして嘲笑うかのようだ。


「ううっ……」

「チッ……」


 二人が見つめる中、シルフィードは嗤い声を止め、哀しみと狂気が交叉する瞳で見下ろした。


「よかろう。ならば、死ぬ前に教えてやる。アルカナート……貴様の国スマート・ミレニアムが、どれ程の闇を隠しているかをな……!」

「闇だと……?」

「そうだ」


 シルフィードの瞳がギラリと光る。


「お前達の国は、額に魔力クリスタルを埋め込む事により、皆が高度な文明を享受している」

「あぁ、その通りだ。それに、魔力クリスタルの特性の違いで、色んな奴がいるぜ」

「そうだ、アルカナート。その中でも、貴様は至高の魔力クリスタルを宿す男。それ故に分かるまい……」

「……どういう事だ」


 アルカナートが訝しむ顔を浮かべると、シルフィードはギリッと顔をしかめた。

 そして、射抜くような眼差しを向け、憎悪を滾らせてゆく。


「先に少し伝えた通りだ。貴様には分かるハズがない。極稀(ごくまれ)に起こる、魔力クリスタルの不適合。すなわち……全く輝かない『無色の魔力クリスタル』がある事を!!」


 シルフィードがそう言い放った時、アルカナートは哀しく顔を歪めた。

 先程まさかと思った最悪の考えが、当たってしまっていたのが分かったからだ。


「シルフィード、やはりお前は……」

「フッ、流石はスマート・ミレニアムの勇者ではあるようだな。察しの通りだ」


 シルフィードは軽く溜め息を吐き答えると、ギュッと片手を握りしめた。

 その拳が震える。

 滅輝乃魔眼の力ではなく、自身の残酷な運命への怒りによって。


「そう……俺は、かつてスマート・ミレニアムで生まれ、親兄弟、クラスメイト、全ての者から忌み嫌われ迫害された『無色の魔力クリスタルを宿した者』だ!!」

シルフィードは、かつてのノーティスと同じ運命を……!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ