12.性教育とおっさん―1
その夜、グルゥは再びベッドを借りていたが、なかなか寝付くことが出来なかった。
当然だろう。
翌日になれば、サリエラはブランに連れ去られてしまうのだから。
「何か……良い方法は……」
本来であれば寝ている場合でなく、どうにか夜通し対処法を考えるべきだと思うのだが、カッツォもツンナも、公国の使いだけでなく王国の騎士の来訪に疲れ切っていた。
何か方法を考えるから大丈夫と言って、二人にはゆっくり休んでもらったのである。
「やはり……」
もちろん、グルゥに考えがないわけではなかった。
だが、それはあくまで最終手段であり――サリエラを、夜の内に連れ出すということ。
しかし、それを実行したところで残されたカッツォとツンナはどうなる?
また、娘とキットを助けるという当初の目的は達成できるのか?
いくら考えても、これだという明確な解決策が出て来ない。
一度、サリエラと直接話してみるべきか。
そう思って、ベッドから起きようとしたその時だった。
「まだ……起きていますか?」
部屋の入り口に、既にサリエラが立っていることに気が付いた。
やはり彼女も、心配で相談しに来たのだろう。
「ちょうど良かった、少し話がしたかったんだ。場所を変えるか?」
「いえ、ここで良いです」
そう言ってサリエラは――グルゥの寝ていたベッドに潜り込んでくる。




