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11.騎士とおっさん―5

「な……ッ!?」


 愕然とした。

 それだけはやってはならないという――経理にして、魔王の経験もあるグルゥの感覚からすれば、それは間違いなく許されない行為だった。


「もちろん強制じゃねぇさ。だが、どうしても納税が出来ないヤツに対しては、“幼い子供”を納めさせることによって、その将来的価値に換算し納税とみなしてやってんだ。悪い話じゃないんだぜ? 子供にも安定した職が約束されるし、国が一生面倒みてやるって言ってんだからな」


「その結果が……子供に強制労働や、身売りをさせるという……腐敗した国の体制に繋がっていたのだな……ッ!!」


「そういやここの家にも、最近若い娘が転がり込んでこなかったか? ちょうどいいじゃねぇか、あの年ならギリギリ、“人納”が認められるはずだぜ」


 脳裏に浮かんだのは、自分と出会うまでのキットの境遇だ。

 あのような状態が蔓延しているこの公国には、そんな仕組みがあったのかと思うと――吐き気を催すほどの不快感に、ついにグルゥの手が出そうになる。


 だが、


「待って!!」


 声を発したのは、隣の部屋から姿を現したサリエラだった。


「手を出してはダメ……その男の思う壺です。玄関の外を見てください」


 サリエラの言葉に、グルゥはハッとして顔をあげる。

 そこには、白い鎧を身に付けて、すっと立っている男が一人。


 気付かれたか、と男は舌打ちをし小さく毒づいた。


「今回の税の徴収に際し、ジルヴァニア王国から派遣されて来た騎士様……ブラン・クランシェ様だよ」


 今までは、ずっと外から中の様子を窺っていたのだろう。

 男に紹介され家の中に入ってきたその男は――見事なまでの七三分けだった。

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