第7話 渡来人説
「ただ奪われた勾玉を取り返すことだけが蘇我の目的なんです。物部のやつらは天皇をどうでもよく思い、自分らの栄光のために利用した。それだけは許してはなりません」
「天皇への忠誠……」
イヨが小言で呟いた。しかし、俺には何と言っているかは俺には聞こえはしなかった。
「しかし、どうして蘇我はそこまでするの」
「蘇我が渡来人だという説を知っている?」
「渡来人?」
イヨが顔に? の文字が書かれたかのような表情をした。
「イヨちゃん。渡来人というのはね弥生時代以降に日本に来た朝鮮半島の人達のことだよ」
「なるほど」
「渡来人によって日本にたくさんの文化が伝えられてきた。漢字や仏教をはじめとして各種技術や暦なども伝えたんだ」
俺は、補足説明をした。さらには、続けて言った。
「まあ、本当のことを言うと蘇我は渡来人っていうのはまるっきり嘘。本当は物部が渡来人なんだ。」
「蘇我の祖先の名前は韓国風じゃなかった?」
「えっ!? そうなの」
「あっ! それは物部の奴らが蘇我渡来人説を作るためだけに系譜を改造しやがったんだよ。しかし、先祖様も易々蘇我の本家に物部の奴らを侵入させるなんて考えたくもないぜ」
「改造ですか!?」
「ああ」
「………ものすごい壮大なことをしたね」
美月があまりにも壮大なバトルだということを知り若干引いていた。




