第3話 蘇我と物部
「どうしたの?」
俺と美月の2人がイヨに対して驚きが隠せないでいた。これが、本当に神様なのか? そんな存在がいていいのかということをお互い考えていた。
そんなところに……。
「あっ!? 2人とも見つけた~。っていうよりどういう状況?」
守仁がどうやら数を数え終えたみたいで俺達を探しにやってきた。そういえば、かくれんぼ中だったな。
「いやさ、守仁。なんか神様を名乗るイヨという女子が光の石から現れたんだよ」
「守仁。イナが言っていることはいつもの中二病設定ではないんだよ。私もこの目で見たから」
美月が俺の説明を補完してくれたのは嬉しいが嬉しいが………なぜだろ微妙に心が痛い。俺って中二病だったっけ? だが、守仁は話を聞くとまるで別人のように顔色が変わった。つまりは、今までとは考えられないぐらい恐ろしい顔になっていた。
「いいか、イナ、美月。彼女はちゃんとした神様だ」
「君は私のことを信じてくれるんだね。私はとても嬉しいよ」
「どうして神様だって分かるんだよっ」
「何で分かる? そんなの決まっているじゃないか。俺は神様を守る一族の末裔だからな」
「神様を守る一族?」
「まさか守仁。おまえっ!」
美月はピンときていないようだが俺にはわかる。そういえば俺は知らなかった。今日まで守仁が名字を使っていなかったから。こいつは守仁は守仁の名字はおそらく────いや、きっとあいつらと同じあの名字だ。
「物部。物部守仁。それが俺の本名だ」
「物部!? 古墳時代に神を日本伝統の守るために廃仏を唱えて蘇我と戦い滅亡した一族! どうして守仁がその一族の末裔なの」
美月があまりの状況についていけずに叫んで守仁に答えを求めた。
「我ら物部は神に愛された一族。かつて、自身ら一族の力を強くするため外国の神いや、仏と契約したそこの日本古来の神を裏切った奴とは奴らとは違うんだよっ」
「神を裏切った一族? まさかあなたは!」
イヨは俺の方を向いていった。イヨは守仁が言った意味に気づいたようだ。だが、美月はこの件についてはわからないみたいだ。
「なあイナこと武内稲目君いや、日本の八百八万の神を裏切った一族の末裔と呼ぶべきかな。武内はある一族の祖先の名字だからな。蘇我稲目君」
武内宿禰。それが俺達蘇我家の祖先だ。この方は大和朝廷の初期に活躍したという伝説上の人物。孝元天皇という天皇の曽孫で、景行・成務・仲哀・応神・仁徳の5人の天皇に仕え、大臣となり、神功皇后を助けて新羅出兵などに功績があったと言われている。蘇我以外にも祖先として祭っている一族がいる。大辞泉 参照より。こいつは、そこまで知っているとは。
「おまえとやはり対決しないといけないんだな。蘇我と物部の数百年の因縁の一環として」
俺は、不敵な笑みを漏らして答えた。
「ねぇイナ、守仁どうしちゃったのさ」
ごめん。美月。こればかりは何もできないんだ。これは一族の誇りがかかっているんだ。この日、俺達の関係は敵と味方に分かれた。
今回は、少しバトル的な要素を出してみました。本当は、日常ものでいきたかったのですが、自分には無理だ~。無理無理ということでこんなことに↓
あと、辞書を参考にしました。本編中に出典を書いてあります。




