フレイヤ·フォン·ヴァーグナー
いつも読みに来ていだだいて、ありがとうございます。
今回はフレイヤ視点です。
レインハルト様に初めて会ったのは3歳の時だった。
キラキラ輝くサラサラとした金髪、同じくキラキラと輝く金色の瞳。
こんな綺麗な人がいるんだ。絵本の中の王子様みたいで素敵。
それが第1印象だった。
その後、同じ侯爵家同士という事もあり、何度か会う機会はあった。
レインハルト様はいつも冷たい視線で女の子達を見ていて、話しかけても素っ気なくて
絵本の中の王子様とは随分違った。
でも、どんなに冷たくされても、どんなにつっけんどにされても、どういうわけか彼が気になって仕方なかった。
子供同士の集まる会でおませな女の子達が
「レインハルト様て素敵よね。」
「私、思い切って告白しちゃおうかしら。」
「あんな方が婚約者だったらいいわよねえー。」
などと話しているのが耳に入った。
途端に私の心のどす黒いものがもやもやと発生する。
『嫌よ、あんな女がレインハルト様の婚約者になるなんて。』
強く思う。この気持ちは何なのだろうか?
いつしか、この気持ちが恋だと気づいた。
レインハルト様を誰にも渡したくない。
この間読んだ本で主人公が『私達は運命の相手同士なのよ。運命の相手は一目見ただけで分かるのよ。』と言っていたのを思い出す。
そう、私達もきっと運命の相手同士なのだわ。だから、あなたの事がどうやっても胸から離れない。
レインハルト様をそっとながめてみる。うん、間違いない。ひと目見ただけで分かる。私達は運命の相手同士なのだと。
さっそくお父様にお願いする。レインハルト様と婚約したいと。
お父様はすぐにヴァイスリヒト家に打診してくれたが、即、お断りの返事が来た。
そんなはずはないわ。私達は運命の相手なのに!
はっ、レインハルト様はいつもちゃんと私を見てくれない。
だから私が運命の相手だと、まだ分かっていないのだわ。運命の相手は一目見れば分かるのだから。
それ以来、レインハルト様にちゃんと私を見つめてもらうよう努力した。
でも、レインハルト様はいつまでたっても私をちゃんと見てくれない。
ある日、耐えきれなくなって、レインハルト様に言った。
「レインハルト様。私達は運命の相手同士なのですわ。だから私をちゃんと見て下さいませ。」
どう、これで私をみる気になった?
しかし、レインハルト様の目は金色の目は真冬のように冷たくなる。
「何言ってるの。頭大丈夫?」
と、冷たく言い放つと、ふいと離れて行ってしまった。
伝わらなかった。私の気持ちと本当の事実が伝わらなかった。
これからは、もっともっと、彼が分かるまで伝え続けなければ!
以来、私はレインハルト様と会うたびに愛をささやき、本当の事実を伝え続けた。
そして気づけば14才になっていた。あと2年、あと2年すれば成人する。
成人すればレインハルト様と結婚ができる。
私の胸は喜びでいっぱいになった。
学院に入って、色々な女がレインハルト様に寄ってきたが、全てレインハルト様ははねつけてきた。
私と結婚するためだわ。胸が熱くなる。
そんなハッピーな日々は突然崩れた。
レインハルト様が一人の女性にべったりしていると。そして婚約したと。
そんな馬鹿な!私というものがありながら!
お昼休みにレインハルト様に会いにゆく。そばには胸が大きいだけの冴えない女がいた。
レインハルト様、目を覚まして。
だが、相変わらず私をちゃんとは見てくれなかった。そして冷たくあしらわれた。
取巻きに調べさせたところ、その女はハーゲン子爵家の女で、ハーゲン子爵家は貧乏子爵家だとの事。
きっと、あの大きな胸でレインハルト様を誘惑し、ヴァイスリヒト侯爵家にタカろうとしているのだわ。許せない。
帰宅するなりお父様にお願いする。ハーゲン子爵家を潰して欲しいと。
私には甘いお父様だ。なんとかしてくれるだろう。
ところが、意に反してお父様は言う。
「ハーゲン子爵家には絶対に手を出してはならぬ。やぶ蛇になったら潰されるのはこちらの方だ。
それに、ヴァイスリヒトの小僧からは、とっくに婚約を断られているだろう。最近もしつこくするなと何度も苦情が入っている。もう、いい加減に目を覚ましなさい。いい男は他にも沢山いる。」
なっ、なんて酷い。私とレインハルト様は運命の相手だのに。諦めろと?
しかも、ハーゲン家には手を出すなと?我がヴァーグナー侯爵家がたかが貧乏子爵家相手に何を怖気づいているのかしら。
理由を聞いても教えてはくれなかった。私が聞いたら余計にややこしくなるからと。
お父様はあてにならないと良く分かった。自分でなんとかするしかない。
絶対に許さないローレライ·フォン·ハーゲン。




