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おかあさんの味方【最愛の人に大事な言葉を伝えたくてタイムワープで会いに行く!気まぐれ時間を歴史改変しまくって!】  作者: 藤台団二


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新章「母の消失、あるいは時の迷宮」

ハッピーエンドの鐘が鳴り響いた瞬間、世界は静かに反転しました。 現代に帰還した海人を待っていたのは、母の笑顔ではなく、あるじを失い埃を被った無人の家でした。

歴史を改変しすぎた代償。時間は、母を救うことも、殺すこともやめ、ただ「初めから存在しなかった」ことにしたのです。 母を求めて、海人は再び狂気へと身を投じます。 隣には、記憶を取り戻したろくでなしのコーワード。そして、ザルを被ったまま「お散歩行こー!」とはしゃぐ最強の小3女子、結衣。

因果律さえも迷子になる、前代未聞の「時間迷宮」への旅が、今、始まります!


「……母さん?」

海人の声が、静寂なリビングに虚しく響いた。  二〇二六年の高橋家。歴史は改変され、母・美智子は八十歳を超えて健在のはずだった。だが、そこに彼女の姿はなかった。  キッチンには誰も立っておらず、冷蔵庫には海人が知らない「独身男性用」の惣菜が並んでいる。アルバムを開けば、海人の隣には父の姿しかなく、母の箇所だけが不自然に風景画へと差し替わっていた。

「どういうことだ……解析アナライズ履歴ログを再生しろ!」

海人は地下室へ駆け込み、コンソールを叩いた。  モニターに映し出された因果律のグラフは、見たこともない形状をしていた。  二十年前。美智子がトラックに跳ねられるはずだった「死の因果」は確かに消滅している。だが、同時に彼女が生き続けるはずだった「生の因果」もまた、途中でぷっつりと途切れていた。

「救ったんじゃない……。時間は、母さんを『存在そのもの』から抹消したんだ!」

歴史を改変し、特異点を無理やり閉じた副作用だ。いい加減な時間の性質が、矛盾する二つの未来(死と生)をどちらも受け入れず、第三の選択肢――「初めから居なかったことにする」を選んだのだ。

「……たく。お坊っちゃん、また眉間にシワ寄せてるな。せっかく結衣ちゃんが連れ戻してくれたってのに」

背後から、コーワードが欠伸をしながら現れた。記憶は完全に戻っていた。 「コーワード……母さんが消えた。現代にも、二十年前にも、どこにも居ないんだ」

「あー……そりゃ困ったな。ま、時間はズボラだからよ、どっかの『時の隙間』に置き忘れてきたんじゃねえか?」 「置き忘れる!? そんなレベルの話じゃない! 因果の迷路に入り込んだんだ。普通の方法じゃ、二度と見つけられない!」

「じゃあ、普通じゃない方法を使えばいいじゃん!」

突然、海人の足元から声がした。結衣だ。  彼女は相変わらずザルを被り、手にはアイスの棒を握っている。 「結衣……?」

「結衣、わかるよ! おばあちゃん、迷子になって泣いてるもん。あっちの、すっごくゴチャゴチャした道の向こうにいる!」

結衣が枝で指し示したのは、モニターに映る「因果律の混濁地帯タイム・ラビリンス」だった。理論派の海人にはノイズにしか見えない場所が、結衣の瞳には、母へ続く道に見えているのだ。

「……結衣。お前、そこまで適合しているのか」 「結衣、最強モードだから! おばあちゃん、探しに行こ!」

海人は覚悟を決めた。  母を救うためなら、世界さえも壊してきた。今度は、壊れた世界(迷宮)の中へ、自ら飛び込む番だ。  緻密な論理(海人)、ずぼらな適合コーワード、そして純粋な無垢(結衣)。この三人でなければ、母は絶対に見つけられない。

「コーワード、頼む。もう一度、僕のわがままに付き合ってくれ」 「へーへー。ま、迷子探しも悪くねえか。お袋さんのハンバーグ、まだ食ってねえしな」

三人は、『マザーズ・リベンジャー』の中央に立った。  結衣が枝を振る。

「出発進行ー! よく解んない道の、もっと向こうへ!」

凄まじい閃光と共に、三人の意識は、因果律が完全に崩壊した「時間迷宮」へと加速していった。    目を開けると、そこは昭和でも未来でもない、見たこともない世界だった。  空には時計の針が雨のように降り注ぎ、地面は古びた手紙で埋め尽くされている。右を見れば十年前の海人が泣いており、左を見れば百年後の東京が砂に埋もれていた。  すべての時間が同時に、デタラメに存在する、文字通りの迷宮。

「……ここが、時間迷宮」 「あー、頭が痛くなりそうな散らかりっぷりだな。お坊っちゃん、こりゃ解析なんて無理だぜ」 「解析はしない。……結衣、母さんはどっちだ?」

結衣はザルを被り直すと、ニヤリと笑った。 「あっち! でも、おっきなオバケがいるから、気をつけてね!」

結衣が指し示す先。時間のガレキの向こうに、微かに母・美智子の後ろ姿が見えた。  だが、その手前には、この迷宮を守る「時の番人」が、矛盾する因果の塊として、巨大な姿を現そうとしていた。

「母さん……今度こそ、本当の『正解』を見つけ出す!」

海人とコーワード、そして結衣の時間迷宮の旅。本当の闘いは、ここから始まる。


新展開の第一章、いかがでしたでしょうか。 ハッピーエンドからの消失。海人の絶望と、結衣ちゃんの最強の適性が再び交差する熱い幕開けです! 緻密、ずぼら、無垢。この凸凹トリオが、時間がデタラメに存在する「迷宮」でどう立ち回るのか。

もし今回の新展開に「ワクワクした!」と感じていただけましたら、ぜひ感想や評価をお願いいたします! あなたの応援が、迷宮の中で母を求める海人たちの道標になります。 次回、時間迷宮での最初の試練。お楽しみに!


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#SF小説#タイムワープ /#タイムトラベル#ループもの#歴史改変♯近未来#凸凹コンビ#最強の小学3年生#クズヒーロー#秀才と変人#よく解んないモード
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