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午前中を落ち込んだ気持ちで過ごし、まったく授業に集中できなかった
クラスメイトから昼食に誘われるが、そんな気分じゃなく、「ごめーん、ちょっと他の人と食べる約束してて・・・」とやんわり断り、目立たない中庭の隅で弁当を広げた。
仲はそれなりに良いクラスメイトだが――――気を使うのは疲れる。
はあ・・・と思わずため息が出た。
「あの、ちょっといい?」
「ひゃあっ」
いきなり後ろから声をかけられ、変な声をあげてしまった。
おそるおそる振り向くと見知った顔だった。
「いや、ごめん。」
そう謝ってくるのは藤崎夏樹だ。
中庭に入るドアに立っていたようだ。まったく気付かなかった。
私の傍に近づいてきて、少し距離を開けて座る。
「別にいいけど、な、何か用?」
驚いた時のショックがまだ抜けてない。彼はその様子に苦笑した。
「三崎のとこなんだけど、」
―――心臓がドクッと跳ね上がる。
「なんか聞いてない?」
目を伏せ、首をふるふると横に振る。
「・・・なにも。」
それは私が知りたい。
「そっか、あいつが休むなんて珍しいと思うんだけど。」
そう、めったにない上に一週間も休むことなんてこれまでになかった。
そして、私がそこまで心配しているのは、連絡が取れないことだ。
一応、メールを送ったが返信はない。
思い切って電話をしてみるが出ない。
ついにはさらに思い切って昨日の帰り、祥平の家によってチャイムを押してみたが反応はなかった。
そのことを藤崎に伝えてみると、
「担任には聞いてみた?」
「いや、それは聞いてないけど・・・」
「じゃあ、聞いてみようか。」
立ち上がり、さっそく行こうとする藤崎を引きとめ、手つかずの弁当をしまう。
「食べなくていいのか?」
「うん、少しは食べたし。」
もう食べる気分じゃない。