成金お嬢様、結局人助けをさせられる
「私はルリです」
「ルリ…歳は幾つですの?」
「十歳です」
「まあ」
十歳にしては幼い身体…痩せ細っているので無理もないが。
「私は、その…孤児院に住んでて」
「…え、孤児院にいるのにどうして痩せてるんですの?」
「…ご飯が出なくて」
「そんなに経営が苦しいんですの?」
「…」
押し黙ったルリに、嫌な予感がしたルーヴルナ。
「まさか虐待ですの?」
「いや…その…寄付してもらったお金は全部先生たちが持って行ってしまって…お世話はしてくれるんですけど、暴力もないんですけど、ただ食べ物は現物を寄付してもらったものか自分たちで取ってきたものしか…」
「それは虐待ではありませんの!…ふむ。とりあえず、とりあえずほんっっっっっとうにムカつきますけれど一旦それは置いておいて…」
ルーヴルナはルリに手を差し伸べた。
「貴女と貴女のお友達に、お菓子を分けて差し上げますわ」
「え、本当に!?」
「お腹が空いたでしょう?大丈夫、私は寛大ですもの。お菓子はたくさんありますから、とりあえずそれで空腹を満たしなさい」
「ありがとうございます!」
「…ジル」
ルーヴルナは、ちょっとしたポイント稼ぎのつもりで手を出したがおおごとになったなぁとぼんやり思いつつも指示を出す。
「私の私有地の村にお行きなさい。村の者たちに、空いている建物の中で一番大きなところに子供達を保護できるよう準備を整えさせなさい。そこをわたくしの運営する孤児院と致しますわ」
「はい」
孤児であるジルはルーヴルナの迅速な対応に心から尊敬し感謝する。ルーヴルナはジルからの好感度が上限知らずに爆上がりしているのにも気付かず、怒りに燃えていた。
ルーヴルナが感じている怒り。一つは、子供達への虐待。
もう一つは、それにより自分の手を煩わせたこと。
いずれにしろ、孤児院の運営者たちには地獄が待っているだろう。
「孤児院の準備、しばらくの運営費用はわたくしの残りのお小遣いの半分もあれば足りますわね?」
「はい」
「もう半分で…決まりですわね。ではジル、村に行ってきて。わたくしは孤児院に出向きます。お願い致しますわ」
「お任せを」
「モーント、護衛をお願いしますわ。リムル、貴方はお供と荷物持ちを」
こくりと頷くリムルの顔は、心なしか凛々しい。ルリのことをリムルなりに案じているのだ。
「ではルリ。孤児院まで案内してくださいまし」
「はい!」